フクロウの相棒と信頼ってやつ
ルーナを助けた翌朝、真人は重いまぶたを開けた。辺りにはまだ静かな空気が漂っているが、彼の隣で、傷ついたフクロウのルーナが少しずつ羽を動かしていた。ルーナの体は真人が最後の一滴を与えた地底湖の水によって、わずかに回復していたようだ。真人がその様子を見守っていると、彼女がゆっくりと目を開け、柔らかい声で話し始めた。
「ありがとう、助けてくれて。あの水は…特別なものだったのね。あなたの命の水をもらったからには、私もお返しをしなくてはならないわ」
真人はその言葉に少し驚き、彼女の知性を感じた。小さなフクロウとはいえ、ルーナは知的で品のある話し方をする。その言葉には妖艶ささえ感じるが、嫌味のない落ち着いた響きがあった。
「俺ができることなんて…これくらいだ。別に礼なんていらない」
「いえ、私はただのフクロウではないのよ。知識と共に生きてきた者よ。あなたがこのダンジョンで生き延びるためには、私の助けが必要でしょう」
彼女の言葉に、真人は少しずつルーナへの信頼を感じ始めた。彼女の存在が、自分の孤独を癒してくれるような気がした。ダンジョンという絶望的な環境で、彼にとって唯一の話し相手がルーナだったからだ。
それからしばらく、真人とルーナは一緒にダンジョンの出口を目指すこととなった。ルーナの知識は、ダンジョンに潜む危険やモンスターについての深い理解を持っており、真人に多くのアドバイスを与えた。
「モンスターが集団でいる時は不用意に近づかないこと。けれど、群れから一匹だけが離れた時は、攻撃するチャンスよ。彼らは群れを頼りにする習性があるから、孤立すると防御が脆くなるの」
ルーナのアドバイスに従って、真人はクレイクラフトのスキルを使い、罠を仕掛けながら慎重にモンスターに挑んだ。クレイクラフトで作り出した壁や足場を巧みに使い、モンスターを誘導して倒すことができた。これまでは必死で戦っていたが、ルーナの助言が加わることで、戦いは少しずつ楽になっていった。
「思っていたよりもうまくやっているじゃない。あなたは戦いのセンスがあるわ。これからは、もっと効率的に戦うことができるでしょうね」
ルーナの言葉には、尊敬の念が込められているようで、真人は不思議な感覚に包まれた。彼女の言葉が彼の自信を少しずつ回復させ、戦いの度に彼のスキルも向上していった。毎日、少しずつレベルアップを重ね、今では最初にダンジョンに放り込まれた時のような無力感は消えつつあった。
だが、進むにつれて、真人は次第にルーナに心を開き始めた。戦いの合間や、夜の休息の時間になると、真人は昔を思い返すことが多くなった。そして、ついにルーナに話すことを決心する。
「ルーナ…話さなきゃならないことがあるんだ。実は、俺は裏切られたんだ」
ルーナは驚いた様子もなく、ただ真人の顔をじっと見つめ、黙って耳を傾けた。
「信じていた友人がいた。佐藤ってやつなんだが、俺を裏切ったんだ。最初は信じられなかった。あいつとは昔からの仲だったし、苦しい時も支え合ってきた。でも…最初からあいつは俺を…。いや、それだけじゃない。あいつが俺を…崖に追い詰めて殺そうとしたんだ」
真人は目を伏せ、言葉を詰まらせた。思い出すたびに胸が締め付けられる。復讐の念が再び湧き上がってくるが、ルーナの静かなまなざしがその激情を少し和らげた。
「辛いことね。信じていた人に裏切られる痛みは、きっと言葉では表せないでしょう。でも、その痛みがあなたをここまで導いてきた。私にはわかるわ。あなたの中には、まだその炎が燃えているのよ」
ルーナの言葉には、まるで全てを見透かしているかのような深い理解があった。真人は彼女の言葉に救われた気がした。今まで、誰にも話せなかった重荷を少しだけ下ろせたような気分だった。
「そうかもな。でも、あいつを許すつもりはない。俺はあいつに復讐する。そのために、俺はここで強くなるしかないんだ」
真人は拳を握りしめ、決意を新たにした。ルーナは微笑み、静かに彼の肩に羽を乗せた。
「そのために、私もここにいるのよ。あなたを助けるためにね」
そうして、二人はまた歩き始めた。だが、そこには一つの変化があった。真人はもはや一人ではなかった。彼には、今や信頼できる仲間ができたのだ。それが、ルーナという知識と優しさを持った小さなフクロウだった。
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