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バスジャックで昇天!? 俺、気づいたら異世界ダンジョン!?

高野真人たかの まさとは、30代半ば、平均的な身長と体型を持つ、ごく普通のサラリーマンだった。彼は細身の体型に控えめな黒縁メガネをかけ、きちんとした黒いスーツとネクタイを着用することが日常の一部となっていた。だが、そんな外見の裏には、人には言えない「もう一つの顔」を持っていた。それが、彼の趣味である「クレイクラフト」――粘土細工だ。


真人は幼い頃から手先が非常に器用で、両親にねだっては、よく粘土セットを買ってもらっていた。最初は子供らしく、動物やキャラクターの模型を作るだけだったが、成長するにつれてその技術は格段に向上し、精密で美しいフィギュアや独自のデザインを施したものまで作るようになった。彼にとって、粘土細工は現実逃避の手段であり、疲れ切った現実世界のストレスを忘れるための唯一の癒しだった。


真人の手は、何もない状態から複雑な形を生み出すことができる。自分だけの作品を作り上げる時間は、他人に理解されることのない贅沢な時間だった。彼の部屋の片隅には、手作りのフィギュアがずらりと並び、どれも細部までこだわり抜いた作品が光を反射していた。だが、その趣味には少し「変わった側面」もあった。


真人の作るフィギュアは、どこか挑発的で、時折少し露出の多いキャラクターを中心にしていた。特に、女性キャラクターのスタイルや細部にこだわるあまり、その姿をじっと見つめては「完璧な曲線美だ」と満足気に呟くこともあった。そんな彼の姿を、家に来た友人が見たときは、引き気味の反応を示されたこともある。


「真人、これ…ちょっと危ない趣味じゃないか?」と友人が口にした時、彼は笑ってごまかすことしかできなかった。


しかし、真人自身は決してその趣味が「おかしい」とは思っていなかった。それどころか、女性キャラクターを通じて美しさを追求し、芸術性を高めていると感じていた。粘土を触るとき、彼は指先に集中し、その柔らかさを確かめるように愛おしそうに形を整えていく。その感覚が、彼にとって至福の瞬間だった。彼の心の中には、ほんの少し「触感フェチ」の要素も潜んでいたのだ。


そんな真人だが、現実の彼の姿はいたって普通のサラリーマンだ。日々、仕事に追われ、通勤電車の中で押し潰されるように会社へと向かう。特に目立たない容姿も相まって、同僚からは「影が薄い」と言われることもあった。上司からは「もっと自己主張をしろ」と怒られ、プロジェクトのリーダーに任命されたものの、チームメンバーとうまく連携が取れず、どこか孤独を感じていた。


ただ、彼は誰にも言わないが、職場の女性たちの服装や仕草に少し敏感だった。例えば、会社のデスクで同僚の女性が無意識に前かがみになるとき、その胸元がちらりと見える瞬間にドキリとすることもあった。だが、そんな彼の小さな欲望も、表に出ることはなかった。ただ、頭の片隅にその瞬間が残るだけ。彼は自分が少し変態だという自覚はあったが、それを認める勇気もなかった。ある日、そんな真人に大きな転機が訪れる。出勤途中、バスに乗っていた彼は、突然バスジャック事件に巻き込まれる。犯人は銃を持ち、乗客たちを人質に取り、混乱が広がっていた。真人は怯えながらも、何とか状況を冷静に見極めようとしていたが、その瞬間、バスが急停止し、全員が転倒。乗客たちの叫び声が響く中、真人も頭を強く打ち、意識が遠のいていく。


しかし、意識が完全に途絶えるその瞬間、彼は不可解な声を聞いた。それはまるで彼の頭の中に直接語りかけてくるような、重々しい声だった。


「お前を待っている……」


その言葉に真人は驚き、まるで時が止まったかのように感じた。何が起きているのか理解できなかったが、その言葉には奇妙な力が込められていることを感じた。胸の奥で強い引力に引き寄せられるような感覚。だが、その直後、真人の意識は完全に途絶えた。


目を覚ましたとき、彼は見知らぬ場所にいた。石造りの壁、暗く湿った空気、遠くから聞こえる不気味な音。そこは異世界のダンジョンだった。真人は頭を抱え、混乱したまま周囲を見渡す。「ここは一体…どこなんだ?」と呟いたが、返事をする者はいなかった。彼はやがて、自分が現実の世界から異世界に転生したことに気づく。


そして、あの不思議なメッセージが彼の脳裏に焼き付いていた。「お前を待っている……」この言葉が意味するものは何なのか?それは、彼のこれからの冒険と運命に深く関わってくることになる。

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