C.S. -エピローグ-
クビアを打倒して暫くした頃、未帰還者が意識を取り戻したという報告を耳にするようになった。
ハセヲも、彼女を失った場所で彼女との再会を果たした。だが代償は大きく、手放しには喜べなかった。それでも、彼女の――志乃の言葉に幾らか心に余裕が生まれた。
斉木の所にも、今藤と古立真が目覚めたという連絡が届いていた。斉木はすぐに病院に向かい、真っ先に今藤に斑鳩のことを報告した。目が覚めて早々に衝撃的な話を聞かされた今藤だったが、まずは斉木を労った。そして身体検査を適当に済ませ、病院を抜け出して斉木の家に向かった。
ハセヲの下に、ショートメールが届いた。内容はマク・アヌの橋で待つという簡潔なものだ。
(俺、あいつにアドレス教えてないよな…?)
疑問に思いつつも、ハセヲは言われた場所に向かうことにした。
今日のマク・アヌも、茜色が美しかった。水面が揺れる度に輝くそれは、リアルよりも秀麗だと誰かが言った。
彼がいつも居た場所の手摺りに、猫型PCが座っている。
「おい…」
ハセヲの若干不機嫌そうな声に、猫は尻尾を僅かに揺らして答えただけだった。それをみて呆れながら溜息を吐くと、猫の隣に立ち手摺りに体重を預けた。
「俺の指定席を取るんじゃねぇよ、チビ猫」
この時、ハセヲは気付かなかった。メールの宛先が、自分ではなかったことに。
Chained Shackle
《繋がれた手枷》
Crisis Symbol
《危機の象徴》
Crying Shadow
《涙する影》
Cracked Sleep
《破られた眠り》
Cuddy Side
《小部屋の一片》
Crime Scythe
《罪の大鎌》
Checked Slash
《牽制の切り裂き》
Cease Scaffold
《途絶えた足場》
Coadunate Speed
《一致する速さ》
Chalybeate Soil
《血染めの大地》
Challeng of Sacrifice
《生贄の覚悟》
Cloud Strife
《存在しないもの》
そしてこれは…
Closed Story
《閉ざされた物語》