望まれて
やっと言ったった
最初、口調はあお君だった。
でも、最後の方はそう君のそれで。
ああ、本当に私は生まれ変わってて。
あお君はそう君で。
「あお君、私の事が好きだったの?」
最初に口から出た言葉が、コレだった。
いや、そこじゃないでしょ。
悪魔とか、運命とか、生まれ変わりとか・・・聞くとこそこだから!
情報量過多で、頭がおかしくなったのか・・・
そう君は明後日の方向を向いて顔を俯けた。
漫画でしか見た事ない。
そう君の耳がちょっと赤いんですけど・・・
嘘でしょ?!
あのそう君がっ・・・!
加えて言うなら、あのあお君がっ・・・!!
・・・照れてる!!
「・・・うるせぇ」
「照れてるっ!!」
「・・・見るな」
「えー!こんな貴重な場面を見ないなんて、一生後悔する!」
「お前が気にするところは、そこなのか?もっとこう・・・言いたい事があるだろ」
「うわぁ!見た目そう君なのに、言動があお君になってる!」
「伊斗・・・揶揄うな」
腕を軽く引かれて、さくらんぼみたいなそう君の顔がすぐ間近に迫る。
照れてるそう君は、誰にも見せちゃいけないくらいのヤバい顔面になっていて。
そんな所がものすごく可愛いと思ってしまう。
怒ってるのに、可愛い。
こんな顔を見れるのは私だけなのかと思うと、もったいない気もする。
そんな事を考えていたら唇がもう少しで触れそうって所で、止まる。
「ねぇねぇ、そう君。私の事、好き?」
その言葉に、さくらんぼがりんごになった。
面白くてニヤニヤしてしまう。
そんな私を見たそう君は、こちらを睨め付けてきた。
「お前・・・随分楽しそうじゃね?」
「楽しい!私をいじめてたあお君がっ!こんな反応するなんてっ・・・ぐふふ」
「・・・まぁ、いいや。伊斗が楽しいなら」
「そっかぁそっかぁ!あお君は私を殺しちゃいたいくらい、だぁい好きなんだねぇ!」
「あぁ、そうだよ」
その言葉に、私はピタっと動きを止めた。
さっきからずっと鼻がくっつくくらいの距離にいた。
そんな間近で、真剣な目をしたそう君の雰囲気にのまれてしまった。
「なぁ、伊斗。それでも、俺と一緒にいてくれる?」
「・・・いい加減、言葉にして欲しいんですけど」
「・・・伊斗に拒絶されたら、俺消えちゃうかも・・・」
「なにそれ!断られるのが怖くて言えないわけ?!」
「何千年と拗らせた初恋だからな」
「ヘタレ!殺人鬼!へっぽこ悪魔!」
「お前、それは言い過ぎ」
「だって事実じゃん!私を殺したくせに!」
「・・・ったく!」
そう言って、私の口を塞ぐみたいにキスされた。
奪うみたいに強引に、でも優しく重なった唇は深くまで私を侵蝕するみたいだった。
文句も吹っ飛んだ後、少し離れたそう君が縋るみたいに小さく言った。
「・・・伊斗が、好きだ」