パシられて
前世と今世合わせての初めての友だちはそう君だったけど、やっぱりさ、同性の友だちも欲しいわけですよ。
だってさ、異性の友だちなんて長く続かないし、そう君の周りは女性トラブル多そうで怖いし。
という事で、同性の友だちを作ろうとした結果・・・
「今度みんなで富士急行こー」
「いーじゃん。伊斗、あんた計画お願いね」
「え?う、うん。わかった・・・」
友だちじゃなくて、パシリになりました。
パシリから友だちにランクアップって、できるのかなぁ・・・
◆◆◆◆◆
「ぐぬぅ」
「何か悩み?」
「ちっ違うっ・・・」
「どんな悩みなの?」
「違うってばっ・・・、えと、お腹!お腹空いたなぁってっ!」
「ふーん」
全く信じていなそうなそう君の「ふーん」に、冷や汗を書きながら目の前の問題集に集中しようとする。
でも、やっぱり無理だった。
「私っ絶叫とか・・・お化け屋敷とかも苦手なのにっ・・・。どどどどうしよう・・・」
あっさりそう君にカミングアウトしてしまった。
本当のイケメンは聞き上手なのよ。
「明後日かぁ・・・伊斗はどうしたいの?」
「いいいいきたくないぃぃ」
「俺が断ってあげようか?」
「ダメっ!なんでそう君が断るのさ。いきなり知らない人出てきたら、みんな困るでしょ?」
「幼馴染なんだから、それくらいいいんじゃない?」
「えー?いや、そう君にそんなの頼めないよ」
「うーん。伊斗は嘘下手くそだしなぁ・・・友だちは女の子?」
「そうだけど・・・なんで?」
「じゃあさ、俺も行くよ」
「はぁっ!?なんで!それ、解決になってないよね?!」
「伊斗入れて、何人なの?」
「いやいやいや、待ってっ!!そう君、食い物にされるよ!」
「6人?」
「いや、5人だけど・・・って、ダメだよ!」
「友だち連れてくよ。俺のことは心配しなくていいって。大丈夫」
「信用ならないっ!」
「ひどいなぁ。15年来の付き合いじゃん」
「とにかく!ダメったらダメっ!」
そして迎えた富士急の日。
待ち合わせ場所の新宿駅には、私と友だち、そしてなぜかイケメン'sがいた。
いや、イケメン'sってなに?