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押し切られて




そう君が帰った後、私は母に文句を言った。

だって、寝てる娘の部屋に男を入れたんだよ?

でも母は、「奏吾君なら大丈夫」って・・・

ホントになんなの、あの信頼関係。


それよりも、明日からは1人で登下校したいってはる君に連絡しなきゃ。

はる君に迷惑かけちゃう。

なんて送ろうか考えて、スマホの画面とにらめっこすること早数分・・・

んー、と唸っていたら、着信が・・・


「もしもし?伊斗先輩?」


はる君っ!

タイミング良すぎ・・・

てか、間違って、通話ボタン押しちゃった・・・


「・・・も、もしもし・・・」

「伊斗先輩、体調どう?」

「う、うん。寝たら良くなったよ。心配かけて、ごめんね」

「良かった・・・。明日は休みますか?」

「ううん。明日も学校行くよ」

「それじゃ、また明日「ま、待って!」

「どうしました?」

「あのね、えと・・・しばらく、一緒に登下校できない・・・」

「・・・なんで?」

「あ・・・あの・・・」


電話口のはる君の声が、一段低くなったような・・・

どうしよう・・・

なんて説明すれば・・・

嘘つく?本当の事言っちゃう?

いや、心配させちゃう・・・


「伊斗先輩」

「・・・ん・・・」

「僕に心配かけちゃうからって、嘘つかないで下さいね」

「え・・・えすぱー・・・?」


そう君も、はる君もエスパーすぎる。


「ふふ・・・エスパーって、なんですか・・・」

「だって、私の気持ちを当ててたよ?」

「伊斗先輩がわかりやすいだけじゃないですか?」

「そっか・・・だからか」

「納得しちゃうんですね」

「え?だって、そうじゃなきゃ、そう君もエスパーな理由がわからないし・・・あ、そう君って幼馴染ね」

「幼馴染さんは・・・ずっと伊斗先輩の近くにいたから」

「そうだね・・・それなら、はる君は本物のエスパーかも!」

「・・・なんで?」

「まだ知り合ってそんなに経ってないのに、私の事わかっちゃうんだもん。いくら私が分かりやすくても、本当にエスパーなのかも!」


冗談のつもりで笑いながらそう言うと、電話の向こうのはる君がなにか呟いた。


「ずっと前から、知ってるよ」


「え?何か言った?」

「いいえ。それで、なんで一緒に登下校できないんですか?」

「あ!忘れてた・・・。えと、あのね、私とはる君が一緒にいるところをクラスメイトに見られて、色々誤解されちゃってて・・・噂が落ち着くまで、しばらく一緒にいれない」

「・・・今日、お節介な先輩たちが教えてくれましたよ」

「そ、そっか・・・ごめんね、巻き込んじゃって・・・」

「先輩が謝ることないです。僕が伊斗先輩を好きで、付き纏ってるみたいなものですから・・・。お節介な先輩たちにも、言っておきましたけど」

「ぇ・・・なな何を、言ったの?」

「僕が好きで先輩と一緒にいるんだって。邪魔しないで欲しいって言いました」

「ななななな」

「先輩たちもわかってくれましたよ。だから、一緒に登下校しましょうね。では、また明日」


はる君はそう言うなり、通話を切ってしまった。

私はしばらくスマホの画面を呆けたまま見つめていた。




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