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気持ち良くて

R15未満





なにがなんだかわからなくて。

柔らかな感触に、


(男性の唇も柔らかいんだなぁ)


なんて呑気に考えてた。

少し離れたかと思ったら、またゆっくりと重なった。

私が抵抗しないのを確かめてたみたい。


私が一向に反応を見せないのを面白く思わなかったのか、そう君が私の唇を軽く噛んだ。


「ひゃっ!」


柔らかくて気持ち良くて、ぼんやりしていた意識にそのちょっとした刺激は強烈にきた。

急に視界がクリアになったみたいに、頭が冴えてきて、叫んだ。


「へっへへへ変態っ!!」


今更みたいに顔が熱くなるのが分かった。

てか、変態って・・・

もっと他に言うことあったでしょ?って、自分でツッコんで悲しくなった。


「伊斗に対してだけ、変態かも」


そうやって笑うそう君は、いつものそう君だった。


「いきなりキスとか、許可を取ってからにしてよね!」

「ごめんね。伊斗が足りなくて、補充したかったんだ」

「はっ?!私を補充しないで!」

「補充しなかったら、もっと深いのしちゃうよ?」

「へ?深いのって、なに?」

「わからないなら教えてあげる」

「いやっ!結構です!てか、その笑顔やめてっ!その顔面だけでセクハラだから!」

「伊斗が受け止めてくれたら、セクハラにならないんじゃない?」

「私には荷が重過ぎる!さっきまでの雰囲気、どこ言ったの?!」

「気持ちは重いかもしれないけど、包容力はバッチリだよ」


よく分からない会話を続けてたら、そう君が少し真顔になった。


「伊斗。俺に触られるの、嫌じゃない?」

「・・・一緒にいても、普通に喋れるし。聞かなくても、分かるでしょ?」

「そっか」


そう君が嬉しそうに笑ってる。

こんなにカッコいいのに。

嫌じゃないってだけで、なんでこんなに嬉しそうに出来るんだろ。


結局、色々あって時間が23時になっちゃって、そのままそう君の家に泊まることになった。

あんな事があった後だけど、そう君は怖くなかった。

幼馴染だからかな。

ファーストキスがそう君ってのも、幼馴染はカウントされないはず。たぶん。


そう言えば、この前そう君の家の前で見た女の子・・・彼女だったのかな?






◆◆◆◆◆






夏休みが終わった。

本格的に受験に向かって、教室もピリピリしてきた。

あの騒動から、はる君に会えてなかった。

せめて助けてもらったお礼を言おうと、放課後すぐに2年生の階に行ってみた。

誰かに聞くっていうことができない私は、各教室をキョロキョロ覗いていた。

やっぱり怪しかったのか、1人の男子が近寄ってきた。

イケメン恐怖症から、男性恐怖症に進化しつつある私は焦った。

まだそう君とはる君以外は怖いって思っちゃう。


「誰か探してるんですか?」

「えと・・・あの・・・」

「名前がわかれば、どこにいるか探せるかもしれませんけど」


親切で話しかけてくれていると分かっている。

私の態度に、その男子は少し距離を取った。


「女子の方が話しやすかったら、女子呼びますよ」

「あの・・・松下、君って・・・」

「松下?松下晴ですか?」


何度も頷くと、「ちょっと待ってください」と言ってスマホを操作し始める。

どうやら、はる君に電話してくれているみたい。


「はる?お前を探してる先輩が、教室に来てるけど・・・ああ、分かった」

「・・・」

「はる、今から来るそうです。ちょっと待ってもらえますか?」

「あ・・・うん」


ありがとうって言いたかったのに、タイミングを逃してしまった。

しばらくすると、走ってきたのか息を切らしたはる君がやってきた。


「伊斗っ・・・先輩・・・」

「はる君、そんな急がなくても良かったのに・・・ごめんね」

「いいんです・・・心配、してましたし」

「そだ、さっきはる君を呼んでくれた子に、お礼言っといてくれる?ありがとうって、言いそびれちゃって・・・」

「わかりました。とりあえずここだと目立ちますし、中庭に行きます?」

「そ、そうだね」


通り過ぎる生徒の興味津々って視線が痛かったので、すぐに頷いた。




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