両想い
片想いの前日譚です 片想いの方もよんでね。
『僕と付き合って下さい』
急にどうした?うちは混乱した。失礼うちの名前は愛永、あやえって読むんや。読めんかったやろ。今私に告白してきたのは加藤君、うちの常連さんや。うちは喫茶店をやっとってな、そこそこ繁盛しとるんやけど、いやいや、こんなこと言ってる場合やない。どしよか。こう見えてうち、人じゃないんよ。地獄に仕えとるやけど門番?君たちの言うケルベロスみたいなもんやね。死んでもうた人の名前とかを見て、案内する役目や。喫茶店は趣味と仕事を兼ねとる。最後に美味しい何かを飲ませてあげたい思うて開いとるんや。いつもは向こうで働いとるから居んけど日曜はおる。日曜は毎週開いとる。今度おいでや〜。正直なとこ返答には困っとる。いい子やし。どっちかっていうと好きなんよ。要項には人との恋愛禁止とは書いてないけど。ま、いいか。『ええよ。よろしゅうな。』
『本当ですか?ありがとうございます。』この日から彼女は変わった。前のルーティンのような生活が今はとても幸せのようだ。数年後彼らは結婚した。
彼が死ぬ前夜
『うちなぁ、人やないんよ。』
『知ってるよ。いや、わかってた。』
『ほんなら大丈夫、また逢えるよ。たとえあんたが忘れてもな。』
『あぁ、そうだ、君が淹れてくれた珈琲は美味しかったよ。』
『また飲めるわ。きっと』
おやすみ
次も、また次もきっと逢えるし何度でも恋をする。
ありがとさん