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15話 ヘイラブルにて




 薬臭い、白い部屋に俺は座っていた。


 窓の外からは賑やかな喧騒(けんそう)が聞こえてきて、陽光が部屋の中を照らしている。

 寝息を立ててベッドで眠るナラトの姿はとても落ち着いていて、命に別状はないみたいだ。


「暇、だね」

「キュイキュイ」


 退屈そうに机に突っ伏して待ちぼうけしているセラフィーナが呟いた。


 俺も同感だ。ナラトが目を覚ますまでしばらく時間がかかるだろう。

 こうしてニートだった頃のように、一日をボケーッとして過ごしているのは懐かしくもあり、異世界での退屈は新鮮でもあった。


 鉤爪を弄りながら回想する。


 ナラトが目覚めるまで、これまでの経緯を俺は思い浮かべていた。




 ◇◆◇




「いやぁ、助かったよ。君たちがいなければ積荷は愚か、こっちまで魔物に喰われていたからね」

「こちらこそ。傷の処置を出来る人がいて今は落ち着いている」


 ガタゴトと馬車が揺れている。


 隣にはセラフィーナが座り、積荷に乗っかりながら俺は前方を俯瞰(ふかん)した。

 主人ことナラトと言えば包帯を傷口に巻かれて席に横たわっている。俺は景色を眺めながら、視線を馬に鞭打つ商人のおっさんに向ける。


 これまでの経緯を簡単に語ると、負傷したナラトを抱えてクイーンスパイダーを討伐してから街道に出た際、偶然俺たちはダンガンワシと呼ばれる魔物に馬車が襲われている現場に出会したのだ。


 とりあえず俺たちは助けることになり、セラフィーナの『シエラ』で飛んでいるダンガンワシを叩き落とした後、俺の『ロド』で地面に埋めて窒息死させた。


 とにかくナラトの出血が酷く焦っていて記憶が薄いが、戦いは数分もしない内に終わっていたと思う。

 ダンガンワシの脅威度は俺と同じ脅威度Eであるがあまりにも実力差がかけ離れている印象だ。


 で、助けて馬車に駆け寄ると商人のおっさんがいた。

 事情を説明するとナラトの傷を手当してくれて、ついでにヘイラブルに向かうので一緒に乗せてくれた。助けてくれたお礼と言ってくれたので、気兼ねなく乗ることができた。


「こんなに強い使い魔がいても深い怪我を負うなんてね。君たちと戦った魔物はさぞ強敵だっただろう」

「うん、クイーンスパイダーに襲われた」

「クイーンスパイダーだって? アイオンの、それも下層にしか生息しない魔物じゃないか! よく助かったね……」


 話を聞いてみればクイーンスパイダーは迷宮都市アイオンの『蜘蛛の迷宮』と呼ばれる場所にしか生息しないらしい。

 熟練の冒険者でさえ、子分のジャイアントスパイダーと連携をとりながら攻撃を仕掛けてくるクイーンスパイダーを仕留めるのは至難の業だそうだ。


 かくいうダンガンワシも蜘蛛の迷宮の中層に生息する魔物だという。こりゃ、本格的に『迷宮氾濫(スタンピード)』の被害は相当なものになってるな。


 まああれだ。


 虚弱体質のナラト。新米冒険者並のセラフィーナ。そして戦闘力ほぼゼロだったイモムシの俺。

 そんな二人と一匹のパーティメンバーでよく助かったな……。立て続けに魔物に襲われるのはもう勘弁して欲しい。


 感覚が麻痺しているのか俺としてもクイーンスパイダーに襲われたよりも、とりあえず生き残ったことが奇跡と言ってもいい。

 もしも商人のおっさんに大いなる凶狼とエルダーリッチにも襲われたとか言ってみればどんな反応をしてくれるだろうか。


 ま、俺は人語喋れないんだけど。物理的に。


「キュイキュイ」

「いい使い魔を持ったね、君のご主人様は。主人を見捨てず助ける使い魔なんて聞いたこともないよ」


 そうか? 信頼関係結んでれば俺以外の使い魔でも助けそうだが。


 と、思いかけたが確かに使い魔契約は無償で魔物を働かせ主人の奴隷になるようなものだ。


 無賃金低大遇。


 サービス残業なんて概念はなく、常に労働時間で働かせられる。当たり前だが (魔物だし)人の扱いはされないだろう。

 前世の感覚を当て嵌めればブラック企業を越えた、漆黒、いや深淵企業と言ってもいい。こうして考察してみれると俺が働きたくない職場ナンバーワンかもしれん。


 おっさんのお陰で思い出したのだが俺は称号の『■■■■■?』によって、いつでもナラトとの契約を打ち切ることが出来るように結んである。

 改めて場面場面を振り返ってみても、いざと言う時はナラトを見捨てて逃げるのことも出来た。どのタイミングでも。


 それをしなかったのは……。なんでだろうな。


「さて、そろそろ付く頃合だ」


 思考が途切れた。

 おっさんが声を張り上げると草原の遥か遠くに街の輪郭が見えてきた。

 一陣の風が吹き、白鳥が一斉に飛び立つ。白い雲の下には、真っ青な美しい湖を丸く囲むように造られた迷宮都市。ヘイラブルが瞳に映った。


 やっと、ついたのか……。初めて遠目で見た異世界の街は、美しいとか興奮の感想よりも、命の危険がなくなったことに対する安心感だった。


 馬車から降り、門兵のチェックを潜り抜けヘイラブルへの街にはすんなりと入ることができた。

 セラフィーナが一応とはいえ貴族なので、家紋を見せることで余裕にパスできたのだ。

 それに加えて顔馴染みの商人も一言添えてくれたので俺たちが信用足り得る人物だと判断したのだろう。


 セラフィーナは口数が少ないのもあるが、ナラトが剣聖の息子だということは明かさなかった。

 もしナラトがヘイラブルにいることを知られたら、四聖職の関係者を探している骸骨男(ギーラ)に狙われるかもしれない。

 今回の森の一件では誤魔化せたが、再び邂逅(かいこう)した時に誤魔化せる保証はどこにもない。

 

「じゃあなお嬢ちゃん達。気を付けるんだぞ」

「うん、そっちも」

「キュイキュイ」


 ナラトを抱えながらセラフィーナは商人のおっさんに手を振って別れたのだった。




 ◆◇◆




 回想が終わると布団がモゾモゾと動いている。


 お、起きたのかな?


 俺はナラトの傍に近づいて顔を覗き込んだ。


「うっ……」

「あ、起きた」


 何時間か見守っていた甲斐があったようだ。

 ベッドで寝ていたナラトが目を覚まし、うめき声を漏らしながら瞼を(まぶた)を開けた。見慣れない部屋の中にいることに気が付き辺りを見回した。


「アキ……ヒロ?」


 おーい、大丈夫かー?


 ペチペチと頬を鉤爪で叩くと覚醒したようでベッドから上半身を起こす。

 イモムシではなく、セミの幼虫となった俺の姿にナラトは一瞬目を疑うものの、使い魔契約を通しているので進化した俺のことは分かっているようだ。

 

「ここは……?」

「病院。進化したアキヒロのお陰でヘイラブルまで無事に付けた」


 セラフィーナの返答を聞いてナラトは自分の胸元をさすった。そこには包帯が巻かれていて、しっかりとした治療が施されている。自分が助かったという現実を認識したことで、ナラトは息を深く吐き出して安堵した。


「そっ、か……。アキヒロもセラフィーナもありがとね。うっ……!?」

「寝てて。起き上がるのはダメ。傷はかなり深いから」


 顔を潰してナラトが胸元を抑える。どうやら喋ったことで傷口が痛んだようだ。

 回復魔法を掛けてもらったものの傷口が治癒するには時間がかかる。セラフィーナの言う通り安静にしておくべきだろう。


 ちなみにこの世界での回復魔法は『サレナ』と呼ばれていた。RPGとかでよくある、傷口が数秒で塞がって治る……なんてことはないらしい。

 あくまで免疫力を高めて自然治癒する時間を早める魔法なだけであり、治るかどうかは本人次第なんだとか。病院側はナラトが歩けるようになるまでは数週間かかるらしいと言っていた。


 他の冒険者とかならもっと治りが早いと言うが……。まあナラトは体は強くないからな。仕方ない部分だ。


「しばらく安静にしてて。……何か食べたい物とかある?」


 布団を掛けながらセラフィーナが尋ねてくる。ここ一日くらいは何も食べてないので、俺としても何か口に入れてもらいたい。


「果実のジュースとか、肉類のスープとか、その辺りを頼んでもいいかな? 固形物だと胃が受け付けなさそうなんだ」

「分かった。待ってて」


 颯爽(さっそう)と部屋から出ていくセラフィーナを見送り、ナラトは俺の方を向き直る。


「僕は助かったのか……」


 濁すように言葉を吐いたナラトを見て、俺は不思議そうに首を傾ける。


 んだよ、あまり嬉しそうじゃないな。命があるってありがたいことなんじゃねえの?

 生きてるだけで人生どうにかなるんだぜ?


「聞いて、アキヒロ」


 ベットで寝ているナラトが俺に話しかけてきた。


「僕の怪我の様子も兼ねて、ヘイラブルはなるべく早く発つつもりだ」


 俺は目を丸くしてナラトを見つめた。


 え、いやいやいやいや。


 なんだどうした? 無理すんなよ。結構深くお前の胸は抉られてるんだぞ? いっそのことゆっくり治療してもいい。ただでさえまともに歩けない状態なのに、無理したら傷口がパックリ開くぞ?


 そうだ。どうせならナラトの父親が迎えにくるまでここで怪我治そうぜ。手紙とか送って事情伝えてさ。到着するまで数週間ぐらいかかるかもしんないけど、その方が一番安全だろ?


 何せナラトの父親は剣聖なんだろ。強いことには間違いないし、またギーラと鉢合わせてもどうにかなるだろ。ナラトを守ってくれる特級戦力が身内にいるんだ。それを頼らない手はないに決まっている。

 

「いてて……。そうとも言いきれないんだよ。ギーラが幾ら脅威度Aの魔物とはいえ、四聖職に考えなしに喧嘩を吹っかけるとは到底思えない」


 考えなしに、か。


 ということは何か……作戦があってダイアラームの街を襲撃したのか。俺にはギーラって骸骨男は、単に四聖職に恨みがあって軽率な行動をしただけにしか見えなかったけど。


 うーむ、考えられるとしたら大いなる凶狼みたいに同じ魔物の仲間がいるって言うのか? ギーラに協力してくれるような強い奴が。


「そう、だね。少なくとも僕はそう考えている」


 使い魔契約を通してナラトは肯定し、頷いた。


「はっきり言ってアンダンテを殺してかつ『死者傀儡術(ディプラ)』を掛けたのは人質目的と断言していい。あいつらはアンダンテを使ってエルトランゼさんを。僕を使って父さんをおびき寄せようとしてたんじゃないかな」


 街を襲ったのはナラトとアンダンテを捕まえて釣り餌目的にするためか?

 だとしても、なんでわざわざ人質をとる必要があるんだよ。


「さあね。僕はギーラじゃないから分からないよ。でも人質にするメリットは大きすぎる」


 というと?


「四聖職は七大魔境の調査や各国の緩衝役として大陸中を巡って活動しているんだ。仮に父さんにアポなしで会いたければ、現在父さんがいる場所を正確に把握した上で動かなければならない。国家ぐるみで情報が徹底的に統制されているかつ、七大魔境を始めとした危険地帯を渡ることも踏まえてね」


 めちゃくちゃ難易度高ぇじゃねーか!


 七大魔境ってあれだろ。脅威度BからAの大いなる凶狼みたいな魔物がうじゃうじゃ生息してるとこだろ? しかも四聖職の動向は国家機密レベルで伏せられてるんだろ?


 そりゃ、わざわざ会いにいって殺そうとするより、ナラトを使って四聖職を向かわせた方が手っ取り早いよな……。なるほど、納得だ。


「後はそうだね。人質を利用して予め戦う場所を指定して仲間と合流するとか。アンダンテを使って冷静な判断をできなくしたり。そんなところじゃないかな」


 ナラトの予想が当たっているとすれば厄介だな……。脅威度Aの魔物は単体で大都市を壊滅させるぐらいの戦闘能力を持つんだろ。

 それが複数体集まって四聖職を殺そうとしている。ったく、とんでもないことに巻き込まれたもんだ。


 だが幸運にもアンダンテは捕まりはしたがナラトは捕まっていない。ナラトが賢かったのもあるが、ギーラがアホだったお陰で取り逃したとも言えるし、圧倒的に不利な状況じゃないよな。


 もしもナラトも一緒に捕まっていたとすれば剣聖と勇者が拘束されてしまう。例えばギーラに仲間がいるとして。別々の方向にナラトとアンダンテを人質として利用すれば簡単に助けに行く戦力を分断できてしまう。


 つまり人質はむしろアンダンテ一人だけと言っていい。ナラトの父親と勇者のエルトランゼを一緒に向かわせることができるって訳だ。


「いや、それこそ唯一の懸念(けねん)だよ」


 どうやら俺の考えは浅かったようだ。ナラトはばっさり切り捨てると、真剣な表情で話し始めた。


「僕が『死者傀儡術』で操られて人質にされても父さんなら対応できる。親子の関わり合いは少ないけど……きっと、そうしてくれると僕は確信しているんだ。父さんなら、人質にされた僕を見ても切り捨てて戦える」


 なんだよ、それ……。


 そりゃあ、既に死んでいる人間を剣の錆にしようが問題はないかもしれない。違うな、俺が言いたいことはそうじゃない。


 実の息子が例え死んで操られているとしても、助けようとするのが親じゃねえのか? 子どもを持ったことがないニートしてた俺が親を語るのはあれだけどよ、簡単に子ども切り捨てられる親なんて親じゃないだろ。


「逆にエルトランゼさんだと危ないんだ。彼は紛れもなくアンダンテを愛していた。目の前で痛み付けられている娘を見て、冷静に物事を考えられるような人ではない」


 ……!


 そうか。ナラトの言いたいことがやっと分かった。


 エルトランゼは普通の親だからこそ、ギーラがやるような策に嵌っちまう。つまり、エルトランゼとギーラが顔合わせること自体が不味いのか。

 ギーラ自身もエルトランゼに恨みがあるようだし、これは相当な状況だ。


「それに……」


 少し含みのある言い方で。ナラトは次の言葉を紡ごうとしたが、きっと口を固く結んで閉ざしてしまった。


「ごめん、今言おうとしたことを無かったことにして。多分、アキヒロは怒るから」


 ……もう、遅せぇよ。


 言葉には出来なかったのかもしれない。けど、使い魔契約を通して俺にはちゃんと伝わっている。


 ”落ちこぼれの僕よりアンダンテの方が助かった方が良かった”、と。


 沈黙を挟みながらナラトは部屋の窓から外を覗き、自分の手のひらを握りしめた。


「僕は生きていることは嬉しいよ。死ぬのは嫌だから。でも……」


 閉まった扉に目を向け、ナラトは言った。


「セラフィーナとは、ここでお別れだ」


 お前、まさかそれで……。


「心苦しいけどね。彼女(セラフィーナ)は無関係な人間だ。四聖職のいざこざに巻き込むわけにはいかない。……いや、巻き込みたくないってのが僕の本心かな」


 ナラト……。


 だから、この(ヘイラブル)から早く去るって訳か。巻き込みたくないから、その一心で。


 だけどよ。四聖職ってなんつーか、国とか守ってる良い奴なんじゃねえの?

 そりゃ巻き込みたくない気持ちは分かるけどさ、もともと悪いのはギーラみたいな奴らで、四聖職は逆恨みみされてるだけじゃねえのかよ。


 ナラトもナラトの父親も初めとした四聖職の関係者は何の罪もないのに、親しい人間と距離を置かないといけないなんて理不尽な話だろ。


「さあね。ただ、少なくても四聖職は絶対的な正義じゃない。僕が知らないだけで色んな人間に恨まれていることは間違いないと証明された。権力を持つ人間の本質は責任が伴う支配者で、裏では幾人も犠牲になっている」


 けど、お前は剣聖の息子なだけだろ。

 加担なんかしてないし、ナラトが気にする必要なんてねえじゃねえか!


 それとも! ナラトには四聖職の家系として、ギーラ達と戦う覚悟があるって言うのかよ!


「僕は……」


 剣呑な俺の雰囲気を見て、ナラトは言葉を詰まらせた。

 静かに胸に手を当てて一息付くと、絞り出すように言葉を零す。


「四聖職の家系としての覚悟はまだ出来ていない。戦う力も持たないし、受け入れられる度胸もない。今も、これから先も。きっと、ずっとそうだと思う」


 ならっ!


「だけど、そんな僕でも父さんの力にはなってあげたいんだ。何が出来るか分からないけど。何も出来ず指を咥えたまま、アンダンテが目の前で殺されてからやっと分かったよ。もう、こんな思いは沢山だ。あいつ(ギーラ)を止めなきゃいけないのは僕の……使命だ」


 覚悟を決めたナラトの目は、以前とは打って変わっていた。


 ナラト、お前はどう見ても主人公じゃねえよ。


 見る人によればナラトは成長したのかもしれない。


 でも、俺は。誰かを助ける為ならば進んで自分から命を差し出してしまうような人間になっちまったって、そう感じてしまう。


 そのことがどうしようもなく、不安だった。


 これまでに登場した魔物の設定資料を載せておきます。


◆ダンガンワシ (脅威度E)

 蜘蛛の迷宮、中層に生息する鳥型の魔物。鉄線を短くしたような体毛に包まれ、硬い甲殻を有している。

 視力が発達しており、数百メートル先まで見通して獲物を探す。獲物を見つけると体をドリルのように旋回し急降下しながら敵を攻撃する。その弾丸の如き攻撃の様子からダンガンワシと名付けられた。


 性格は獰猛かつ好戦的。嘴は槍のように鋭く尖っており、旋回と組み合わせることで高い殺傷能力を秘めている。

 仕留めようにも硬い体毛に包まれているので物理的なダメージは薄く、高所から攻撃を行うので厄介だが魔法には弱いという弱点を持つ。

 特に雷系統の魔法に滅法弱く、体組織の多くは鉄と似たような繊維で作られている。そのためか電気を通しやすく内臓器官に大ダメージが期待できるようだ。


 ◆素材

 ・鋼鉄の羽毛

 ダンガンワシの硬い毛皮。ギザギザしてさわり心地はとても悪いが耐久性に優れている。特にこの毛皮を使った手袋は衛兵や戦士達に好評であり、独特の毛皮により剣が滑りにくく、硬いので怪我をしにくいそうだ。

 ただし装着するときに怪我をする人が後を絶たない。

 ・湾曲(わんきょく)した(くちばし)

 ダンガンワシのドリルのように曲がった嘴。1部の地方では魔除としてのお守りとして大事にされているそうだ。磨けば白金色の鮮やかな色となるので装飾品としての価値が高い。反面、武具素材としての価値はあまりない。



 ・サンドクローラー (脅威度E)

 蜘蛛の迷宮、中層に生息する巨大な芋虫の魔物。サイズは成人の倍はあり、数百の吸盤をクネクネと動かして移動する。

 主食は中層に群生するサボテン。鋭い針をものともせず貪るその姿は一部からはかわいいと称される。基本は食べ物と外敵である以外は興味がない。冒険者が横を通りかかっても無視である。

 「幼体時」ならばほぼ無害に等しい存在なのだが冒険者ギルドでは駆除の対象となっている。

 理由としては後述の成虫がとてつもなく厄介かつ危険な為。そのため討伐の証であるサンドクローラーの牙、又は成長になる前のサナギを殺して持って帰れば報酬金が貰える。


 ◆素材

 ・捻り曲がった牙

 サンドクローラーの特徴的な牙。山羊の角のように曲がっており、サボテンを効率的に食べるためこのような形になったのだとか。素材としての価値は無に等しいが、冒険者ギルドに持っていくと討伐報酬金として買い取ってくれる。

 ・サナギの抜け殻

 サンドクローラーのサナギ。成虫になる前に殺すことで入手ができる。全部持って帰ろうとも重たいので、多くの冒険者は頭の部分だけ持ち帰ることになる。サンドクローラー同様に討伐したと見なし、冒険者ギルドが買い取ってくれる。


 ・サツリクアゲハ (脅威度D)

 サンドクローラーの成体であり中層において一番危険な魔物。冒険者ギルドではかなりの注意勧告がなされている。

 主食は動物の血液であり特に哺乳類の物を好む。もう分かるだろうが、人間は格好のご馳走としかこの魔物の目には映らない。

 冒険者を見つけると勢いよくと飛び立ち、蚊のような鋭いストロー状の口吻こうふんで襲いかかる。

 この口吻はよく曲がるが耐久性が高く、並大抵の刃物では切断出来ない程硬く、鉄製の鎧ぐらいならば貫通してくる。しかもこの口吻はサツリクアゲハの大きさもあって大きさは槍サイズ。刺されたひとたまりもないだろう。


 四枚の羽には幻覚作用のある鱗粉が付着しており、逃げようとした獲物を捕食するためにばらまいてくる。強い痛みを受ければ幻覚は解けてしまうが、その時は既にサツリクアゲハに捕まっていることだろう。

 弱点は炎。サツリクアゲハの鱗粉はとても燃えやすいので一度火をつけると燃え上がる。サツリクアゲハもこれを理解しているのか、本能的に火を恐れるので松明などを持っていると襲うのを躊躇する。

 ただし、鱗粉をばらまいている最中に火を放つと粉塵爆発が発生する。冒険者自身も危険であり、中層は比較的乾燥した気候であるため火事が広がるので注意が必要。


 ◆素材

 ・燃え尽きた色彩羽(しきさいばね)

 炎により燃え尽きたサツリクアゲハの羽。もう使えないゴミでしかないのだが、冒険者ギルドでは買取が行われており討伐報酬金が貰える。

 ・惑わす色彩羽

 サツリクアゲハの綺麗な羽。紫と青が入り交じる模様は見ていて感嘆とした美しさを持つ。

 羽の表面に付着している鱗粉は幻覚作用があり危険。鑑賞する時は息を吸い込まないようにしなければいけない。この鱗粉は魔物への罠に使われたりする。

 ・危険な口吻

 サツリアゲハの口吻。普段は柔らかいがら一定の電気を通すと固くなる性質を持つ。このため、サツリクアゲハは神経を通して口吻をコントロールしているようだ。

 現在、この口吻を武具素材としての価値が見出されており買取が行われている。


 ・カレイドホッパー (脅威度E)

 別名、虹色飛蝗(にじいろバッタ)

 蜘蛛の迷宮の中層に生息する主な魔物であり、別名の通り虹色又は玉虫色に光る見た目をしておりキラキラと輝いている。

 戦闘能力は特段高くは無いのだが、虹色に光る羽を利用して目くらましを行ってくるのが厄介。迷宮から降り注ぐ光を強烈に増幅させて反射しており、外敵から身を守るために行う。カレイドホッパーを倒す際は閃光対策が半ば必要である。


 ・素材

 虹色の飛蝗羽

 カレイドホッパーの虹色の羽。とても鮮やかで美しく装飾品に使われる。ドレス等のきらびやかな服装に利用されるそうだ。




 余談として、アキヒロの進化先は既にマンネンゼミに決まっていました。他の進化先の候補にあがったのが既に考えていたこいつらと言う訳です。


 仕事が忙しくなってきました……。次回の更新は4/24の土曜日を予定していますが、更新されなかったら作者は力尽きたと考え、気長にお待ちください。

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