ガーデンパーティー開始
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その後、バルドウィン様は不思議そうにしながらも私の提案を受け入れてくれた。
後は当日のお楽しみ。どうなるかワクワクしながら舞台の準備に勤しむのだった。
それから二週間後──。
◇
「バルドウィン様、晴れてよかったですね。絶好のガーデンパーティー日和ですよ」
起きてすぐに着替えた私は、隣室のバルドウィン様の部屋へ行き、カーテンを開いて窓を開け放った。途端に緑の瑞々しい香りが風とともに吹き込んできて、私は大きく深呼吸をした。
今は新緑の眩しい季節で、雨が少ない。今日も外は私の心のように快晴だ。私が入ってきたことに気づいたバルドウィン様はもそもそと上半身を起こした。
だけど、笑顔で話しかける私とは反対にバルドウィン様の顔色は優れない。
「なんで君はそんなに元気なんだ……私はこれからのことを考えて、もうすでにウンザリしているよ」
「それは今だけですよ。成功すればきっとバルドウィン様も笑顔になりますって」
「……それが余計に恐ろしい気がするのは私の気のせいだろうか」
「まあまあ。昼過ぎには皆様いらっしゃるんですから、早めに朝食を摂って打ち合わせをしましょう」
「わかった……」
と言いながらも、バルドウィン様の動きは鈍い。焦れた私はバルドウィン様からシーツを剥ぎ取ると、用意してもらったバルドウィン様の服を押し付けた。
「急がないと、私が服を剥きますよ」
そう言うと、バルドウィン様は慌てて夜着で立ち上がる。まったく。一人でできるのなら最初からやって欲しい。こうしていると、実家で弟妹たちの面倒を見ているのとそう変わらない気がする。
「じゃあ、私は一足先に食堂にいっているので、着替え終わったらすぐに来てくださいね。今日は忙しいんですから」
「わかったわかった」
「返事は一回でいいです」
「わかった!」
半ばヤケクソに叫ぶバルドウィン様。余程集まりが嫌なのだろう。いかに嫌なことを後回しにするかを模索しているようにも見える。
困った大人だ。
私はこれからのことを考えて楽しくなっているというのに。まあ、バルドウィン様には具体的な内容を秘密にしているから、というのもあるかもしれない。
その後も乗り気じゃないバルドウィン様の尻を叩いて、ようやくガーデンパーティーが始まった。
◇
「来てくれてありがとう」
「ようこそおいでくださいました」
バルドウィン様、私、の順番で招待客に挨拶する。
今、私たちがいるのは庭園の入口。そして私たちの後ろにはメイドたちが待機している。席順を決めているので、私たちの指示でメイドたちがここから招待客を席に案内するというようにした。
席順を間違えると、誰が上で下だ、という喧嘩になりかねないし、元々相性が悪い者同士で相席になると、他の客が気を遣う。特に今回のような思惑満載の集まりになると主催する私やバルドウィン様の手腕が問われる。
それに、今回はユーディット様のために席順に仕込んでおいたのだ。彼女はご両親と来るはずだから、そのあたりも考えた。うまくいくといいけれど。メイドたちに指示を出しながら、私はユーディット様の訪れを待った。
実を言うと、直接会うのが楽しみだった。何せあの手紙の主。自分に個性がない分、そういった個性的な方が羨ましい。
そして、招待客に挨拶を交わしていて、ふとこちらへ向かっている人影に気づいた。
いや、人影は人影なんだけど、何かがくっついている。
何だろう、あれ。ふよふよと極彩色の物が風にそよいでいる。しかも、その人物の周辺一帯がキラキラと眩い光を放っているような……。
こちらに近づくたびに、その光が増していって直視できない。眩さに目を逸らした途端、そちらから声がした。
「お久しぶりですわ。バルドウィン様」
涼やかな女性の声。
続いてまた別の声が聞こえてきた。
「お招きありがとう」
「……呼んでいただき、感謝いたしますわ」
今度は渋い男性と高圧的な女性の声。
待ちに待っていたフィッシャー男爵一家だった。
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