魔王とランクと新依頼
新しい作品、「鬼畜世界ぬるゲー化計画」です。
〜あらすじ〜
いつも通りのサバイバルを楽しんでいた
自称生産系サバイバーの主人公クルス。
しかし、夕飯の材料の確保中に奇妙なものが。
鬼畜世界に迷い込んだサバイバーは
鬼畜世界をぬるゲー世界に変えられるのか。
今日も今日とてサバイブ中!
興味があればぜひ読んでみてください。
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魔王は先日にスタンピードで活躍した為、冒険者ランクが上がりFランクからDランクに上げられていた。本当はもう一つ上のCランクでもいいくらいの実力だが、二つ飛ばしはあまり良くないとのことだ。
なぜなら、一気にランクを上げて調子に乗った冒険者が大怪我を負ったりすることがあるからだ。
しかし、次のランクに昇格する手前くらいの実力であれば、次のランクの難易度を体感してもらって気を引き締めてもらうというのがあるそうなので、Cランクの仕事もある程度は受けることができる。
魔王はCランクの討伐の依頼でレベル上げをする予定である。ちなみにCランクは大抵はレベル75〜100くらいなのでレベル100の魔王なら互角以上なのは確実だ。
早くも魔王は中堅冒険者になった。
さっそくCランクの依頼を受けるべくギルドまで行き、依頼の貼ってある掲示板を眺めた。Cランクの依頼はワイバーンや、マーダーチーターというのばし棒の多い魔物、ブラッディシーカーという厨二的な名前のリスのような魔物の討伐依頼、比較的危険な環境下にある珍しい薬草、鉱石などの採取依頼とバリエーションが豊富なようだ。
魔王はとりあえず気になっていたブラッディ
シーカーの討伐と珍しい鉱石の採取の依頼を受けた。二つの依頼の場所は同じ地域らしいが、割と遠く、寒い地域らしい。寒さ対策はしておくべきだろう。
魔王は一度宿に戻って準備することにした。
・・・・・・・・・
「どんな感じで寒さ対策していこうか。」
魔王は少し考えた末、腕輪に周囲空間温度調節の効果の魔法陣を刻むことにした。
見た目を簡素でただの銀の腕輪のように見えるようにするために、まず基盤となる薄く小さい鋼鉄の板に、魔法で液状化させたミスリルを使って魔法陣を描き、描き終わったら魔法でミスリルを冷やす。
次にその板をこれまた魔法で溶かした銀を腕輪の形にしながら基盤を包んだ後、
魔力を注ぎ込めるように腕輪の内側にあたる部分の表面と基盤にミスリルの線を一本通すしておく。
最後に、腕輪の形をしっかりと整えてからすぐさま冷ます。
こうして魔王はあっさりとこの世界では作れる者がいなさそうな高度な魔道具を作った。
そもそも、基盤の小さな薄い板に魔法陣を描く時点でかなり難しい。
それに、液状化させたミスリルで細かな線を生み出すのはこの世界の職人が見たら卒倒する。
さらにそこに銀を被せても機能するようにしているのだからおかしい。
相変わらず生産に特化してしまっている魔王だった。
ちなみに、小さな基盤の魔法陣だけで半径2メートルの温度が調節できるようになっている。一家に一つは欲しいくらいだが売られるとしたらゼロがたくさん並んだ金額になる。権力と金のある者のみが手にするのだろう。現実は悲しいものだ。
腕輪を作り終わった魔王は宿屋の娘に見つめられながら昼食を終え、さっそく依頼の場所へ向かうべく、宿屋を出て行った。
「いってらっしゃい、お客さん。」
宿屋の娘は律儀に見送っていたが、内心としては、当分会えなさそうなのでハグくらいはしておきたかったということしか考えていなかった。
目的地は遠いとは言っても馬よりは早いであろう魔王なら2日かかるかかからないかといった程度だ。野宿をすることにはなるだろうが、道中ではあまり強い魔物は出ないらしいので問題ないだろう。
・・・・・・・・・
道中は街道で、馬車とすれ違うことはあったが、魔王の馬より早い移動を見ても誰も特に驚くこともなく、同じような景色の続く退屈な移動が続いた。
しばらく進むと出発地点と比べ少し気温が低く、肌寒く感じるようになった。季節は春だが夏に近い。まだ目的地まで半分ほどあるがここまで季節を逆走したようになるとは驚きだ。目的地はどれほど寒いのだろうか。
日がかなり傾いて夜が近づいた頃、ようやく魔王は走るのをやめ、ストレージからテントを取り出し、ついでに食事も取り出して全て平らげた。
まだ寝るのも早い気がするので魔王はテントに魔物避けの機能をつけることにした。
まずは毎度お馴染みのミスリルを取り出す。
ミスリルを魔法で粉末状にして取り出した魔力を注いである水と混ぜる。そしてテントに魔法陣を描く。
ちなみにその魔法陣は、結界型で、半径15メートル以内に魔物が入ると空気中とその魔物が微量に放出している魔力を使って自動で結界を生成する。そう、自動だ。生まれてくる文明を間違えていそうだ。
3分と経たずにテントを魔改造し終わった魔王はやっぱりまだ寝るのには早いので周辺で魔物を狩ることにした。寝る時間まで狩るなら魔物避けがいらない子になる気がするが終わったことを言っても仕方がない。それに万が一に備えるのは良いことだ。
周辺を索敵する。割とたくさん魔物がいるようだ。一番近い魔物のところに走っていく。見た目は鹿のようだが、ツノが全て上にまっすぐ伸びていて槍のように鋭い。鹿のような魔物は頭を下げると、そのまま突っ込んできた。その殺意マシマシなツノでどつこうとしているらしい。魔王は避けるが、下からも突き上げるように何度もツノを振り回す。ヘッドバンギングをしているみたいにしか見えないが、魔物はいたって真面目(?)だ。
魔王はストレージから剣を取り出すとツノをサクッと斬ってから魔物の首を静かに一刀両断した。魔物は首をなくして立ったまま固まった。自分の首が飛んだということにも気づかないほど抵抗なく、音もなく斬れたのだった。
それから少しの間、周辺ではほとんどの魔物が音もなく首を落とされて血を撒き散らしながら散っていった。
その後、この周辺には魔物が寄り付かなくなり、行商人の休憩所になったとかなってないとか。
魔王はいい運動《殺戮》をして軽く疲れた体を休めるためにようやく寝ることにした。
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