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転生魔王は異世界を廻る(めぐる)  作者: 逸雲 仁弦(いつもにーと)
魔王、初めての転生、最初の世界。
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魔王、胃袋を掴まれる。

二話目です。

忙しいですが、投稿頻度が落ちないように

頑張って書きます。

街を歩きながら宿を探す。

俺はちょうど目にとまった清潔そうな宿に泊まることにした。いい匂いがしてくるが、断じて食べ物の匂いに釣られた訳ではない。

マオウ、ソンナニチョロクナイ。


宿に入ると、宿屋の娘が声を掛けてきた。宿屋の娘も顔を赤らめている。

…この世界の女性は特に体温が高いのだろうか?

不思議な生態だ。


「食事ですか?泊まりますか?それともわ・た・し?」


「食事を出せるなら用意してくれ。結構腹が減ってるんだ。それと一人部屋が空いていればそこに泊まりたい。」


「わ、わかりました。部屋は空いているので食事込みで銀貨6枚です。食事はすぐ用意するのでそこの席で待っててください。」


哀れ、宿屋の娘はセリフの一部を無視され、

とぼとぼと宿屋に備え付けられた厨房に向かった。


料理は宿屋の娘の言葉通り、いい匂いを漂わせながらすぐに運ばれてきた。見た目も酷いことはなく、元の世界で食べたどの料理よりも美味そうだった。というか、元の世界は結構殺伐としていたために余裕がなく、食材も料理人も乏しかったのである。そんなわけで柄にもなく子供のように目を輝かせた魔王は即座に食べ始めた。


「美味すぎる…こんなにちゃんとした料理を食べたのはいつぶりだろうな…」


魔王はどんどん料理を平げ、宿屋の売り上げに大いに貢献した。


宿屋の娘はイケメンの胃袋を掴むことに成功しニマニマしていたため、両親にそれはもう生暖かい目で見られたという。


料理を腹一杯に食った魔王は、渡された鍵に書かれた番号の部屋に行き、元の世界で部下に内緒にしていた趣味である宝石細工を始めた。秘密にしていた理由は単に、そんな余裕は無いと怒られそうだったからだ。しかし、今ならばその余裕もあり、なおかつこの世界でも結構高値で売れたので大事な収入源という大義名分もあるのでなんら問題はないのだ。


まずは宝石の調達。魔王は魔法陣を描き、ストレージから適当に鉱石を選び、それを魔法陣の中に置く。そして魔力を注ぎ込み、鋭い集中力をもって鉱石から宝石を取り出し、不純物を取り除き、少しだけ成分を魔力の力技で調節する。世の宝石商が羨む凄技である。魔王よりも宝石商が向いていそうな魔王はその宝石を完璧にカットすると今度は金を取り出して宝石をはめる場所をつけたリングの形にすると、その表面に細かな線で見事な模様を描いた。そしてそのリングに宝石をはめるとそこにはプロも全裸でスライディング土下座するほど美しい作品があった。


実は、宿屋に来る前に売った宝石はまだ経験を積んでいなかった段階の物であるため、魔王にとっては今よりも出来が悪いのだ。それでも上等だと判断された事から魔王のスゴさが伝わってくる。冒険者になるよりも稼げることは明白だろう。しかし、魔王がそれに気づいていないので魔王にそれを知る術は無かった。


魔王は同じように宝石細工をどんどん作っていった。集中しすぎていつの間にか魔王の周りは足の踏み場も無かった。そんな魔王に宿屋の娘が扉越しに話しかけてきた。


「お客さん。もう夕食ができてるので部屋に運びますよ?」


「ああ、頼んだ。」


魔王は考えずに返事をした。宿屋の娘が部屋に入ってきた。魔王の周りを見て硬直、目を見開く。


「な、な、なんですかこれぇ⁉︎」


「ああ、宝石細工を作っていたところだ。」


「…見てもいいですか?」


「ああ、見ても触ってもいいぞ。」


宿屋の娘が宝石のはまったリングの一つを手に取り眺める。素人目にも凄まじい作品だ。


「なにこれすごい綺麗…」


「欲しいなら一つだけやるよ。」


「本当ですか!嬉しいですけど、なぜ?」


「料理が美味かったからその礼だ。それをやるからこれからも俺に料理を作ってくれ。」


宿屋の娘は顔を真っ赤に染めた。


(これってもうプロポーズですよね⁉︎指輪渡してこれからも俺に料理を作ってくれってそういうことですよね?そうですよね?)


宿屋の娘の脳はフル回転し、未来の自分の想像が頭を駆け巡る。

大きな家でイケメンを「あなた」と呼び、笑顔で料理を「あーん」する自分、仕事をしに出掛ようとするイケメンをハグして見送る自分、ベッドで一緒に寝て愛を囁く自b


「どうした?ぼーっとして?リングのサイズが合わなかったのか?俺がつけてやろうか?」


良くも悪くもなんだか純粋な魔王はそんなことを言い、宿屋の娘の手を取り、どの指によくはまりそうか模索した。


「薬指が合ってるか?」


宿屋の娘の心にクリティカルヒット!

昇天しそうなほど緩んだ顔になっている。


「いや、人差し指が一番ピッタリハマるな!」


無慈悲に告げられる一言。

宿屋の娘の心に先ほどとは別のクリティカルヒット。宿屋の娘の幸せはどこかへ飛び去ったのちに撃ち落とされて燃やされていそうである。


「お、似合ってるぞ。」


燃やされた幸せはフェニックスのように灰から復活し、軽やかに舞い戻ってきた。


「えへへっ、そうですか?ありがとうございますお客さん。」


宿屋の娘は上機嫌で魔王にハグをしてから帰っていった。


※料理は魔王が美味しくいただきました。


魔王は明日に備えて、ではなく、作業の疲れと、食べた後の眠気から欲望のままに眠ろうとした。

しかし、またもや宿屋の娘が来て話しかけてきた。


「お風呂が一つだけあるんですが入りますか?あいにくお客さんが少ないので空いてますよ?」


「おお、風呂まであるのか!もちろん入る。」


風呂は少し狭いが十分な大きさがあった。


「お背中流しましょうか?お客さん?」


「いや、問題ない。」


魔王は風呂に入ってさっぱりして、今度こそ寝ることにした。


魔王が風呂に入った後に宿屋の娘が濡れた魔王の意外と鍛えられた筋肉を見て鼻血が出ていたり、残り湯に浸かって魔王の入浴シーンを想像してのぼせたのを両親が生暖かい目で見ていたのは宿屋の娘とその両親以外に知るものはいなかった。

評価、感想をくださるとありがたいです。

よろしくお願いしますm(-_-)m

追伸:生暖かい目ではなく暖かい目で見ていて

くださると嬉しいです

(ΘωΘ) ※生暖かい目

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