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転生魔王は異世界を廻る(めぐる)  作者: 逸雲 仁弦(いつもにーと)
魔王、初めての転生、最初の世界。
17/46

魔王と勇者

今日は勇者がこの街へ来る。

聞けば昼前に来るらしい。


この世界の勇者と元の世界の勇者との装備や性格の違いを把握しておきたいところだ。


魔王は露店の準備を進めながらそんなことを考えていた。


「ねえねえ、お客さん。そういえば名前はなんていうんですか?露店を手伝うほどの仲なのに名前を知らないなんて変でしょ?」


宿屋の娘が期待するような目でこちらを見ている。


「ベルクだ。かく言うお前の名前はなんて言うんだ?」


「私の名前ですか?私はアイナです。」


なぜか得意そうに名前を言ってきたが自分の名前が誇らしいとかそう言う感じなんだろうか?


実際は魔王の名前を聞けて、さらに魔王の方から名前を聞かれて自分に興味を持ってくれたと単に喜んでいるだけである。


「なんなら呼び捨てで呼んでくれてもいいんですよ?」


「名前を知ったばかりで呼び捨てっていうのもなんだが…アイナ。」


アイナは不意に呼ばれて顔を赤くしながら恥ずかしそうに悶えている。


「って呼べばいいんだよな?」


アイナは名前を呼ばれることに免疫をつけないと会話もままならなかった。


その間にも進めていた準備はようやく終わったようだ。忘れているかもしれないが、そこら辺にある露店と同じように割と雑な置かれ方で置かれている品々は魔王が作ったとんでもない技術のこもった逸品である。こんな風に、こんな大量に置かれていたらもはや胡散臭いが素晴らしい品々である。


そんなよくわからないヤバい店の前に男達が立ちはだかった。


「おい、お前。誰に許可もらってここに店を出してんだ?しかもこんな大量に効果そうなもん置いて。」


露天を出すのに許可は必要ないと聞いていたんだが?


「なあ、アイナ。何か許可とかいるのか?」


「え、別にそう言うわけではないんですけど、ここはゴロツキ達の縄張りだったみたいです。」


「てことで特に許可は必要ないらしいぞ。」


「あ?わかってねぇな。おい、やっちまえ。」


(ゴンッ)


「ああああぁぁぁぁぁ…」


後ろに控えていたゴロツキ2人が暴れ…ようとして魔王に投げられた。

1人は道端の大きめの石にぶつけられ、もう1人は坂になっているところを転がっていった。


「え?」


取り残された男が呆然としている。


「お、お前、まだ何もしてないのにこんなことしていいと思ってるのか⁉︎」


「壊される前に投げただけだろうが。石に当たったのも坂を転がっていったのも偶然だから仕方ないな。」


「クソ、なんて嫌な野郎だ。これで終わると思うなよ。」


捨て台詞を吐きながら取り残された男は石にぶつかった男を抱えて坂を下っていった。


「アイツらは何がしたかったんだ?」


結局、ゴロツキが絡んできた影響はこの一部始終を見ていた人々がアクセサリを買いに来たことだけだった。


・・・・・・・・・


〜1時間後〜


「あの、これください!」


「私はこれを!」


魔王の露店は女性客で溢れていた。


噂は広がるのが早いようで、ゴロツキ騒動の後に買った客全員が絶賛し、広めたらしい。


その結果ここだけ人口密度が高く、魔王は異様に儲かっていた。


飛ぶように商品が売れていたその時、


「「「勇者様ー!」」」


どうやらもう勇者が来てしまったようだ。

客は勇者か商品か一瞬考え、

商品を選んだ。


客がいるせいで魔王からは勇者が見えなくなってしまっている。


「「勇者様⁉︎」」


何があったんだ?気になるんだが見えない…


「やあ、お嬢さん方。どうしたんだい?こんなに集まって。」


ん?勇者、そこにいないか?


「え?勇者様?なんでここに?」


勇者は思ったより反応が薄いことを気にしつつも、魔王の方をチラ見した。


「なるほど、すごいアクセサリだね。僕も一つ買っていこうかな。」


なるほど、この世界の勇者はこんな感じなのか。何を考えているかは読めないが装備はなかなかの物だな。腰の剣が一番いい装備のようだが聖剣か何かだろうか。

今の俺よりは確実に強そうな気配がするな。


「これで足りるかな?…うん、すごい技術だね。ところで、店主の青年の横のお嬢さん、僕とお茶しないかい?」


お、アイナが勇者に声をかけられた。

玉の輿チャンスだな。


チラッと魔王を見るアイナ。


ん?なんだ?


「いえ、私はべ、ベルクさんの露店を手伝っているのでここを離れるのはちょっと…」


「そう、それは、残念だなぁ。」


ちょっと寂しそうな顔をしながら魔王の方を見る。


「君はなんだかいいライバルになりそうな予感がするよ。君の名前は?」


「…ベルクだが。」


「ベルクか、覚えておくよ。あ、そろそろ戻らないと仲間に怒られそうだ。じゃあまたどこかで会おう。」


…なんだったんだろうか。ライバルになりそうな予感っていうのもどんな予感なんだろうな。全くわからん。


「というか、アイナは勇者とお茶しなくてよかったのか?」


「えぇ…そういうこと言っちゃいます?やっぱり女の子のことわかってないですね。ベルクさん。」


解せぬ。女性と話している暇なんてなかったんだからわからなくても仕方ないよな?


勇者に話しかけられて「近くで見ると勇者様よりベルクさんの方がイケメンでは?」と思っていたアイナだった。

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鬼畜世界ぬるゲー化計画

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