魔王と色違い
バーサーカーな魔王がかえり血まみれで真っ赤になったころ、そいつらは魔王の前方にいた。
普通のトレント普通のトレントはただの木のような色だ。だがこのトレントたちは違った。
金色と銀色のトレントたちだった。
大きさは少し大きめだ。
「何だこのトレントたち?全く擬態できてない。とにかく派手だが何がしたいんだ?」
ちょっと考える。
...!こいつらが色が違う魔物なのかもしれないな。早速狩ろう。
魔王は一気に近づいて剣を振る。だがトレントたちもかえり血まみれのヤバいヤツがいると分かっていたのか、跳んで避けた。
今までのトレントたちは跳ぶことはできなかった。つまり能力的にもほかのトレント達とは違うのだろう。
銀色のトレントはかなり素早いようでこちらを翻弄しようと周りを不規則に動いている。
さらにはたまに葉を飛ばしたり枝で突き刺そうとしてくる。
金色のトレントはあまり素早くないようだ。
銀色のトレントと比べて何が違うのかは今のところわからないから警戒しておくべきだろう。
金色のトレントに目を向けた瞬間、銀色のトレントが飛びかかってきた。鋭いナイフのような鋭い銀色の枝を全てこちらに向けている。
だが全ての枝をまとめて向けているわけだから避ける事ができればなんてことない。
避けた後に横からさくっと剣を突き刺す。
感触は思ったよりも硬かった。ワイバーンを斬った時かそれよりも少し硬いくらいだろうか。トレントにしては異様に硬い。それでも致命的な傷のため、銀色のトレントは倒れた。
そこで金色のトレントが飛び上がり、上から潰そうとしてくる。休ませてはくれないようだ。
当然これも魔王は避ける。
(ズドン)
どうやら金色のトレントはかなりの重量を持っているようだ。のしかかられたら厄介だったろう。
着地で硬直している隙に斬りかかる。
こいつはさっきのヤツよりさらに硬い。
一度斬りつけただけでは致命傷を与えることができなかった。
鉄の剣では傷がほとんど付かないだろう。
こいつらはトレントなのに木ではない何かでできてたりでもするんだろうか?
ランクもおそらく普通のトレントがCだから一つ上のBランク相当の強さだろうか。
テラトレント程ではないが強い。
飛ばしてくる葉もよく見れば少し表面が光っていて硬そうに見える。
硬く重い枝を振り回し、のしかかろうとしてきたり、なかなか先程斬ったところをもう一度斬るのは難しい。
のしかかり攻撃をしてきたところで避け、水魔法を目眩しにする。トレントがそれを払っているうちに斬りつけた。
今度こそ致命的な深さに達したようだ。
ようやく金色のトレントも倒れた。
お、レベルが120になった。
思ったほどは上がらなかったが割といい感じの経験値量だったようだ。
さて、目標の色の違う魔物を倒すことができたことだしそろそろ街に帰ろう。テラトレントと色の違う魔物といい、思った以上に時間がかかってしまった。
依頼の達成報告も日が暮れる前に済ませたなくては。
・・・・・・・・・
帰ってきた魔王はトレント五匹をギルドに納品した。
「トレント五匹納品、確認しました。こちらが依頼の報酬です。」
「ああ。それと、とにかくデカイのと色の違う魔物二体がいるんだが、よくわからないから調べてもらいたい。」
「え、ええ。分かりました。鑑定士に伝えておきます。」
・・・・・・・・・
「はぁ⁉︎テラトレントじゃないか!こっちの二体のトレントも見たことないぞ!あんたは珍種ハンターか何かなのか?」
よくわからんが何かすごかったらしい。
「テラトレントはBランクの魔物の最上位だが、ここら辺じゃぁ百年に一度現れるか現れないかのかなりレアなヤツで、この金色と銀色のトレントに至っては見たことない。買い取らせてもらえないか?それがダメでもせめて少しサンプルを取らせてくれ。」
「素材として使うかもしれないから買い取りは無理だがサンプルを少し取るならいい。」
「ありがとう。助かるよ。」
この世界に来てから驚くことは多いが、ここの人間にとってもイレギュラーが多いようだな。ツイてないのかツイてるのか分からんがまあイレギュラーな事態にはこれからは注意しておかないとな。
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