第一章:同じ境遇で(2)
湊の朝礼が始まった。
湊は自分の事務机の上から出席簿らしきものを取った。
「出席をとりまぁ〜す!!竣!!」
毎回思うんですけど、見れば分かるんじゃないんですか・・・出席なんて。
そんな意見が竣にはあったが、心の中に留めておいた。
湊の性格は一応分かっているつもりだからだ。
だから、彼は「はい!」と、元気よく返事をしたのである。
「稔さん!!」
「はぁ〜い」
稔は相変らずののほほ〜ん口調で答えた。
一見ふざけているようにも見えるが、本人は至って真面目らしい。
彼は、そんな恨めない性格の持ち主である。
「裂!!」
「あい!」
先ほど稔達と一緒に会話していた男である。
湊探偵事務所のムードメイカー的存在である。
「ゆ〜い!」
「はい」
彼女も先ほど稔達と会話していた一人である。
名は優衣。長い髪を持った彼女は、かなりの天然である。
全員の名前を呼び終えると湊は出席簿を事務机を上に雑に置いた。
「ん〜全員いるわね〜じゃあ今日はそんなに話すこともないから解散!!」
そう言うと、湊は自分の椅子に勢いよく腰かけた。
それを合図に、他の4人も大きなテーブルを中心に自分達の定位置に座った。
こんな風に湊探偵事務所の一日は始まる。
朝早くから朝礼が始まり、終わると後は依頼が来るまで待機というわけである。
まぁ依頼なんてよくて一日一件だろう。
最低な時は一週間依頼なしという時もあったぐらいだ。
給料はそれほど高い値は期待できない。
それでも、一件の依頼料が結構高いので全員何とか生活はしていけているようだった。
待機中はいつも5人で他愛のない話をして暇をつぶす。
今日も例外ではない。
竣も最初は皆と楽しく話をしていたのだが、いつの間にか夢の世界へと入ってしまっていた。
短くなってしまいました・・・