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第66話

みんなに相談を受けた。ベルさんのお誕生日のことで。明日はベルさんのお誕生日な訳だが、プレゼントが…。ボルルックシティにいた2月頃、「ベルさんのお誕生日はまだまだ先」とみんな思っていた。しかし2月末にマルティナ姫の依頼でマルフォーレ国に入り、更にグレイリーの街で3月4月を過ごし、5月の初旬ころから、国境を越えるのに1ヶ月も牢屋に放り込まれ、真っ直ぐベネート村へやってきて6月21日が今日。ぶっちゃけみんな何にも買ってない。そしてベネート村には誕生日プレゼントになるような洒落たものを売っているお店はない。もう頼れるのは【アイテム購入】だけなのだ。因みに私は3連ガチャのつもりでいる。


「ガチャはズルいよなあ…」

「すいません。」

「なんかいいもの…」


みんなで悩んだ。シータさんとイシュさんは『右手がなんとなく疼くようになる眼帯』を推していたが、ミーニャさんに却下された。

因みにベルさんは私の母に『黒曜屋』への紹介状と、『黒曜屋』への地図を渡しに行っている。


「これにしよう。」

「そっすね。」

「調和がとれてるにゃ。」



***

来たる誕生日。

テントの中でお祝いした。


「こんなところで申し訳ないですが、ベルさん、お誕生日おめでとうございます。」

「「「おめでとう!」」」

「ありがとう。」


ベルさんが微笑んだ。


「初めに謝っておくが、プレゼントを用意する時間も場所も全然なかった。」

「無理もないわ。」

「というわけでジゼルのスキルに頼ったんだ。」

「自分ら3人からまとめて2つのものっすけど。」

「受け取るにゃ。」


タブレットに予め三人がお金をチャージしてある。

購入したものは…

激運ドリンク×1:飲んでから30分間激運に恵まれる。

お食事券(肉)×5:5人前の美味しいお食事を用意してくれる。肉が主菜だがメニューはランダム。味の保証はする。※酒はつかない。


「ありがとう。」


ベルさんはドリンクとお食事券を受け取った。


「じゃあ、私からは『3連アイテムガチャ/60万』を贈らせていただきます。」


ベルさんは激運ドリンクを飲んだ。


「じゃあ、ボタンをどうぞ。」

「ええ。」


ベルさんがボタンを押し、パパーンとアイテムが排出された。スクロールが出た。

トレジャーハンタースクロール:開いた者はお宝の在りかがなんとなく察知できるようになるスクロール。※結構正確です。


「結構正確なのね…とりあえずスクロールを使うのは後にして次行くわよ。」


パパーン!

重軽おもかるメイス:所持者にとっては通常通りの重さのメイスだが、攻撃された相手にとっては重量が重くなるメイス。初撃が1倍、2撃目が2倍、3撃目が3倍、4撃目が4倍、5撃目が5倍の重さになる。※収納リング内では通常通りの重量です。


「地味にありがたいわね。」

「でもベルの兄貴のメイスって、基本当たれば相手を潰せることが殆どじゃないっすか?」

「イシュは【エンチャント】がなかった頃のことを知らないからなあ…」

「ええ。アタシのメイスじゃアントの外殻を割るのは無理だと思うわ。今普通に攻撃が通るのはジゼルちゃんの力が大きいのよ。」

「そうなんっすか…」

「まあ、ありがたいわ。次行くわよ。」


パパーン!

スキル購入権(1回):ジゼルのタブレットから好きなスキルを購入できる。※い、一度だけなんだからね!


「これはぶっちゃけ物凄く嬉しいわ。」

「欲しいスキルがおありなのですか?」

「ええ。でもかなり高いから頑張ってお金貯めるわ。」


ベルさんの貯蓄額でも足りない程度なのかー…何が欲しいんだろう…

ベルさんは大切そうにスキル購入権と重軽メイスを収納リングに仕舞った。

そしてトレジャーハンタースクロールを開いた。


「……この辺りにお宝はなさそうね。」

「でしょうね。」

「じゃあ続けて『お食事券』の方を使うわ。」


ベルさんがお食事券をタブレットに吸わせた。

パパーン!

生ハムとタマネギとトマトと胡瓜のマリネ、コンソメスープ、子牛のステーキ、ローストビーフ、牛すね肉の赤ワイン煮、テールシチュー、白パン、バケット、極上ティラミス、が出た。

テントの中が皿で埋まっている…


「おお!うまそう。」

「皆で食べましょ。ルビーの方のワイン開けるから。」


マリネはさっぱりだけど、生ハムの旨味が良く合っている。コンソメスープは味わい深い。ぎゅっと旨味が凝縮された味。子牛のステーキは柔らかい肉がステーキにされていて美味しいソースがかかって味を引き立てる。赤み肉を使ったレア感の楽しめるローストビーフは醬油ベースのタレでいただく、堪らない味。牛すね肉の赤ワイン煮は筋の多いはずのすね肉が柔らかーくなるまで煮込まれたお洒落な一品。テールシチューはとろっとろになったテール肉と絶品のルーが悶絶物。超美味しい。それぞれ白パンや固めのバケットと合わせて美味しくいただいた。私は飲んでないが、皆は更に、ストラ・アト・ルビーに酷似した味わいの美味しい赤ワインを開けている。ものすごく美味しいと言っていた。


「これは堪んないわねえ…そこいらの高級レストランじゃ太刀打ちできなさそうな味だわ。」

「旨い肉がたっぷり食べられて幸せだ。」

「テールシチューお肉トロトロっすねえ。」

「しかも1皿ずつが結構ボリュームあるにゃ。お得感。」

「頬っぺた落ちちゃいますぅ…」


たっぷりお肉類を食べた後ティラミス。


「濃厚でクリーミーなのにほんのりした苦みと洋酒の香りが絶品ね。」

「美味しかったっす。」

「旨かったな。」

「最高にゃ。」

「ベルさん、少しはいい誕生日になりましたか?」

「ええ、とってもいいお誕生日になったわ。でも本当はプレゼントが無くても、料理が無くても、皆が祝ってくれるだけでこの上もなく嬉しいのよ。」


私たちは微笑んだ。


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