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第63話

「アタシたちはどうしてこんなところにいるのかしら?」

「解せません。」


私たちが今いるところは牢獄である。マルフォーレの関所に例の手紙を届けたらあからさまに疑われたのである。更に姫様から貰った王家の紋章の入った飾りボタンを見せたら「騙りだ!」と言われて牢にぶち込まれた。ひとパーティーまとめてぶち込まれたのは運が良かったが、トイレが牢に備え付けなのである。皆後ろを向いてくれるが滅茶苦茶恥ずかしい。

収納リングは没収されなかったが、収納バッグや武器防具の類は没収。兵士たちが、押収品を喜んで分配する相談をしている。一応王家に「○○を騙る者が現れました。」と報告を上げているらしいが、殆どの兵士は「許せん、首を刎ねろ。」という返答があるものと信じ切っている。

牢獄に入れられるとき『魔力封じの腕輪』をつけられてしまったので【クリーン】も使えず、何だか痒い。収納リングの中に入ってるものは取り出せるので、みんな旅路の途中で購入したおやつを貪り食っているのだが。だって牢での食事って昔の我が家レベルなんだもん。それでも私とミーニャさんは貧しい時代を経験しているから「なんか懐かしい気もする…」とある意味諦観を持ててるが、シータさんは本当にイライラしている。空腹分を『迷い人の糧』で補っているのだが、あれ、美味しいわけじゃないからね。アイスハーブティーボトルが収納リングに入っていたのは不幸中の幸いだろう。干しブドウを食べながらお茶を飲んでいる。


「どうするっす?報告がマルティナ姫まで上がらずに、『首を刎ねておけ』って言われたら。」

「まあ、万が一の場合、収納リングに入ってる予備の武器で脱走は出来ると思うけど『魔力封じの腕輪』がね…」


ヒソヒソ喋る。収納リングまで取りあげられたら堪らないからね。牢獄は丈夫だし、武器防具も取り上げてるし、『魔力封じの腕輪』までつけているから完璧に安全だと思っているらしく、見張りはいないし、見回りもあまりやってこない。


「逆に無実が証明されて平謝りされたらどうするにゃ?」

「とりあえずここにいる兵にはボクたちが牢に入れられたのと同じ日数臭い飯を食べて欲しい。」

「ついでにアタシたちは要らないけど、持ち物全部売り払ってどこかに寄付してほしいわね。」

「ボクのフローレスソードは果たして無事なんだろうか…」

「……もう売られてるかもね。……売られていたらそれくらいの罰則じゃ、ちょっと許せそうにないわね。」

「にゃーは収納バッグに全財産入れてたから痛いにゃ。買ったばかりの『迷い人の糧』と『クリエイトウォーターボトル』…」



***

という感じで1ヶ月ほど牢に入れられたが、突然牢から出された。


「も、申し訳ありません~~~~!!!」


謝罪パターンらしい。どうやらきちんとマルティナ姫まで報告が上がったらしく、マルティナ姫は目を剥いたそうだ。『銀の匙』は姫の命の恩人にして、国王の命の恩人でもある、マルフォーレ国にとって国賓級のパーティーであるからして。マルティナ姫は烈火のごとく怒ったらしく、「本物と偽物の区別も出来ぬような無能な輩は全員首を切れ(物理)」と言ったらしいが、周りに宥められて、「首を切る(物理)かどうかは『銀の匙』の判断に任せる。しかし絶対全員首は切る(就職)」と言ったらしい。兵士たちは「なにとぞご慈悲を…!」と床に頭を擦りつけて詫びている。


「ボクらの荷物は…?」


シータさんが不機嫌を隠そうともせずに聞いた。


「そ、その…」


収納バッグ(ベルさんの持ってた綺麗な方)とリロード式スローイングナイフとスイーツボックスとフローレスソードとアダマンタイトシールドは売られていた。しかも舐めてんの?というような最安値で。ミーニャさんの収納バッグは見た目がぼろすぎて手つかずのまま放置されていたので無事だった。因みに言及してないが、私たち全員の防具とイシュさんと私の剣、ミーニャさんの短剣、ベルさんのメイスも売られている。

私たちは販売されたアイテムの市場価格(オークション最安値)を提示して、静かに微笑んだ。


「ねえ、首は切っても(物理)いいのよ?でも首を切っても失ったアイテムは戻ってこないのだけれど…適正価格分の金銭は補填されてしかるべきじゃない?」


にっこり微笑むベルさんの背後には鬼神がいる。報告を持ってきた使者も余りの損害の大きさに顔を青褪めさせている。元からマルティナ姫には国で対処可能な範囲全て補償しろと厳命されていたらしく、まずは兵士は家から荷物から本人まで、すべて売却された。「妻と子供は売られるとこっちの心理的負担になる」と言って実家に帰されるにとどまった。全部売却してまだ足りない分を国が負担して矛を収めた。


「あー…もう散々ね。」

「懲り懲りにゃ。」

「ミーニャさんの『迷い人の糧』と『クリエイトウォーターボトル』が無事だったのは不幸中の幸いっすね。売られてても国で補償してくれたと思うっすけど、末端の兵士がやらかしたことでマルフォーレ国に損害を与えるのはしんどいっすから。」

「見た目がぼろかったから無事って言うのがなんか切ないけどにゃ。余裕が出来たら収納リング買うにゃ。」

「でも適正価格を補償してもらえたってことは、それで私の【アイテム購入】で購入しなおせば半額浮きます。ちょっとお得です。」


特にスイーツボックスとアダマンタイトシールドとフローレスソードは元は4分の1の値段で購入したものだし。


「寧ろそれくらいの補償してもらえないと割に合わない。ボクら1ヶ月も無実の罪で臭い飯を食ったんだぞ。」


とりあえず、シルディア国に入って、【アイテム購入】して1日が終わった。殆どの物は前と同じものを購入したが、変更点はベルさんの持つ収納バッグの容量が500キロに。デザインは更にいい感じになったけど、容量は当然軽い方が安いので。どうせダミーだし。アイテム鑑定されたとき『収納バッグ』と表示されてれば問題ないのだ。

因みに浮いたお金は合計されて頭割で分配された。微収入。

皆イライラしてたので、皆で大人しく煮干しを噛んだ。にがうまいです。


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