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第41話

1層の入り繰り付近には大きな石造りの堀がある。水が張られて、中に降りられるように階段が続いている。


「伝承通りならここから入るのよ。」


ベルさんが躊躇なく水の中に入って行った。みんなも恐る恐る後に続く。

中は海の底に続いていた。浮かない。普通に歩行できるが…


「ちゃんと息できるし喋れるわよ。」


ベルさんに言われて呼吸してみる。普通に水中呼吸可能だった。なにゆえ?服や髪もあまり濡れている感じがしない。


「暗いわね。ジゼルちゃん、【ライト】使える?」

「はい。」


海の中はほぼ光の届かない真っ暗闇だった。私は【ライト】を使った。

周囲が明るく照らされる。


「ジゼルは『エンチャンター』じゃなかったにゃ?」


ミーニャさんが驚いた顔をしたので、私は自分のジョブを明かした。ミーニャさんはすごいすごいとはしゃいでいた。


「綺麗ね…」


ベルさんが呟いた。【ライト】が照らすのは幻想的な深海世界だった。


「ここが真・青のダンジョンっすか?」

「いいえ。入り口はもう少し歩かないと着かないわ。アタシも来たことないからわからないけど、伝承では30分くらい直進してると見えてくるって話だったわ。地面にラインが引かれているのが見える?それに沿って歩くのよ。」

「へえ。」

「何だかワクワクするな。」

「ちょっと怖いにゃ。」

「今現在ダンジョンに侵入できる冒険者は私達だけなんですか?」

「そうよ。」


ラインに沿って歩いて30分くらい歩くと岩場の上に上がる階段が見えた。


「見えたわね。気を引き締めていくわよ。」


階段を上がってダンジョンに侵入する。ダンジョン内は海の中ではなかった。陸地?岩?洞窟?洞窟が一番近いかな。水から上がったが服も髪も濡れてなかった。私は【ライト】を使っているがダンジョン内は緑のダンジョンのように日が差しているわけでもなく、表の青のダンジョンのように苔が光っているわけでもなく、真っ暗だ。普通のダンジョンと同じように空気は吸えるけど。それともペンダントのおかげなのかな?よくわからんですたい。


「これは普通のパーティーならランタン必須ね。」

「進むのは待つにゃ。罠が仕掛けられているにゃ。解除するにゃ。」

「お願いするわ。」


ミーニャさんが壁やら床やらをあちこち弄って罠を解除する。


「もう進んでいいにゃ。でも罠が多そうだからにゃーが先行するにゃ。」


私はみんなに【エンチャント・雷】【攻撃力UP】【防御力UP】【スピードUP】をかけた。濡れたように揺らめく毛皮を纏った水色の狼が数十匹出てきた。


「アクアウルフね。見るのは初めてだけど。随分長いこと人が入ってなかったから魔物が多いのね。」

「落ち着いてる場合じゃないにゃ!いきなり多いにゃ!!どうするにゃ!?」


私は慌てず騒がず【サンダーバースト】を炸裂させた。アクアウルフがまるっと消え失せて、毛皮や爪や魔石のドロップが残る。


「うふふ。今は伝承でしか残されていないくらいの魔物の毛皮なんて高く売れそうね。」


ベルさんが嬉々としてドロップ品を収集している。

ついでに転移登録石があったので登録しておく。


「ここで表の青のダンジョン1階層目への転移石って使えるんでしょうか?」

「さあ?帰りに使ってみましょう。長期間放置されてたダンジョンだから多分今はお宝の宝庫よ。アタシはギルドに情報を売る前に長期探索した方がいいと思うわ。」

「ギルドに情報を売る…?」

「ギルドは有益な情報ならお金を出して買ってくれるのよ。『真・青のダンジョンへ行く方法』なんて高く売れると思うわ。それにず――――っとアタシたちだけで真・青のダンジョンを独占しててもあんまり意味ないのよ。」

「というと?」

「ダンジョンの魔物やお宝の生成エネルギーは『魔力』と『生命エネルギー』だと言われているわ。魔力の方は世界規模で噴出してるエネルギーみたいだけど『生命エネルギー』って言うのはつまりダンジョンでお亡くなりになった人のエネルギーってことね。」

「つまり?」

「いっぱい人が入って、いっぱい死んでほしい。」

「…ベルさんぶっちゃけすぎです…」

「ふふ。半分くらいは冗談よ。ミーニャちゃんは冒険者用の温泉ついてない宿に泊まってるでしょう?客入りどんな感じかしら?」

「閑古鳥が鳴いてるにゃ。」

「真・青のダンジョンが緑のダンジョンみたいにガッツリ稼げるダンジョンとして認知されれば、そういう冒険者用の安宿なんかにも集客できるの。地域の活性化に繋がるわ。半面治安は多少悪くなるだろうから、良いことばかりだとも言えないけど。」

「ダンジョンで街おこしだな。」

「起こさなきゃならないほど寂れてるわけでもないけれどね。」


スカイシャーク?空中を泳いでくるサメがやってきたのでシータさんが一刀両断した。ふかひれと赤ちゃんの拳ほどの金塊をドロップした。


「ドロップ法則はよくわからないわね。金塊?」

「まあ、いいじゃないか、どんどん稼ごう。」


罠を解除しながらガンガンドロップを稼いで、進んでいくと1つ目の宝箱が出てきた。ミーニャさんが罠を解除してくれる。開けてみると眩いほどにキラキラ輝く上品なティアラが入っていた。真珠のように艶やかでありながらダイヤのように透明な…何の宝石だろう。すごく綺麗。鑑定眼鏡をかけているベルさんが鑑定してくれた。

涙石のティアラ:人魚の涙の結晶で出来ていると言われるティアラ。非常に美術的価値、稀少的価値が高い。国宝級。


「きたわね。国宝級。」

「恐ろしい値段がつきそうっす。これもオークション販売っすか?」

「そのつもりだけど、ここまでの品なら購入するのは多分王家ね。」

「この調子でどんどんお宝発掘しよう。今ならこのダンジョンはボクたちの貸し切りだ。」


真・青のダンジョン、5階層目。アクアレオやらアクアホークやらをザクザク切り刻んでいると急に意識が落ちた。

【キュア】

ぱっと意識がはっきりした。ベルさんが状態異常の昏睡を解除してくれたようだ。


「ジゼルちゃん大丈夫?あそこにセイレーンがいるから【スリープ】かけてみてくれる?」

「はい。」


羽ばたいている羽の生えた女性型の魔物に【スリープ】をかけたら落下してきた。中途半端に人型をしているから何だか可哀想な気もするけど。眠っているところを剣で貫いてドロップに変わってもらった。気付け薬と矢に加工すると射た対象に睡眠効果をつけられる矢を作れる羽素材になった。

シータさんたちはぐっすりなので、ベルさんが順に【キュア】をかけている。このダンジョン状態異常対策してないと詰むな。満遍なく5階層を探索してたら、またもや宝箱に遭遇した。罠を解除してもらって中をチェック。

マーメイドボイススクロール×5:開いた者は他者を魅了できるような美しい声になる。効果永続。使い捨て。※精神操作の作用はありません。

収納バッグ:重量800キロのものまで収納可能なバッグ。中の時間は外の時間の60分の1の速度で経過。内部の温度は23℃で固定。※呪われている。

私は収納バッグに【アンチカース】をかけた。


「今持ってるのとほぼ同じ効果の収納バッグですが…」

「デザインは断然こっちの方がいいな。」


うん…すごくお洒落なのだ。焦げ茶色の肩掛け鞄でレザーっぽい質感。新品のようにピカピカ。見た目がすごくお洒落。


「こっちを装備して、古い方を売りましょうか。…………それとも中古でボロッチイ見た目で悪いけど、古い方はミーニャちゃん使う?」

「え?いやいや、他の皆さんが使った方がいいにゃ。」


ミーニャさんが遠慮した。


「あー…ええとね。アタシたちバッグはただのカモフラージュで、全員収納リング持ってるのよ。」

「……このパーティーは絶対普通じゃないにゃ。でもそういうことなら中古の方はにゃーが使わせてもらうにゃ。」

「…でも女の子にそんなボロボロのバッグ持たせるのも…やっぱりこっちの新しいバッグの方使う?」

「いやいや、古い方でいいにゃ。リーダーが見栄張っとくべきにゃ。」

「そう?なんか悪いわね。」


ベルさんが自分がカモフラージュ用に持っていたバッグをミーニャさんに渡して新しいバッグを装備した。


「スクロールの方も結構需要ありそうっすね。」

「物としては吟遊詩人向けなんでしょうけど、オークションに出して落札するのは多分貴族令嬢ね。」

「金持ちはいいな。」

「…アタシ、1つマーメイドボイススクロール欲しいんだけど良い?」

「どうぞっす。」

「金額分アタシの収入から引いといていいから。あとで総額が出たら調整しましょう。」


ベルさんはマーメイドスクロールを一つ貰う手はずを整えたがすぐに使うつもりはないようだった。

アクアスネークが数百匹うにょうにょ湧いて出たのでサンダーバーストで一掃する。

魔物避けスタンドを立ててご休息。シータさんがスイーツボックスの中身を分けてくれた。今回はチョコレートケーキだそうだ。6等分してシータさんが2切れ、他が1切れずつ食べた。


「濃厚で美味しいっす。」

「美味しいけど、太りそうで怖い味だにゃ。」


確かにまったり濃厚で甘くほろ苦いチョコレートケーキは中々肥えそうな味わいだ。

本当に長期滞在。

ちまちま行き詰っては転移石で戻り、時々マッピングして、罠、状態異常に見舞われつつもお宝を回収し、夜は魔物避けスタンドを立ててテントで眠る。食事、日用品は【アイテム購入】で購入し、【クリーン】と【クリエイトウォーター】を駆使して21階層あたりまで来た。


「結構お宝回収できたな。流石に長期間手つかずのダンジョン。宝箱の数が半端ない。」

「そうねえ。でもこの辺で帰りましょうか。そろそろ敵の強さがアタシたちの実力だと厳しくなってきたわ。」

「あんまり欲を掻くのも良くないっすしね。」

「安全第一です。」

「というかすごい稼げてる気がするのでにゃーは大満足だにゃ。」


とりあえず表の青のダンジョンの第1層の転移石を割ったが転移しなかったので、真・青のダンジョンの1階層の転移石を割って1階層に戻り、30分海の中を歩いて表の青のダンジョンまで戻った。



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