表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/33

ムイムイは逃げる。パート1

続きです。

 部屋を出て廊下を歩き、階段を半分降りて、下の階の様子を見る。食堂では、食事をしていた客たちが次から次へと逃げだしていくところだった。誰もがメルをテーブルに置いて行っている。食い逃げをする者はいないようだ。この食堂が村の皆から愛されていることがうかがえた。


 ルルアは大剣を持ち、食堂の出口にいる腹のでっぷりとした小男と対峙していた。


「モモたんはどこだーん。モモたんはどこだーん。モモたーんっ」


 小男はオデコに右手を水平に当てて、食堂を見回している。


「ムイムイ、帰れ」


 彼の名前はムイムイと言うようだ。


「ルルア、この家はまた税金払わなかっただろ。許さないぞ」

「許さなければ、どうするんだ?」

「体で支払らってもらうに決まってるじゃないか。モモたんを引き渡せ」

「モモはあたしの大切な妹だ」

「それが何?」

「剣のサビになりたくなければ、引き下がった方がいいんじゃないか?」

「何言ってるの。お前たちの代わりに帝国に税金を納めてるのは僕じゃないの。僕は君たちの恩人じゃないの?」

「ちっ、帝国の犬が。吐き気がするね。とっとと帰りやがれ」

「モモたーん」


 モモは階段を下りた。俺はその背中に続く。


「ムイムイ様」

「おおっ、モモたんじゃないか。さあ、僕と行くんだよ」

「ムイムイ様、今夜、貴方の自宅に私一人で訪れようと思います」

「ムハー」


 彼は喜びの声?を上げた。口息がくさく、にんにくのような匂いがここまで漂ってくる。


「モモたん。ついに決心してくれたんだね」

「……はい」

「おい、モモッ」


 ルルアが焦っていた。


「姉様、黙っていてください」

「……そうだよルルア。僕とモモの愛を邪魔するんじゃない。嫉妬深い女はブタのように醜いの」

「てめえっ」

「おい、ルルア」


 俺は彼女に近づき、肩に手を置いた。小声で話しかける。


「夜は予定通りだ」

「そ、そうか」


 ムイムイには聞こえなかっただろう。


「ムイムイ様。どうかこの辺でお引き取り願えますか」

「分かったよ。じゃ、じゃあ、家で待ってるからね」

「待て」


 厨房から声が響いた。この宿屋の主である、爺さんが出てきた。タオルをバンダナのように巻いており、薄地の黒い服に緑色のズボンをはいている。そして、右手には包丁を持っていた。


「貴様は許さねえ。村の皆から高額な税金を徴収しやがって。それで貴様だけは毎週のように都に遊びに出かけるたあ、おかしな話だ。お前、上から言われてる以上の税金を徴収しているな」


「な、なんのことかな」


 ムイムイの顔は汗でだらだらだった。


「ここで死ね」

「に、逃げるが勝ちだもーん」


 ムイムイは背中を向けて逃げ出した。


「逃がさんぞ」


 走ろうとする爺さんの体をモモが引き止めた。


「待ってください」

「モモ、邪魔するな。わしはもう限界だ」


 包丁を持つ手がふるふると震える。ムイムイは去っていた。


「大丈夫です」

「何が大丈夫なものか」

「今日、この方がムイムイを討伐してくださります」


 モモが俺を紹介した。左手で示される。


「小僧、強いのか?」

「ま、まあ……」

「天下無敵でーす」


 いつの間にか食堂に降りてきていたクーニャンが、テーブルに腰かけたまま、右手を上げる。


「ふむ。妖精付きか」

「泥船に乗った気持ちでいてください」

「こんな語り草がある。村に悪鬼あらわる時、妖精付きの若き人間もまたあらわる、とな」

「ふんふん、それ、私たちのことでーす」

「小僧、名は何と言う?」

「オウカです」

「オウカ。わしは夜明けまで待っていることにする。お前を、信じてみよう。こんな言い方傲慢かもしれんが、メシならば腹いっぱい食わせてやる」

「おっさん」

「ん?」

「待ってててくれ」


 俺は食堂の玄関口を睨み付けた。

ブックマークありがとうございます。これから修行の日々が続きそうです。もちろん、ライトノベルのです。石の上にも三年という言葉がありますが、私の場合、石の上にも5年ぐらい乗っています。しかしいまだに一人前にはなれません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ