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パーティ

こんばんは。

 気づけば俺は202号室のベッドで寝ていた。左手で頭をこする。上半身を起こした。今何時だろうか。そこで股の痛みに気づき、俺はまたベッドに沈んだ。横を向く。


「あの野郎、許さねえ」

「あ、オウカ起きた?」


 掛け時計の上から声がした。クーニャンが両手をついて座っている。


「なっさけない。あんな女にやられるなんて、私の勇者様は雑魚だったと」


 クーニャンが小さな紙の欠片に羽ペンでメモを取る。


「やられたっつうか。あれは無いだろ」

「まーね」

「お前もやられたじゃねえか」

「嘘、見てた?」

「ばっちり」

「巨大化の魔法、オウカはまだ覚えてないからなー」

「そんなのあるのか?」

「嘘嘘でしたー。どう、キュンとした?」

「してない」


 俺はベッド起きだして、ベッドに腰かけた。ひどい痛みがする。これだと一週間は続くだろうな。


 部屋の外で物音がした。


「姉様、早く来て」

「ま、待てよ。分かったから」


 モモとルルアの声で、合っているだろう。何か用事だろうか。それともルルアはまだ俺と戦う気でいるんだろうか。


 扉がノックされた。


「誰もいませーん」


 クーニャンが両手を口に当てて、大きな声で言った。


「入っていいですよ」


 俺は言って、背中をまさぐった。ロングソードが無い。部屋を見渡すと、右の壁に立てかけてあった。銭袋もある。俺は立ち上がり、剣を取る。ルルアがいつ襲い掛かってくるか分からない。そして部屋がひかえめに開かれた。


「こんにちは」

「うっす」


 モモとルルアが顔を出した。


「何の用ですか?」

「すいません。謝罪をしたくて、この度は姉様が大変なご迷惑をおかけしました」

「あの野郎、絶対許さねえ」


 クーニャンが俺の口真似をして、右手の拳を左手の平に叩きつけた。


「ごめんなさい。許してください」


 モモが両手の平を合わせて上品に頭を下げる。


「俺は別に許されなくても関係ないけどな」

「とりあえず入ってください」


 俺は、いまだに扉の隙間から顔だけを出している二人に言った。


「失礼いたします」

「うっす」


 二人が入ってくる。俺はベッドを背にして床に腰を下ろした。モモはその場に正座し、ルルアはあぐらをかいた。


「で、ルルアさんでいいんだっけ?」

「あ?」

「俺は貴方に、何か恨まれるようなことでもしたんですか?」

「いや?」

「じゃあ、何で喧嘩を売ってきたんですか?」

「お前の強さがどのくらいかと思ってな、確かめたんだ」

「それはどうしてですか?」

「は? 強い奴がいたら喧嘩を売ることにしている」

「姉様」


 モモがぴしりと太ももをはたいた。


「いてっ、何すんだよ、モモ」

「オウカ様。実はこの村は、重税にあえいでいるのです」

「重税ねえ」

「もう村のどこかの店屋には行きましたか?」

「行ったね」


 クーニャンが降りてきて、俺の肩に手をついて止まる。そのまま腰を下ろした。


「行きましたが」

「それではお分かりの通り、売り物がとても高かったでしょう」

「それは……」

「そのレザーの防具。おいくらしましたか?」

「全部で1万メルぐらいだったかな」

「あはは、こいつぼったくられてやがる」


 ルルアが歯を出して笑った。何かにつけてムカつく女である。


「この村の土地を所有している地主が、売り物に多大な税金をかけているのです」

「ムイムイの野郎な。それで、ムイムイはモモに惚れてるんだが」

「姉様、ちょっと黙っていてくれますか?」


 モモがルルアに静かな視線を向けた。


「う、ああ分かったよ」


 ルルアは俯く。


「それでなんですが。オウカ様。地主を討伐してくれませんか?」

「は?」


 これはイベントだろうか。地主を倒せば、先に進めるということだろうか。


 しかしなるほど。ルルアが喧嘩を売ってきたのは、俺がそのイベントに立ち向かえるほどの強さがあるかどうか見極めるためであったのだろう。


「俺は弱いからさ。勝てないと思う」

「俺の剣を折ったんだ。少しはやるんだろ?」

「オウカ様。これはオウカ様にしかお願いできないことなのです。村の者が集結して戦ったら、復讐が待っています。力はさらなる力の恐怖でしか抑えることはできません。しかし、村の外から来たオウカ様が地主を倒したというのならば、村への被害は無いのです。お願いします。どうか、戦ってくれませんか」

「却下」


 クーニャンが足をぶらんぶらんとさせて言った。


「なぜでしょう?」

「めんどい」

「おい、クーニャン。お前は仮にもこのゲームのアドバイザーだろ? ちゃんと仕事しろよ」


「は?」


 ルルアが口を開けた


「アドバイザー?」


 モモも分からない様子だ。


「いえ、何でもないんです。それより分かりました。力の無い民のために、俺が戦おうと思います」


「ただし報酬はもらうけどね」


 クーニャンが両手の親指を立てる。


「報酬?」

「うん。毎日500万メル」


 クーニャンが右手をパーにした。


「そんな……」


 モモが顔を俯かせる。


「うるせーな、そこの妖精は。おいオウカ。お前はどんな報酬を望むんだ?」

「俺は、そうだな」


 右手をあごに当てて考える。俺は、強くなりたかった。


「ルルア、お前は剣を何歳からやってるんだ?」

「剣? 五歳から爺さんに習ってるけど」

「そうか。じゃあ剣の腕前はそこそこあるわけだ」

「ま、まあな」

「じゃあ俺に剣を教えてくれ」


 モモが眉をひそめた。


 ルルアが両腕を組む。


「お前は俺の剣を破壊できるほどの腕があるじゃないか」

「いや、あれは一つの特技みたいなもので、剣術はからっきしなんだ。教えてくれ」

「ふーん。それがお前の報酬でいいのか?」

「ああ。いい」

「分かった」

「ちょっと待ったー」


 クーニャンが両手の平を叩いた。


「何だ?」


 俺はクーニャンに瞳を向ける。


「ルルアとモモだっけ、お前らも戦え。オウカにばっかり頼るな」

「あたしゃいいぞ」

「分かりました。でも、私たちは顔を隠させてもらいます」

「ならば良し」


 クーニャンが肩から飛び立った。そして俺たち三人の回りを二回りする。緑色の粉と光が舞った。


 タララーン。


 俺の頭上で祝福のような音楽が鳴った。


「おい、クーニャン。何をしたんだ?」


 クーニャンは床に着地して、ブイサインをする。


「ルルアとモモをパーティに入れたから。良い? これから協力するわよ」

「パーティ?」


 ルルアが眉を吊り上げる。


「パーティとは?」


 モモが体を前かがみする。


「仲間ってこと。一応のね。いつでも抜けることはできるけど。そして」


 クーニャンが咳払いをする。


「ルルア、モモ、あんたたちにはレベルとステータスを持つことになったから、よく確認することね。ふーん、モモは魔法も使えるみたいじゃん」

「レベル?」

「ステータス?」


 二人は顔を見合わせる。


「とりあえず、紙に書くから」


 クーニャンはポケットから紙の欠片を取り出し、羽ペンで書き始める。しかしそれは虫メガネを使わないと見えないほどの小さな文字だった。


ブックマークありがとうございます。感謝です。今日は雨が降っていて、寒い夜です、

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