着任4
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上城長官がナガト技術中尉と言い合っていた丁度その頃、射撃指揮所の上に座る女性が目を閉じ千里眼でもあるのか言い合いの様子を見ていた。
巫女服に似た服装で長い黒髪を持つ彼女は背後からトンッという音が聞こえ振り向くとそこには同じ巫女服を身に付けさっきほどの彼女と同じ長い黒髪だがポニーテールのように纏めた女性がいた。
顔つき似ておりまるで双子ようだった。
違いを挙げれば、髪を纏めているかどうかの他に座っているほうには右目の下あたりにホクロがあるぐらい。
解りにくいので仮として髪を纏めてないほうを巫女A、纏めているほうを巫女Bと呼称しよう。
「いらっしゃい」
と笑みを浮かべる巫女A。
それを見て笑みを浮かべ目を閉じる巫女B。
「彼が新しい長官なの?それと専属の参謀ね。あら技術中尉と言い合ってのね」
これまた見えるのか言い合いの様子を話す。
「えぇそうよ」
「若すぎない?」
目を開き苦笑しながら首をかしげる巫女B。
「上城慶次。第五次移民船団にてやって来た元少年兵。海軍士官学校に入学、成績は中の上で卒業、巡洋艦古鷹の副長を務め、艦長となり四隻の巡洋艦からなる巡洋戦隊の長官を兼任」
巫女Aが上城長官の経歴を口に出す。
「東シナ海にて通称破壊をしていた中華民国艦隊と遭遇。これを撃滅する」
上城らが長門に乗艦する一ヶ月ほど前まで南シナ海では中華民国海軍艦隊が日本に向かう輸送船を襲っていた。
日本海軍は軽巡、駆逐艦を中心とした護衛艦隊を編成して船団護衛をしていたが、中華民国海軍は切り札を導入していた。
装甲艦、別名ポケット戦艦と称される艦を出してきたのだ。
史実では配備されていないが、日本が販売目的で建造し南米諸国を中心に売り込み、中華民国にも三隻売られた。
それを全て導入していたのだ。これを知るや戦艦を含めた艦隊を台湾高雄軍港に向かわせた。しかし既に遅かった。
中華民国艦隊はフィリピン近海を通り太平洋に出て宮古島と沖縄島の間を抜け東シナ海に突入した。目指すはまだ中華民国領に治まっていたニンポー。
中華民国艦隊は夜間、日本の輸送船団を発見、撃破するため進路を変更、尖閣諸島に一時向かうコースを取った。
この選択が大きな間違いとなった。実は尖閣諸島沖に上城長官が指揮する巡洋戦隊が演習をしていたのだ。
偶然水上機が中華民国艦隊を発見し、船団護衛のため最大戦速で向かい、暗闇に紛れて艦隊を奇襲攻撃。
たった四隻で艦隊を壊滅に追いやりこの東シナ海海戦は大勝利となったのだった。
その後異例の昇進をして現在に至る。
「偶然とはいえ戦艦擬きのポケット戦艦を沈めるなんて中々やるわね」
「だから楽しみなの。彼が私たちをどう動かしてくれるのかが」
「確かにそれは気になるわ」
再び目を閉じる巫女B。
見えた先には上城長官が電子機器室を諦めて何処かに行く様子だった。
「あっちの話し合いは終わったようね。そろそろかえるわ。じゃあね長門姉さん」
「またね陸奥」
巫女Bこと陸奥はまるで光の粒となり消えてしまい、それを見送った巫女Aこと長門は立ち上がりパンパンと巫女服に付いた埃などを払う。
「ようこそ若い長官に参謀。長門はあなた方を歓迎いたします」
長門は目を閉じ息を吸って歌い始めた。
「ん?」
通路を歩いていた上城長官が歩みを止めた。
「どうかしましたか?」
笹野参謀が聞いてきた。
「なんか歌が聞こえると思って」
「歌が?」
耳を済ませる笹野参謀。
「微かにですが聞こえますね。誰でしょ?」
「分かるのは歌っているのは女性で、演歌とかではないぐらいかな」
耳を済ませる二人。
「どうやらお二人は艦に歓迎されたようですね」
海馬艦長の発言に首を傾げる二人。
「艦に魂が宿るというのはご存知ですよね?」
艦に女性の魂宿ることは知っていたが単なる迷信と思っていた。
「この歌はその魂が歌っていると思われ、我々はこれを艦の歌声と呼んでいます。船魂は姿は見せず声も聞こえないのは信用されていないと思い、歌声が聞こえたら艦に信用され歓迎されたと考えています」
因みに歌は艦によって異なると教えられた。
「艦に歓迎されるか・・・・・。
艦は乗り手を選べない。がそんな考えは改める必要がありそうだな」
船魂はこんな感じで書きましたが、書き終えてから思ったこと、歌の部分ってマクロスデルタ?
たまたまだと思うことにしたので気にしないで下さい。
ヴァール化は決してないので!!