奪還2
今回、憎しみの単語が多いので気分を害したら申し訳ありません。
布告が出されたと同時に新秩序同盟の弾道ミサイルが放たれ日本に襲いかかった。
勿論迎撃はした。したが、南北連合が放った数より圧倒的に多く迎撃しきれなかった。
撃ち漏らしたミサイルは主な都市や工業地帯、軍事施設など無差別に命中し、一部は核弾頭だったため、消滅した場所もあった。
迎撃により破壊できなかった軍事施設は近海に潜伏していた潜水艦から放たれた巡航ミサイルにより破壊され、事実上自衛隊は壊滅、日本経済も壊滅した。
だがおかしなことに関東地方は被害は少なかった。これには迎撃網を関東を中心に構築していたからとの意見もあるが飛んできた弾道ミサイルと巡航ミサイルの数が他の地方に比べ少なかった。
何のためにそうしたのか、この時はハッキリしない。
無差別攻撃を生き残った人々は関東へ逃げた。
政府も受け入れを進めていたがこれは危険でもあった。
なぜなら人が集中すればここに核を一発でも撃ち込まれたら全滅してしまいかねない、守りを固めようにも戦力が足りない。
政府は苦肉の策として18才から男女問わず徴兵、12才以上は志願可能とした。
「あの無差別攻撃の時、俺は生き残ったが両親は死んで大泣きしたよ。同時に新秩序同盟への憎しみも生まれた」
上城は強く握る自分の右手を見た。
あの時、思ったことは今でも覚えている。復讐してやる。両親を殺した奴らを殺してやる。と何度も心の中で呟いていた。結局それは果たせず今に至る。
「私もです。両親を失い妹も重症を負って治療しようにも薬も医者も足りない状況では助けることが出来なかった。なにもできない自分を悔やみ、こんなことをした新秩序同盟を恨みました」
目の前に座る松木中尉も拳を握る。
「無差別攻撃を生き残った人間なら誰もが同じことを思っただろうな。関東に逃れた後、14才だった俺は志願兵となって戦うことを決めた」
不思議なことに新秩序同盟の上陸作戦がすぐに行われなかったから訓練する時間は十分あった。
訓練して装備を整え、関東を中心とした新たな防衛網もできた。
なぜすぐに上陸してこなかったのか急遽決まった攻撃なので準備が出来てなかったと思われた。
しかし、それは違った。奴らは待っていたのだ。
日本がある程度抵抗できる戦力が整うのを。
奴らが望んでいたのは損害が少なく確実に勝てる戦争。さらに短期間で終わらずできるだけ長く、継続出来るように。
この時の新秩序同盟にはある問題があった。それは経済成長の低迷、それを戦争で立て直そうとしたのだ。戦争を効率よく行えば需要と供給で経済を活性化できる。そう考えていた。
真実はそれだけではない。新兵器の実証試験を行うには戦争という環境が最適だ。
生身の人間相手に試験ができる。国際法が白紙同然になっているこのご時世では化学兵器の実験もだ。つまりいい実験場になる。
無差別攻撃から一年経つか経たないかぐらいの日に新秩序同盟は上陸を開始、守りを固めていた自衛隊だったが物量と新兵器の数々、制空権も三日足らずで奪われ、徐々に戦線は後退し、日本の国土の三文の二が失われた。
ここまで来ると最早日本に抵抗できる力はなく、突如子供や若い世代の人たちが残存する船舶に乗せられ過去にやってきた。
「結局、日本は最後まで大国にいいように使われた。聞いた話じゃ最後にはもう必要ないからと核兵器で焼き払われたらしい」
「その通りです。そしてこの大日本皇国もまた同じ道を辿ろうとしています。周辺諸国に振り回され、史実と違い今の日本には力があるに使おうともしない」
「力を行使すれば戦争になる。それぐらいお前たちだってわかっているだろ?」
「丁度いいではありませんか。新秩序同盟を消すには。あなただって憎んでいるでしょう」
松木中尉の言うとおり憎んではいる。
これはどうやっても消えないだろう。だが、
「確かにまだ奴らへの憎しみは消えない。だがこの時代に新秩序同盟は存在しないんだ。いくら戦争しようが復讐は果たされない。ただ憎しみの連鎖を生み出さだけだッ」
「果たされますよ新秩序同盟の母体となる国家を今のうちに滅ぼせばいいのです。そして日本を中心とした新たな世界体制を作り連鎖を止めるのです」
「新たな世界体制だと・・・・」
はい、と頷き、松木中尉は続けた。
「日本の保護の下で人種、宗教で差別しない共存共栄を目指した世界統一組織、神州共栄圏。その設立が我々神州会の目的です」
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