内乱15
知多での話です。
その頃長門が話していた潜水艦知多では奪還の準備が進められていた。
先行していた時風が攻撃をうけたことから長門、陸奥は反乱勢力に奪われている。第二兵員室にいる海神の隊員らは同じ日本人を撃つことに覚悟を決めつつ、ある者はナイフを磨ぎ、ある者は銃のメンテを万全にし、ある者は身につけた装備を再確認する。
「入るぞ」
室内に入ってきた艦長を見ると全員手を止め敬礼をする。
「楽にしてくれ」
と言い、隊員たちの表情を見る。
「海神諸君。知っての通り長門と陸奥が反乱勢力に奪われてしまった。そのため諸君らによる奪還作戦を開始する。反乱勢力とは言え同じ日本人だ。撃ち合うのは必然となるだろう。どうかそれを耐え作戦を遂行してほしい」
「「「ハッ」」」
全員から返事が帰って来た。
彼らの表情は覚悟を決めた兵士の
ようだった。
「作戦を成功させるため、ある者から重要な情報がもたらされた」
艦長は道を空け「入れ」と言うと隊員は「えっ!?」と声が出てしまった。
それもそのはずなんと中に浮いた筒のようなものが入ってきたのだ。
艦長は勿論、誰も触っていないのに筒は蓋を外れ中身が出て来て広がり隊員たちに見せた。
なぜ筒が浮いているのか聞こうとしたが中身を見せられて何人かがこれはと呟く。
「これはそのある者から送られてきた長門の設計図だ」
そう筒の中にあったのは軍事機密とも言える設計図だった。
図面上側の両端がプルプルと震えているのが見えたので早く終わらせてやろうと艦長は説明を始めた。
「現在長門と陸奥は十から二十名の敵兵に制圧され乗員たちは食堂や倉庫に監禁されている」
図面を指差しながら説明し、時々よろっとなる図面に大丈夫か?と呟く艦長を見ながら独り言か?と思いつつ頭の中に情報を叩き込む隊員たち。
「だが上城長官と直属の参謀は自室に監禁され、二名ずつ見張りがついている」
「艦長~早くぅ~」
女の子の小声が艦長の耳に届き「もうちょとの辛抱だ」と言うと「そんなぁ~」と声がした。
隊員には女の子の声は聞こえずまた独り言か?と思った。
「質問を宜しいでしょうか」
隊員の一人が質問をしてきた。
「なんだ?」
「既に長門、陸奥が制圧されているのであればなぜ艦を動かし現海域から離れようとしないのでしょうか」
そうだなと他の隊員も頷いた。
「その理由はまだ奴らが電子機器を制圧していない状態だからだ」
「電子機器室?」
「長門と陸奥には人員削減のため各部の自動化を進めていた。自動化したものを統括する電子機器が備えられている。ここを押さえれば少人数でも戦艦を動かせ、戦闘もできる」
つまり戦艦の頭脳のような場所だと伝えた。
「その電子機器室に今、乗員の一人が立て籠り動かせないでいる。陸奥も同様だ」
「なら電子機器室の確保も重要になってきますね」
「その通りだ。だがいつまでも奴らはじっとしていないだろう。なんらかの方法で人員を確保して手動で動かすかもしれない。作戦は速やかに達成させることがいいだろう。他に質問は?」
質問は出なかった。
「もうすぐ日が沈む。装備に不備がないよう注意してもらいたい以上だ」
下ろしていいぞと言うとバサッと図面が床に落ちた。
隊員たちは突然のことで驚いたが艦長は驚かず目に写る床に座り込む女の子のことを見ていた。
背丈や年齢は小学生ほどで髪は短く揃え袖のない巫女服を着た少女は艦長を見て
「もっと早く終わらせてよー」
と愚痴る。
この少女、石狩型潜水艦知多はずっと図面を両腕を広げて持ち、皆に見えやすいようつま先立ちでいたのだ。
「説明していたんだから仕方がないないだろ。さぁ邪魔になるから図面片付けて行くぞ」
部屋を出る艦長を見て素早く図面を筒に入れて「待ってよー」と艦長を追いかけた。
その光景を見ていた艦魂が見えない隊員たちは
「本当に独り言が多い艦長だな」
「ここの艦長は手品師とかなんかなのか?」
と思ったそうな。
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