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あの人と共に  作者: yasu
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第四話 『研修』

続いて研修の話です.

ぶっちゃけ、ただの仕事内容の紹介のようになっています.

一年間のストックをのんびりと消化していく予定です.

第四話 『研修』

 私はまた、会社までの長い山道を自転車で登っていた.出来る限り汗をかかないように、のんびりしすぎないように.


――これからここを通勤しなくちゃいけないのか・・・・・・.


 受かった喜びがあるものの、既に半分は面倒くささの方がでかかった.

 取り敢えず登りきり、また、守衛室に挨拶に行った.すれ違う人々から挨拶をされるが、まだ堂々とすることが出来なかった.

 また自販機横のソファまで案内され、しばらくすると、男性が二人、女性が一人やってきた.どうやら今回研修を受けるメンバーのようだ.

 男性二人は知り合いのようだが、それぞれで挨拶を交わすということはなく、ひたすらに担当の人がやってくるのを待っていた.

 担当の人は少し頭皮の薄い女性だった.研修室まで案内され、各々適当な席に座らせた.

 研修は至って単純なものだった.

 会社としてのプライバシーの順守や、情報漏洩の防止、コンプライアンスについての講義を簡単に受け、最後に社員証用の証明写真を撮って終わった.この研修で時給が発生していたかどうかは覚えていない.





 一度目の研修はこれで終了した.研修については省略気味に話そうと思う.二度目からの研修は、どんな電話が来、どのような記録(以下、ケース)として残さなければいけないのかについてだった.1年経験したからこそ思うが、ケースとして残すことはかなり重要なことだった.当時の私はそんなことは全く気づかず、余り話も聞いていなかったが.

 休憩時間.

 「君、出身どこ?」

 ゆっくり伸びしていると、リーダーが話しかけてきた.すらっと細身で、Sっ気のありそうな女性だ.

 「和歌山出身です」

 「あ、そうなんだ.私は広島出身」

 「広島ですか!広島の知り合いいますけど、方言キツイですよね」

 「そうそう.よく言われる」

 「ちょっと怖いです」

 「え、そう?」

 「はい」

 「そう」

 どこかに行ってしまった.どうやら返しを間違えたらしい.

 さて、研修は大体5、6日に渡り行われ、一通りのテンプレのケースの作り方を学んだ.

 座学の研修が終わると次は、実際にオペレートをしている人(以下、オペさん)の後ろに着き、オペレーティングの仕方を学ぶというものだ.正直な話、ここで先輩オペさん方がどんな対応をしていたのかは全く覚えていない.

 覚えていることとすればこうだ.

 「出身は?」

 「和歌山です」

 「先輩は?」

 「地元よ.和歌山って何があるの?」

 「そうですね・・・・・・.那智の滝や白浜アドベンチャーワールドとか・・・・・・」

 「白浜!行ったことある!」

 みたいな会話や.

 「うちの可愛い家族のために稼がないといけないんですよね」

 「あら、そうなんですか」

 「ペットを飼っていまして」

 「どんな?」

 「ヘビにサソリにタランチュラに、餌用のゴキブリとかですかね」

 「!!!!」

 みたいな会話などが主だろうか.

 ちなみに、本来であればこの時にマニュアルの勉強をしっかりしておくべきだったのだろうが、残念ながら私は全く見ていなかった.全て先輩オペさんと会話して時間を潰していた.

 そろそろ私が実際に前に出て対応するかな、という話がチラホラ出てきた頃.さすがに私は焦った.

 それも当然だった.先輩が対応している時は真面目にしていたが、少なくとも私は話できるタイミングを伺っていたのだから.身に付いたかと言われればそれほど身に付いていない.

 そして、私は焦った.対応中に困ったら保留ボタンを押したらなんとかなつよ!そう教えられていたので、マニュアルよりも喋り方をどうにかしなければいけないことに気づいた.

 先輩オペさんの喋り方を殴り書きで全てメモした.

 「ちょ、恥ずかしいからやめて」

 苦笑いで言われた.無視した.

 そして、今度は後ろについた先輩から指示を受けながら、私が前でオペレーティングすることになった.

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