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第9話:作戦開始

少し短いですがどうぞ。


「全員集まったな」

 十夜は、集合場所に集まった結菜と、リリィを見てそう言った。

 現在、三人は、学園校舎の屋上にいる。校舎はカギがかかっている為、内部に侵入することは難しい。出来ないわけではないが、作戦開始前からそんなリスクは負いたくない。

 なので三人は、壁を登って屋上までやってきたのだ。

 この程度の事は、三人には造作もない。

「三人しかいないのに集まったなと確認する必要性があるのでしょうか?」

 例に漏れず、結菜が空気を読まない突っ込みを入れる。

「うっせ。お約束というやつだ。黙ってろ」

 ジト目を結菜に向ける。

 結菜は当然ながらどこ吹く風だ。

「はあ、それよりお前ら、作戦は覚えているな」

 十夜のその問いに当然だとでも言わんばかりに、二人は頷く。


 作戦の概要はこうだ。

 まず、三人は、学園の地下に侵入。そこにいる警備の人間を無力化。そして、リニアモーターカーを奪取。そのまま一気に本土にある地下基地まで行く。

 そこには確実に警備の兵士が居るはずなので、その警備の兵士を無力化、基地内部に侵入する。

 そこからは二手に分かれ、それぞれBFの捜索を行い、二時間後にリニアのある場所に集合し、そのまま本土に帰る。

 それが今回の作戦内容だ。


「改めて思いますけど、あなたが一人で良いんですか?」

 結菜が十夜に尋ねる。

 今回の作戦の二手に分かれるというのは、十夜と残り二人に別れるというものだった。

「別に問題ない。むしろ一人の方がやり易いくらいだ」

 冷静に、しかし驕りなど一切無くそう言い切る十夜に、結菜はその言葉を信じた。

 それに、十夜は結菜の何倍・・・いや何百倍も強い化け物である。そんな人間の心配を結菜がしても意味ないのだ。

 結菜は十夜に比べれば取るに足らない雑魚なのだから。

「・・・はい」

 今度は、リリィに気になる事があるようだ。

「なんだリリィ?」

「・・・基地内部の侵入時間が長すぎる」

 それは結菜も思っていた事だった。

 自分たちは地下基地の詳しい大きさを知らない。しかしだからと言って二時間も侵入し続けるのは無理だ。その前に殺されてしまう。

「それも問題ない。俺が何とかしよう」

 しかし十夜は、何の問題もないという風にそう言った。

 その言葉に多少気持ちが軽くなるが、それと同時に、十夜に何でもかんでも押し付けるのはどうなのか?という気持ちも湧き上がる。

 しかし、そんな事を自分が言っても無駄な事だ、と結菜はその気持ちを胸の奥に仕舞い込んだ。

 気に入らない事があれば全部終わった後にでも言えば良い。

 自分はこんな所で絶対に死なない。

 結菜はそう思っている。大好きな結衣の元に帰るまで、結菜は絶対に死ねないのだ。

 それは覚悟ではなく、決定事項なのだ。結菜にとっては。

「なあ、二人とも」

 すると、いきなり十夜が普段と同じような口調で話し出した。

「この作戦を成功させて、五日後の戦いも完全勝利で終わらせたらさ、一緒にメシでも食いに行かないか?もちろん俺の奢りで」

 その言葉に、リリィは物凄いスピードに手を上げた。

「・・・焼肉が良い」

「ははは、もちろんOKだ。じゃあ焼肉食いにいくか」

 十夜がそう言うと、リリィは小さくガッツポーズした。

 小柄で、無表情なリリィがそうやって感情を表にだすと、とても愛くるしくて、場が和む。

 しかし、そんないい雰囲気をぶち壊すのが「シリアスブレイカー結菜」である。

「すいません。それ完全に死亡フラグですが?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 今まで和やかに笑っていた十夜の表情が固まる。

 完全に「あ、言われてみれば」の顔である。

 リリィはなんの事かわかっていない為、「???」が頭の上に浮かんでいる。

「気付いてなかったんですか?わたくしワザとやっているものだと思っていましたが」

「そんなわけねえだろ。なんで自分から死亡フラグ立てなきゃならないんだ」

 と、言ってみた所で、それを立てたのは十夜自身である。

「ま、大丈夫さ。これ死亡フラグという名の成功フラグだから」

「性交フラグ?変態ですねエロオオカミ。基地にいる女性軍人を襲うつもりですか?」

「いや字が違うから。というかそういう風にしか考えられないお前が一番変態だから」

「なっ!?ち、違います!私は変態ではありません!バカな事を言わないでください!」

 十夜の言葉に一気に顔を赤くする結菜。

 完全にシドロモドロである。

 そして、これを逃す十夜ではない。これを機に、日ごろの鬱憤(といっても出会ってまだ一週間もたっていない)を晴らそうと、更なる言葉責めを行おうとしたが、

「・・・時間無い」

 というリリィの言葉に仕方なくその場を引いた十夜だった。

 背後では、「私にこんな辱めを・・・黒瀬十夜・・・殺す」とかなんとかかなり物騒な事を言っているバトルメイドが居るが、十夜はそれを無視して、気にしない事にした。

「というわけで」

 なにが「というわけで」なのかは全く分からないが、とりあえずそう言っておかなければ、場が収集しないので、とりあえずこの言葉を使う。

「おふざけもここまでにして、こっからはガチで行く」

 それと同時に十夜が醸し出す雰囲気も今までとは一気に変化する。

 それにつられ、結菜とリリィの雰囲気も本気なものへと変わっていく。

「よし。じゃあ、作戦開始だ――――――!」

 三人は一斉にその場から消えた。

 一人は自らの責任を果たすために。

 一人は最愛を守る為に。

 一人は更なる高みに登る為に。


 ――――――三人は今、己の命を懸ける。




引きがワザとらしいです。

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