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第5話:仲間が出来ました。

 あの後十夜は、部屋に籠っている訳にもいかず、とりあえず学校に登校した。

 そして、授業が全て終わると、三年の教室に向かって歩いていた。

 とりあえず結衣と話しをしようと思ったのだ。

(話した所で何が変わるんだって感じだが、最低でも危機感は持てる。それにあのバトルメイドは相当な使い手だ。一等級相手でも十分戦える・・・筈だ)

 詳しくは結菜の戦闘力を見ていない為、はっきりと断定出来ない十夜。

(まあ、あのバトルメイドが戦力になるかならないかは追々考えるとして、とりあえずアホ会長を見つけるのが先か)

 考えながら十夜は歩を進める。

 生徒会室は、三階の奥にある。三階は、最上級学年・・・つまり三年生が使っているフロアである。

 この学園は無駄に敷地面積が広い為、それぞれの専門の棟を建造している。生徒の教室だけある教室棟。職員だけが居る職員棟。他にも体育棟や音楽棟等、様々な建物が存在している。

 そんな中、生徒会だけが、生徒会室と呼ばれる部屋を使用しているのだ。それはこの学園のアホっぷりからしてみれば、些かおかしい。普通に考えるならば、生徒会棟なるものが建っているべきだろう。しかし、この学園にはそういったものがない。

 曰く初代生徒会長が、「近くにある方がいいからいらない」と言ったのが始まりらしいが。なので、当初生徒会棟として使う予定で建設された高さ300mの巨大な塔は、いまでは巨大展望塔として、学園のデートスポットとして使われている。

「ほんと金使いが派手だなこの学園・・・っとあそこか」

 しばらく歩くと、生徒会室に行く為のエレベーターが見えた。

 そう、生徒会室は、三階の奥からエレベーターに乗って、上の階に行かなければならない。

 でもそうすると、アレ?三階じゃなくね?ってなるのだが、四階というものが無い為、暫定的に三階の奥という表記をしているらしい。凡そ五十年もの間。

「すいませーん。生徒会長とお話ししたいんですが」

 十夜は、エレベーターの前に直立不動で立っている二人の男の一人に話しそう言った。ちなみにこの男たち、滅茶苦茶デカい。それに最早同じ高校生に見えない。どっからどう見ても歴戦の軍人だ。

「駄目だ。本日、白峰様に面会のご予定は入っていない」

(白峰様って・・・)

 どうやらこの男も、学園に存在する多数の白峰信者の一人のようだ。

 この時点で十夜は帰ろうかと思ったが、一応知り合いの命の危機だ。黙って立ち去る訳にはいかない。

「いや、そこを何とかして欲しいんですが。それに俺の名前を言えば分かると思います」

「何を言っている。白峰様はお前のような一年など知る訳がないだろう。下らない嘘を吐くな。身の程知らずが」

 カチン。

 あまりの言い方に流石の十夜もイラッとする。・・・流石と言ったが、基本的に十夜は短期である。

「おいおい先輩。誰が身の程知らずだって?・・・・・・お前、ふざけてると殺すぞ」

「おぐぅっ!!」

 十夜は一瞬で男の首を右手で掴むと思いっきり力を加えて、上に持ち上げる。確実に100キロはある男を片手で。

「お前!何をしている!!」

 もう一人の男がすかさず十夜に掴みかかるが、十夜はその男の片足に自分の左足をかけ、そのまま転ばせる。そして、うつ伏せに転んだ男の頭を上から踏みつける。

「ぐふっ!」

 男が痛みに苦痛を上げる。

 十夜自身はそんなに力を加えていないが、それは十夜基準であり、一般人にしてみれば、頭が潰れると思う程の力だ。

「おいおい、弱すぎるぞお前ら。デカいだけのカスじゃねえか」

 冷めた眼で、告げる。

 そして、更に力を込めようとした瞬間、十夜は頭を咄嗟に左に傾けた。


 ―――ドスッ!


 十夜の頭があった位置に、大きめのアーミーナイフが突き刺さっていた。

「・・・今すぐその手を放して」

 背後から、透き通る綺麗な声が聞こえる。声から女だと判別する。

 十夜は言われた通りに、手を話し、ついでに足もどけた。そのついでに二人を気絶させる。そして、ゆっくりと体を反転させる。

「物騒な物持ち歩いてるんだな」

 おどけた様な口調で話しかけながら、十夜は自分にナイフを投げた女の姿を見た。

 綺麗な銀髪をショートカットにしていて、肌は雪の様に白く、それでいてキメ細かい。宝石の様な青い瞳に高めの鼻。少し薄いが形の良い唇。胸はやや小ぶりだが、それなりにはある。身長は小さめだが、それはそれで可愛らしい。

(つまりは凄い美少女だって事だ。アホ会長とは又別のベクトルだが)

 結衣は綺麗、しかし目の前の少女はカワイイといったタイプだった。

「・・・これは私の仕事道具。だから持っていて当然」

「なるほどね。それで、見た感じとその『仕事道具』から判断するに一般人じゃなさそうだがあれか?正義の味方でもやってんのか?」

 十夜が問うと、少女は、フルフルと首を左右に振った。

「・・・違う。私は暗殺者。・・・だから正義の味方じゃない」

「なるほどね」

「・・・あなたこそ何者?」

「俺か?何で俺の事なんか知りたがる」

「・・・あなたは普通の人間じゃない。・・・私も強い自身があるけど私じゃあなたには絶対に勝てない」

(こいつ・・・・・・)

 十夜は顔には出さないが、内心では驚いていた。

 十夜は「擬態」が得意である。これは、自らの実力を隠し、弱者の振りをする技能の事である。言動はもちろん、暗殺者特有の癖に至るまで徹底的に偽り、弱者の振りをする。

 しかし、この少女はそれを見破ったのだ。この学園で「擬態」を解いたのは、先程と、初日のレストランだけだ。

(もしかして・・・)

「お前、入学式の日にレストランで俺を見ていた奴か?」

 少女はコクリと頷いた。

(成程な。・・・そうだ。どうせバレてるならいっそこいつも巻き込もう)

 いきなり飛躍した考えをする十夜。

 ぶっちゃけ少女の方にしてみればたまったものではない。少女は、十夜の意味あり気な視線に不思議そうに首を傾げるだけだ。

 この少女、殺し専門のようで、どうやら人を疑う事を知らないようだ。いや、恐らくそういう風に育てられたのだろう。

 と、十夜は解釈した。くしくもそれは当たっているのだが。

「なあ、お前名前何て言うんだ?」

「・・・リリィ。神崎リリィ」

「そうか。じゃあリリィ。お前に仕事を頼みたい」

 その言葉にリリィは僅かに眼を見開いた。どうやら驚いているらしい。

「・・・なぜ?」

「ん?」

「・・・あなたならどんな仕事でもこなせるはず。・・・もしあなたに無理な仕事なら私も無理」

「ちげえよ。今回は暗殺じゃない。殺し合いだ」

「・・・相手は私と同じ暗殺者?」

「そうだ。それも超一流のな。気を抜いたら一瞬で殺られるぞ」

 その言葉を聞いて、リリィは微かに笑った。

「・・・望むところ」

 それだけ言ってリリィは背を向け、去って行った。

「詳しい事は明日連絡する」

 その言葉にリリィは一旦止まり、顔を横にして、眼だけをこちらに向けて「・・・了解」と一言だけ言って、また歩き出し、今度こそその場を去った。

「楽しそうにしやがって・・・」

 恐らくそれがリリィの本質なんだろう。強者との戦闘を、殺し合いを楽しむ、根っからの戦闘狂バトルマニア

「ま、俺も人の事言えないんだけどな」

 そう十夜は自嘲気味に一人ごつ。

 実際、結衣を見捨てようと思えば見捨てる事は出来た。いくら十夜が他人に対して親しみの感情を抱きやすいといっても所詮まだ出会って一日しか経っていない。見殺しにしたとしても、一週間もすれば罪悪感を感じなくなるだろう。

 それなのにも関わらず命を懸けて戦おうと思ったのは、ひとえに面白そうだったからだ。

 黒瀬家から一等級以上の実力を持つ暗殺者が、総勢50人も送り込まれるのだ。一等級と言えば、軍隊の一個中隊と互角に渡り合える戦闘能力を誇る。

 一般人からみれば十分化け物レベルなのだ。

 そんな奴らと戦える。

 十夜はそれがたまらなく楽しみだったのだ。

(でも主目的は白峰結衣を守る事だ。それにはまだまだ人数がいる)

 十夜は本能を理性で押さえつけながら、当日の作戦を練る。しかしどうしても人数が足りない。

(俺とバトルメイドとリリィ。三人で五十人は流石に無理だろ。いや、殲滅という目的なら可能かもしれないが、護衛となると・・・うん。やっぱり無理だ)

 当然ながら、一等級以上の暗殺者と互角に戦える者などそう簡単に見つかるとも思えない。

 それに、いきなり、「来週この学園に暗殺者が来るから皆力を貸してくれ」なんて言った所で、「妄想乙」と言われるのがオチだ。

「・・・とりあえず帰ってメシくって寝ればいい案が思いつくだろ」

 そう結論付け、十夜はその場からさっさと立ち去った。

 その後、生徒会室から出てきた生徒会メンバーが倒れている二人の男を見て大騒ぎとなった事を最後に記しておく。

 その日、監視カメラを付ける事が決定したのだった。


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