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34 感動の再会?

「ほげえ」


 裏の森にこんなところがあったなんて知りませんでしたわ。

 私はきょろきょろと周りを見回してしまう。あまり人間の村と変わらない印象ではある。気持ち建物がメルヘンかなってくらい。

 後はこぢんまりとした普通の村だ。ここで自給自足できるの? とツッコみたくはなるが、ゲーム内だと数人しか住んでいないような集落でも普通に住んでるからそんなもんなんだと思おう。

 お父さんはエルフの里に入った途端に駆けつけてきたエルフたちに連れられていってしまった。


「任せておいて大丈夫だよ」


 追いすがろうとした私に、鎧の戦士がやっぱり見た目に反して可愛い系の声で言ったのだ。助けてくれたからだろうか。彼のことは信頼できるような気がして、私は父さんを任せることにしてしまったのだった。

 お父さんはぐったりしていて、里に入ると意識を失ってしまっていた。

 それに、元々ここに助けを求める為に来たのだ。お父さんをここに連れてこられた時点で一か八の賭けには勝っていることになる。

 鎧の戦士が任せても大丈夫だと言ってくれているのだ。

 信頼することに決めた!

 それで、ようやく人心地ついてエルフの里の中を見回していたわけだ。エルフだったらエルフ心地?

 そういえば、私はともかくお父さんもするっと入ってきちゃったけど普通に結界抜けられたってこと? 謎のお父さんパワー? それとも、鎧の戦士のせい? 鎧の下はエルフなのかな? 普通に考えたらここにいる時点でそんな感じだけど。


「それより、リュリューこそ大丈夫?」

「あ、うん。ハイ」


 鎧の戦士に聞かれて、私は頷く。そこでようやく気付く。

 どうして、私の名前知ってるんだ? さっきから何回も呼ばれてたような。

 もしかして、勝手に結界内に侵入してきた人間として有名?

 それは、ちょっと複雑だ。けど、それなら話は早い。さっきからずっと気になってたんだ。

 私は鎧の戦士を見上げる。あれ? よく見ると結構小さい? 見上げるといってもほんの少しだ。私より少し高いくらいであまり変わらない。意外と若いのかな?

 それよりだ、


「あ、あの私! エルフに知り合いがいて、出来ればその子に会いたいんです! だから、その子の家に案内して頂けるとありがたいんですが!」


 さっき、ここに来たときに出てきたエルフの中にテネリはいなかった。今も新しくエルフが家の外に出てくる様子は無い。人間を警戒しているんだろうか。テネリは、もしかして箱入り娘だったりして人間が来ているときなんかに外に出してもらえないんだろうか。前科もあることですし……。

 でも、テネリなら私が来たってわかればすぐに駆けつけてくれるって思ったのに。少しさみしい。

 お父さんがなんとかなりそうだと思ったら、テネリに今すぐ会いたくなった。だって、十年ずっと我慢してきたんだから。

 こんなに近くにいたのに。


「じゃあ、少し待ってて」


 やっぱり、すぐに話が通じたらしい。

 さっそく案内してくれるかと思いきや、


「んしょ」


 鎧の戦士は鎧の頭に手を掛ける。そして、頭だけをすっぽりと脱いだ。

 現れたのは……、イケメンエルフだった!

 少年、と言えばいいくらいの年だろうか。多分私とそんなに変わらない。青年期になるまでは人間と同じような成長速度と言っていたから多分そう。

 これは……、破壊力がある。幼女だったテネリもお持ち帰りしたいくらい可愛かったけど、これはこれは。

 さっき出てきたエルフたちは、正直モブ顔だった。美形ではあるけど、メインキャラではないな!と一瞬で把握できるくらい。だから、なんともなかった。

 だが、こちらの方は違う!

 乙女ゲーに出てきそうな、ちょっと気弱弟系イケメンとでも言えばわかってもらえるだろうか。って、私は誰にわかってもらおうとしてるんだ。

 とにかく、そんな感じ。です。はい。

 あとね、ごつい鎧の下が実は美少年(しかも可愛い系)でした-! とか美味しすぎるでしょう! 設定的に!

 だからこその可愛い系ボイスだったんですね!?


「あ、あの、リュリュー?」


 ハッ! トリップしちゃってた!


「ご、ごめんなさい」


 だって、あまりにも顔がいいし、美味しい設定だから! これでトリップするなとか無理!

 けど、充分堪能させて頂いたので、


「あの、私テネリっていう女の子と知り合いで、その子に会いたいんですが」

「お、女の子……」


 なぜ、イケメンエルフ君は急に涙目になっているのだ?

 て、なんか目の前のイケメンエルフ君、どことなーく見覚えがあるような無いような。


「んー」

「え、……ちょ」


 顔を近付けて、まじまじと目の前のイケメンエルフ君を観察する。


「ち、近い。近いよ、リュリュー」


 あ。わかった。


「テネリのお兄ちゃんだ!」


 当たったな。


「お、お兄ちゃん?」

「あれ? 違った? すごく似てると思ったんだけど」

「僕だって、僕!」


 僕僕詐欺?


「僕がテネリだよ!」


 ん?

 私の知っているテネリは女の子で、僕っ娘で……?


「えーーーーーーーーーーー!?」


 エルフの里の中に私の叫びが響き渡ったのだった。

 あ、近くで鳥がバサバサと飛び立ってる。お約束のやつですねー。


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