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32 ふいをつかれた!

 何か出来ること!

 なんも無い!

 まず、コマンド表示されない!

 と、思ったその時!!


「ファイアー!」


 ドバボン!


 謎の音とともに、目の前に炎が現れた。

 そして、ゲージが溜まりきって私に攻撃しようとしていたゴブリンロードに命中する。

 

 ボボボボ


 あ、なんか、グロい描写とかじゃなくてよかった。なんだろ、このゲーム画面見ているような感じ。

 ゴブリンロードが倒れる。


「大丈夫ですか! リュリュー!」


 この声は……、


「お父さん!?」


 果たして声のする先を見るとそこには、肩で息をしたお父さんが立っていたのであった。


「間に合って、よかった……」


 待機状態っぽいポーズでお父さんは言う。

 ってーーーーー!

 お父さんの頭の上! 上! 上!

 ゲージ、もうめちゃくちゃ少ししかHP無いんすけど!

 なんで!? あ、元々調子が悪かったからか!?


「起きてきちゃって大丈夫なの!?」

「大丈夫です!」


 てか、お父さんもいつの間にか、この謎バトル空間に入っちゃってる。

 しかも、お父さんのHPゲージ最初から赤い。

 あんなHPじゃ、すぐやられちゃう。

 ん? ちょっと待って。お父さんの表示。

 職業欄みたいなのがある。

 あ、読めた。

 けんじゃ。けんじゃ、ね。

 ケンジャ。

 賢者?

 

「賢者!?」


 それって、結構上級職なのでは!?

 それに……、なんかさっき攻撃魔法みたいなの使った!?

 どどどどど、どういうこと!?

 ポコン。

 ゴブリンの振り下ろした棍棒がお父さんに当たる。今度はターゲットがお父さんになってたみたいだ。

 それより、ダメージ!

 あれ? なんともない。少しHPが削れた様子はあるけど。

 おかしい。あれだけしかHP無いのに。

 ちょい待って。HP少ないけど。少ないけど……。

 あれ、元の数値がめちゃくちゃ高いのでは……。


「ファイアー!」


 あ、ゴブリン倒れた。あっけなくない?

 ファンファーレが流れる。

 あ、戦闘終わった? 周りの景色が元に戻った!

 あと、ゴブリンたちの姿はどこにも無い。き、消えた!? ゲームの時でもどこいったかわかんないけど! どこいった!?


「大丈夫ですか、リュリュー!」


 はっ! お父さん

 駆けよって来ようとしたお父さんだが、その場でふらりと倒れてしまう。


「お父さん!?」


 私の方がお父さんに駆け寄る。

 そうだった。目の前でわけわからないことが起きたせいで、頭の中までわけわからなくなってたけど、お父さんすごい熱だったはずだ。こんなところまでふらふらと歩いてきて、更には戦闘なんかしてる場合じゃない。


「お父さん、大丈夫?」


 お父さんの上半身をそっと起こして私の身体に体重を掛けさせる。


「ふう、大丈夫ですよ」


 お父さんが目を細めて微笑む。


「なんだか嫌な予感がしたんです。間に合ってよかったです。ダメじゃないですか。村の中ならともかく、最近は前よりもモンスターが出るようになったんですから」


 そうだった。

 この十年で変わったこと、それはモンスターの活動が活発化したこと。それは、前にもお父さんから言い聞かせられていた。

 だから、あまりふらふらと外を出歩かないこと、って。ましてや森の中なんて前よりも危なくなっていると言われていた。


「……ごめんなさい」

「いいんですよ。リュリューが無事なら」

「でも、私、お父さんのために」

「エルフならなんとかしてくれると思った、ですか?」

「え、なんでわかったの?」

「リュリューのことですからね。わかりますよ」

「……お父さん」

「他に頼れる先もありませんしね」


 それもそうか。でも、さすがお父さん。私のことがわかってしまうなんて。こんな状態ではあるけれど、ちょっと嬉しくなる。


「やっぱり、エルフならなんとか出来そうなの?」

「そう、ですね。その判断は間違ってはいな……」


 お父さんが言いかけたとき。

 再び、空間がぐにゃりと変化する。。


「こ、これ!」


 さっきと同じ音楽が流れ始める。


『リュリューたちはふいをつかれた』


 な、なにぃいいいい!

 そんでもって、またゴブリン!

 あと、なんなの、さっきからテロップだけカタカナとひらがなしか入ってないのは! 私が子どもの頃にやってたゲームは容量の関係で漢字使えなかったからそうなってたみたいだけど、それなの!?


「しまった、まだ残っていましたか! ぐっ」


 お父さんは肩で息をしながら膝をついている。これ、アレだ! HPが少ないキャラクターのバトル立ち絵だ!

 って、んなこと言ってる場合じゃない!

 不意を突かれたってことは……、やっぱり。相手の行動ゲージは最初からMAX!

 私たちのは、あ、全く溜まってない。ですよねー。

 これで、もうピンチ三回目ですよ。二度あることは三度ある-!

 どうすんのこれ、ちゃんと前に進むの?

 これ、あの某有名猫型ロボット漫画の有名な回に出てくる、いつまで経っても進まない現象にならないよね!?

 グエーッ


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