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30 ここまで来といて初バトル…だと…?

 私たちの住んでいる村に、お父さん以外の医者、というか薬師はいない。そう、人間ならね!

 でも! エルフだったら!? もしかして、なんとかなるかも!?

 この際、思い付いたことは行動に移すが吉!

 私は森の中へと駆け込む。

 あの日から森の奥には行かないようにしていた。きっと、行こうと思えば行けてしまったんだろうけど。テネリを探すことだって出来たはずだし、エルフの里だって本気で探せば見つけることも出来たんだと思う。

 だけど、そうしなかった。

 お父さんともテネリとも約束したからだ。

 けど、緊急事態なら別だ。


「ごめんね、お父さん」


 約束、破ってごめん。でも、お父さんを放ってなんかおけない。


「確か、テネリと会ってたのってもう少し奥の方だったかな」


 昨日のことみたいに思い出せる。子どもの頃の思い出。

 あの時はもっと木が大きくて、いや、私自身が小さくて周りが全然見渡せなかったっけ。今はもっと遠くまで見える。

 だけど、そのせいで迷子になってテネリと会うことが出来た。周りが見えなさすぎて崖から落ちて会えなくもなったんだけど。

 懐かしい。

 そういえば、テネリとは森の中で会ってただけでエルフの里には行ったことが無かった。このまま突き進んでいけば、見つかるもんなんだろうか。普通の人ではエルフの結界は抜けられないものだけど、私ならすり抜けちゃうみたいなこと言われてたし。なんとか、なるかな?

 ええと……。

 いいや、突っ走れ。

 こういう時って、絶対何か起こるものなんだから。適当に走っても多分大丈夫。

 じゃないと、話が進まないから! うむ!

 で、ザッと私の進む先の茂みが揺れた。

 イベント発生か!

 出てきたのは、


「!!」


 ちょっとだけ期待してた。あの日みたいに、偶然テネリと会えちゃうんじゃないかって。だけど、違った。

 現れたのは、


「モンスター!?」


 あれは、ゴブリンか。ファンタジーだと初期モンスターで弱かったりするけれど、まずモンスターなんて、


「初めて見たぞ!?」


 思わず叫んでしまう。

 でも、ちょっと待って。ゴブリンにしてはなんかいい装備だな。これは、初期で出るやつじゃない?

 ライトゲーマーだった(自分ではそう思っていたけど、友人には何言ってんだ!? 普通にゲーマーだろ! とあきれられていた程度)頃の癖で観察してしまう。

 そういえば、この十年でモンスターが前よりも現れるようになったとは聞いていた。だけど、実際にこれまで目にすることは無かった。

 むしろ、来るなら来い! というか、見てみたい! と思っていたわけだが……。


「今じゃないでしょ!」


 このタイミングは、さすがに一喝したくなる。


「ん?」


 ゴブリンがこっち向いた。

 目が、ぱちんと合った。

 あ……。

 しまったーーーーーーーー!

 無駄に大声出しちゃったせいで気付かれたっぽい!

 これは、逃げるべきか。丸腰だし。ゲーム内だったら、最初の敵くらいなら初期装備で、最悪素手でもなんとかたおせるだろうけど、あのゴブリンちょっと強そうだし。

 よし!

 三十六計逃げるに如かず-!

 と、思ったんだけど。

 その時であった。


「え、な、何これ!?」


 どこからともなく、アップテンポで気分を高揚させるような、楽しくはなりすぎずかといって暗すぎもせず身体を動かしたくなるような、勇気が湧いてくるような、それでいて少しの不安をかき立てるような。そんな曲が流れ始める。

 どことなく懐かしい。そんな雰囲気。

 そして、突然画面が切り替わる。画面?

 あ、え?

 目の前にはゴブリン。それに相対するように私、リュリュー。


「ん? なんだ、アレ? ん、んんんんん? ええ!?」


 ゴブリンが今にも襲いかかってきそうなのに、私は取り乱してはいなかった。むしろ落ち着いていたと言っていい。

 現実感が急速に薄れていたのだ。

 何しろ相手の頭の上には今、ゲージが浮かんでいた。


「あれ、どう見てもHPって書いてあるよね? あ、その下にMPもあるわ」


 と、いうことは……、


「さっきから流れてるこれって、……戦闘用BGM!」


 ゲージの上にはモンスター名もきっちり書かれている。


「あ、ゴブリンロード。ふんふん。もう一匹は、普通のゴブリン、と。てことは」


 頭の上にある自分のゲージを見てみる。


「きゃー! 私の名前も書かれてる!!」


 なんか恥ずかしいな!

 表示の名前はリュリュー。元の名前でひらがな表示とかじゃなくてよかった。そっちのがなお恥ずかしいわ!

 小学生の頃とか、ゲームの主人公に馬鹿正直に自分の名前付けちゃうよね。しかも、ひらがなで。大人になったらハンドルネームとか付けるようになるよね。なんとなくね。


「んで、これ、どゆこと?」


 あまりの現実感の無さに、私は悠長に首をひねっていた。

 なにしろ、ゴブリンもすぐには襲いかかってこないし。これ、案外大丈夫なやつ? と、思っていたんだけど。


「ぐああああー!」


 謎のうなり声を上げて、ゴブリンが襲いかかってきた。棍棒(リアルで初めて見た!)で殴りかかってくる。

 え、ちょっと。棍棒にトゲトゲ付いてるよ。棍棒+99まではいかないけど、棍棒+10くらい!? あれで殴られたら絶対痛い!

 やっぱり怖い! ゲーム画面なら大丈夫だけど、リアルで近付いてくるとやっぱり怖いよ!? いくらゲーム画面ぽいからって、無理だよ!?

 これ、死ぬやつ?


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