表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/10

変態王子&モブ令嬢Side ダンスパーティの裏側で……の、裏側② タクト奮闘記録

「どうしたんだ……というか、その傷はなんだ」


 カーマインの頬には擦り傷があり、唇の端を切ったのか腫れている。一目見ただけで何かが起きたと分かった。


「ピスケリー伯爵家が黒装束の者達に襲われ、不覚にもアスチルゼフィラ嬢が連れ去られました」

「な……んだと」


 カーマイン程の腕の持ち主が不意を突かれるとは、襲って来た奴らは何者なんだ。


「ゼフィーの行方は?」

「ここに来る途中でパルクに伝令を飛ばし、捜すよう指示しております」


 我がローゼン公爵家は元々武術に長けた一族で国境の警備は勿論、多くの騎士を輩出している。そんな猛者たちを束ねているのが本家である我がローゼン家なのだが、私設騎士団の他に暗部と呼ばれる組織がある。


 諜報活動を始め、誰にも気付かれぬよう秘密裏に対象を護衛をしたり、必要であれば対象を人知れず消したり……公には出来ない、いわゆる裏稼業を専門とする組織だ。王宮にも暗部はあり、そこへも我が公爵家から選りすぐりの者たちが配属されている。その育成機関を我が公爵家で担っているのだが、パルクはそこの総隊長だ。


 アイツが動いているのなら、必ず居場所を突きとめれるだろう。


「……フレッドの隊は動かせるか?」

「はい、可能です」

「ではお前は先に邸へ戻り、フレッドらを準備させておけ。おれもすぐ邸へ戻る」

「はっ!」


 カーマインはおれからの指示を受けると、即座に公爵家の邸へ向かった。そしておれはアルの私室へと戻り、スクトに事情を説明してこの場を離れる旨を告げた。急いで王宮の騎士団の詰所へと向かい、おれがいつも使っている黒馬に跨ると邸へと走った。


 邸へ戻ると着ていた正装を脱ぎ捨て、騎士服へと着替える。そしてフレッド率いる私設騎士団の第二部隊を引き連れ、ゼフィーの捜索へと出た。まださらわれた目的も、相手も何も分からないがゼフィーを助け出すのが先決だ。普段の護衛としてカーマインを付けたが、もっと護衛を付けておけば良かったと後悔の念が押し寄せる。


「タクト様!」

「アスウェル! お前、動いて大丈夫なのか」


 貴族街を抜けた所で、おれの元へゼフィーの弟のアスウェルが駆けてくるのが見えた。脇腹を手で押さえながら駆けて来たアスウェルは少し顔色が悪そうだ。


「これくらい……大丈夫です。それより、お伝えしたい事があって来たんです」


 大丈夫だと言いながらも、その顔は苦痛を隠し切れていない。無理をしている事は明らかだ。


「見たんです、気を失う寸前でしたけど……あの人が、レオナルド様が姉上の口元に布を……」

「レオナルド……だと?」


 あの赤毛のクルクル野郎がゼフィーをさらっただと!? まだ諦めていなかったのか!


「カーマイン! シャロン伯爵家へ向かうぞ」

「はっ!」

「それからアスウェル、君は家に帰ってゆっくり傷を癒すんだ。ゼフィーは必ずわたしが連れて帰る」

「はい……姉上の事、お願いします。タクト様」


 レオナルドの野郎、今度ばかりは絶対に許しはしない。……ゼフィー、待ってろよ! 今助けに行くからな!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ