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モブ令嬢Side 執務室のよくある出来事……その後

10万PV達成 感謝御礼企画。


ゼフィーとタクトのラブラブ話で御座います。

「やっぱり、タクト様だ」


 今日は借りていた本を返しに王城に来ていた。侍女のスワンと護衛騎士のカーマインに付き添われ、王宮内にある王立図書館に向かおうと広い広い廊下を歩いていた時だった。廊下沿いにある庭園から「ふんっ、ふんっ!」と木刀を振っている音と声が聞こえて来た。……この声は!


 わたしの推しレーダーが察知した声の方へと足を向けると、輝く陽射しの下、上半身裸で無心に木刀を振るう愛しの推しの姿があった。傍の木にはタクト様の騎士服が掛けてある。タクト様は学園に通われながら既に王立騎士団にも入隊を済ませていて、卒業を待ってから近衛騎士団へと移動になるらしい。


 タクト様とこんな所で会えるなんてラッキー。


「……ぜ、ゼフィー」

「こんにちは、タクト様」


 運動で紅潮したのか頬が赤いタクト様に淑女の礼をして挨拶をする。汗ばんだ素肌が……たくましい腕が……筋肉質な胸板が……うっはぁああああああああ! す、素敵すぎて直視出来ない。


「訓練ですか?」

「え……あ、あぁ、そんな感じだ。ゼフィーは図書館か?」

「はいっ、本を返しに来たんです」


 なるべく首から下の方を見ない様に、にっこりと笑顔を向けるとタクト様は何やら視線が彷徨っている。おや、どうしたんだろう。


「どうかされましたか?」

「あ……いや、その……」


 耳を澄ますとタクト様が小さな声で「ひざ……せな…て……そんな羨ましい事……」とか「どうせするなら、誰にも見せたくないし」とか呟いているのが聞こえる。んー? どうしたんだろう。取り敢えず、二人っきりになりたいって事なのかな?


「スワン、カーマイン。悪いけど、その本を返してきて貰っても良い?」

「はい、畏まりました」

「はっ」


 お供の二人に声を掛けるとタクト様が少し驚いた顔で、スワン達の後ろ姿を見送る。


「邪魔者は居なくなりましたよ? さあ、タクト様。どうぞ!」

「え…………なっ……、お前は……」

「ほへ?」


 よく分からないけど、タクト様が二人きりになりたくて、それで何かをしたいって事だよね? あれ、なんか違ってたのかしら。首を傾げるわたしをタクト様は困った顔で引き寄せられた。そのまま手を繋がれて、近くにあったベンチの上にわたしを横抱きにしてタクト様が座った。んん? 何だ、これ。


「……さっき、執務室でだな」

「はい」


 急に密着する形になったので、意識しない様にしてたタクト様の裸の上半身がわたしの真横にある。きゃあああ、タクト様の真珠の様な汗が、わた、わたしに付いて来るぅ~! ヤバイ……近すぎるキレイなお顔もヤバイけど、厚い胸板もヤバ過ぎるぅ。ご褒美だらけだよー。


「アルがティアナを膝に乗せながら仕事をしてたんだ」

「はぁ……それはまた、何とも素敵な……」


 アル様のイチャイチャっぷりは、最近ではもはや学園名物となっている。人前でもチュッチュ、チュッチュとティアナ様のあちこちにキスをするし、何故かやたらと髪の毛の匂いを嗅いでたり、ある時はティアナ様の指を口にくわえていたり……と、何というか――――うん、変態だ。さすがアル様だ、こよなくティアナ様を愛しておられる。


「それを注意したらだな……お前もすれば良いだろうと、言われてだな」

「ティアナ様を膝にですか?」

「は? どうしてそうなる……ティアナじゃなくて、お前だよ」

「わたしですか……あ、それで今、こうなってるんですね」


 なるほど~と一人頷いていたら、タクト様が何故か笑い出した。


「ははっ、相変わらずだなお前は。悩んでたおれが馬鹿みたいだ」

「え、悩んでたんですか?」

「普通は家でもないのに恥ずかしくてしないだろう、こんな事」

「わ、わたしは嬉しいですよ。タクト様の特別だって、思えるから……」


 わたしの言葉に目を見開いたまま一時停止されるタクト様。あれっ、また何か変な事言ってしまったのだろうか。お、おかしいな?


「タクトさまー? おーい」


 目の前で手をフリフリしてみる。


「……おれを煽るのが上手いな、ゼフィー」

「はい?」


 キラリ――とタクト様のコバルトブルーの瞳が光った、様に見えた。


「ふぐっ!? ……んむむっ!」


 いきなり唇を塞がれて乙女らしくない声が漏れてしまった。タクト様は、わたしの頭を後ろからをしっかりと固定して唇を離さない。


「んっ……んん……」


 密着している肌が! 顔に掛かるサラサラとしたタクト様の髪が! たくましい腕がっ! 筋肉質で厚い胸板がぁ! そして柔らかい唇が! 時々漏れる色っぽい吐息とか! もう、色んな意味でヤバイ、ヤバ過ぎですっ。


「――()()()もか……なんで僕の周りは、こうも激しい人が多いんだ」


 突然降ってわいたスクト様の声に驚いて、慌てて身体を離すわたし達。ベンチの傍に呆れ顔のスクト様がため息をつきつつ立っていた。


「アスチルゼフィラ嬢、悪いけどタクトを借りていくね」

「は、はいっ」


 すんごいニコニコ顔で話し掛けるスクト様だけど、何だか笑顔が怖い……。


「ほら行くよ。まさか本当に膝乗せしてるとは思わなかったなぁ」

「し、してねぇよ!」

「あきらかに、してたでしょーが」

「お前の見間違いだ」

「ふーん。じゃあ、キスはしてたよねぇ」

「そ、それも、多分見間違いだ」


 いや、タクト様。それは無理がありますよ。思いっきりバッチリ見られてますから。


「ゼフィー、ごめんな。仕事に戻るわ」

「あ、はいっ。頑張ってください」

「さっきは大変だったんだよ~殿下がティアナ拉致して私室から出て来ないんだもん」

「なんだと! アイツまた性懲りもなく……」

「そんなタクトも今の見る限りじゃ同罪だけどねぇ」

「うっ……」


 双子同士、仲良く喋りながら歩いて行かれました。


 ……あー、ビックリした。

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