過去を乗り越えて
俺は、死んだのか……?
俺は空を見上げる。
正しくは天井だ、何かが空を遮っている。
「……ル………」
いや、違うな。
これは人だ。
天使か?
そうか、俺はもう時期……。
「あるじさまっ!」
顔をぎゅっと何かが覆い被さる。
あれ、これ息が出来ない。
死ぬ、死ぬ……!
「く、苦しいわっ!」
俺は飛び起きる。
「良かったのにゃん、生きてて」
俺は辺りを見渡す。
すでに周囲は瓦礫の山と化しているが、ペネロペ、マキナ、サキ、リリコ、そしてユキがこの場にいた。
「俺は生きてたのか」
「そうにゃん。ユキが咄嗟に助けてなかったらどうなってたのか」
あのユキが俺を助けてくれたのか。
彼女は俺の目を見つめ、言葉は発さなかった。
「……そうだ、バーンフリートはどうした」
「あいつはもう、どこかの瓦礫の下にゃ。昔の交で助けようかとも思ったんにゃけど、間に合わなかったのにゃ」
「そうか……」
俺は改めて、全ての事件が終わったことを感じる。
「ハル、もうしばらくうちで暮らさせてやってもよくってよ?」
「ああ、そうさせて貰うよ、リリコ」
もう師匠なんて仰々しい呼び方はしない。
彼女は俺の大切な幼馴染なのだから。
「あるじさま、もうどこにもいかないで……」
突然、ペネロペは俺に抱きつく。
聞くと、ペネロペは俺が死んだものだと思っていたらしく、死別するのが悲しかったのだという。
「当たり前だ。俺はお前たちを突き離したりしないさ」
*
それから、俺たちの生活は穏やかなものになった。
俺はヤカシュでの商売に成功し、ついに小さな屋台を持つようになった。
ユキはアーク商会に代わる新たな奴隷を守るためのシステムを構築するための勉強を始め、サキはそれを手伝っている。
ペネロペは来年から学校に通うことになり、マキナもそれに同伴することとなった。
そして師匠は俺が戻ったことから家事をやらない生活に戻ってしまった。
俺は一度は運命を受け入れ、全てを諦めていたが、全てを跳ね除けて欲しいものは全て手にすることができた。
あの日から変化したあれこれを考えながら帰宅すると、みんなが迎え入れる。
「おかえりなさい」
俺の夢はそれなりに金を稼いでそれなりの店を持って、穏やかな生活を送ることだと言っていた。
過去の俺が今の様子を見たら、驚くだろうか。
驚くだろうなぁ。
今回で糸使い1章完結となります。
応援ありがとうございます。
第2章、輝ける聖騎士編を予定しておりますが、公開はもうちょっと後になるやも知れません。
だだ、読者の皆様をお待たせするのも何ですので、以前私が暇な時に趣味で書き留めておいた作品を近日中に短期連載したいと思います。
最後に、糸使い1章完結まで拝読頂き、誠にありがとうございました。
もしよろしければ、作者をフォローして今後の展開を追っていただけると嬉しい限りでございます。
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