星空の中で
落ちる、落ちる、落ちていく。
摩天楼から、煌めく地上の夜空へと。
腕の中には、かつて一度は手放した妹、ユキがいる。
「離せ……離してっ!」
「…………」
何度拒絶されようが、私は絶対に彼女を手放さない。
ハルに教えて貰ったのだ、歩む道が正しくとも、それを否定し無理やり別の道に歩ませることができるのは姉である私しかいないのだと。
善意の押し付けでも、なんでも構わない。
いくら正しくても、妹が修羅の道を歩こうとするなら、無理やり辞めさせてしまえばいい。
嫌われたって構わない、初めから自分に素直になれば良かったのだ。
「何これ……頭がっ! ああ……ああああ! 痛い! 痛い痛い痛いぃぃ! お姉ちゃん離してっ! こんな記憶知らない。苦しいの、もうやめてよぉ!」
どうやらハルのスキルで記憶が再生し始めたようだ。
「…………」
だが、どんなに苦しくても消して忘れてはいけない大事な記憶。
かつてのユキなら、そう思っていたはずだ。
「お願いします、なんでもしますから。……だから、許してぐだざいぃ。いたぃ。いたいよおねえぢゃん……」
私はただ抱きしめる。
私たちは良き姉妹だ。
苦しいことも、辛いことも共に乗り越えるべきなのだ。
ユキ、どうかどこにもいかないで。
「はぁ……はぁ……」
「…………」
どうやら痛みは引いてきたようで、呼吸も落ち着いたものになっていく。
「お姉ちゃん、私……。なんてことを……」
その言葉を聞いて、記憶が戻ったことを理解する。
「……ユキはやりたいことをやったし、私もそうした。これはただそれだけの話なのにゃ。正しいも悪いもないのにゃ」
星空の中、私とユキはこの一瞬で大切なものを取り戻し始めた。
「お姉ちゃん、ありがとう……。ありがとう」
私はただユキを抱きしめる。
私は私のやりたいことはやった。
後はハルが復讐を成し遂げるだけで、全てが終わる。
頑張れ、ハル。
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