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異世界ってどこ?

年パスも驚くほどの不定期更新です

気がついた時には体が浮いていた。

車に跳ね飛ばされたらしい。体のあちこちが千切れるかの様に痛い。これで意識があるのが不思議なくらいに。ああそういや。星座占い2位だったんだっけ。適当な嘘っぱちじゃあないか。2位でこれなら1位はどんな目に合っているのだろうか。てかあれ、テレビって最後見たのいつだっけか。最後家に帰ったのが確か一週間ほど前だったか。じゃあその時かな。いや電気代払ってないからもっと前か。


いやそうじゃなくて、このまま地面にぶつかったら死ぬよな。どうやって解決しよう。


うん、無理。


仮にこのまま地面に頭からつき刺さるのを回避出来たとして、この体が四方八方に爆散しようとしている感覚を誤魔化すことは出来ない。

結局死ぬのは目を開かなくても分かる。


詰まる所、これが絶対絶命ってやつだ。


ああ、せめて最期にあのクソ上司に迷惑かけて死にたい人生だったなぁ。


もう思い出すだけでムカつく!迷惑の種を撒くまで撒いてあと知らねってか!あのやろいつか絶…ーーーーーー



※※※



ーーーん、ここはどこだ?


そう思い、周りを見渡そうとすると首が自由に動かない事に気づく。


ああ、確か事故にあってそれでだからええっと?


よく分からない状況に頭をひねりつつもよく考えてみるとある可能性にたどり着く。


そうか、ここが病院か。だから壁も天井もベットも真っさらなんだ。

ってことは助かったのか。でも怪我の後遺症とかあると思ったんだけどなぁ。


そんなことを考えてると、誰かが部屋に入って近寄ってくるがボヤけてて顔とかがあまりはっきりと認識出来ない。

なるほど、これが後遺症か。なんか納得した気分だ。


「ーーーーーーーーーーー」


何か喋ってるみたいだがこちらも認識出来ない。

後遺症は案外広範囲に及んでいる様だった。

かなり辛いがいつかは慣れる日が来るのだろうか。


とりあえず意識がある事を伝える為に微笑んでみた。

しばらく髭を剃っていないので気持ち悪いかも知れないが。


「ーー!ーーーーーーー!!」


なんだかとても驚かれた様だ。

とても苦い顔をしているに違い…ない…。


というかなんだか…眠くなってきた……あのクソ上司に復讐する為にも……休暇はじゅうぶんと………とらないと…………



※※※



あれから6か月が経って今、初めて異世界に転生した事に気がついた。きっかけはまさかの犬である。

なんで犬なのかって?その犬、首が三つあったんだよ。最初は気のせいだと思ったけど見れば見るほど寓話で聞くケルベロスにそっくりだった。


今にしてみれば、何故異世界転生した事に気がつかなかったのか分からないほどおかしな点があった。

あれだけの事故だったのに生きていることとか、見知らぬ美人に介護されてることとか、あとクソ上司がこの部屋に乗り込んでこないこととか。


なお体は全然動かなかったので、そのせいで気付くのが遅れたのはある、と思っている。


人って信じたくないことって決定的な証拠がない限り、信じないのって本当なんだということを実感した。こんな方法で知りたくなかったが。


さあそろそろ寝る事にしよう。まだまだおねむな年頃なのです。


すやぁ



※※※



そんなこんなで今7歳。ん?飛ばし過ぎ?別に大したイベントはなかったよ。


今日はパーティに招待されたみたいで馬車に乗っている。地味に初めての遠出だ。


流石にこの歳になれば読み書きは普通に出来る様になった。

まだまだあやしい子もそこそこいるらしいが、そこはまあ転生者だけの特典みたいな感じで許して。


この世界ではスキルというものによって恩恵を受けるみたいだ。

そして恩恵を受けるのは10歳になる頃で、教会にてスキルを貰えるらしい。

そしてそこから職業を検討して、15歳で成人した後働く流れだと父から聞いた。


そうそう、父はウェンリー・ベルフィンという名前で父が公爵だと知った時は、異世界転生だと気づいた時と同じくらい驚いたね。

あとあの見知らぬ美人はレーラといって私の母らしい。

ちなみに私はフューエルという名前だ。女性っぽい響きだが男だ。

アイシャという妹もいるが、まだ幼いので今日はメイドと一緒にお留守番だ。

そしてあのケルベロスもどきの名前がなんとシュバルツだった。無駄にかっこ良くてなぜか敗北した感じがする。


そんな馬鹿なことを考えていたら、父が喋った。


「レーラ、エル、そろそろ着くぞ。」


エルは私の愛称で案外気に入っている。

だってアルファベットでエルって知的でカッコよくない?あ、ない。失礼しました。


というかあれが目的地?


「あの建物、なんだか凄く大きくない?」


例えるならそう、まるで王城の様な…


「あれがアルベン王国の王都セトラルで、真ん中にある建物が王城だよ。」


「今からあの王城に行くのよ、エル。」


まじかー王城かー。


「……ゑっ!」


初めての遠出は王城でした。

胃が痛くなる。こういう時は大抵ロクでもない事ばっかり起こる。


「あの父さん…」


「ん?安心しろ。エルも連れてってやるからな。」


ちっとも安心出来ないお言葉頂きました。


「なにせ姫様の初披露だ。行かないわけにはならんだろう?それにもう王都に着いたから降りる準備をしなさい。」


結局、私は生返事した後父と母について行った。



※※※



王都というだけあって凄く繁盛していた。

アイシャは連れてこないで正解だったな。

これだけの人がいたら迷子になってしまうだろう。


「迷子にならない様にしっかり手を握っているのよ。」


5歳のアイシャじゃあるまいし迷子になるわけ……



※※※



「迷った。」


言われて1分も経たないうちにこんな事になるとは。

さすが王都、舐めていたら痛い仕打ちにあった。


「……とりあえず王城に行くか。」


いや待て、このまま王都にいればパーティとやらに参加しなくてもいいのでは?

しかしお金を持ってないし、暇潰しに何をどこでしようか決まらない。


そう考えながら歩いていると、どうやら路地裏に来てしまった様だ。

この辺りだけ汚れていた。俗に言うスラム街だろうか。


「ちょっと待ちなそこのガキィ。」


なんだか雑音までするらしい。


「待てって言ってんだろこのガキが!」


……どうやら誤魔化せないらしい。


「何でしょう「すみません!」か…?」


あれ自分じゃないの?

声のかかった方を見るとそこには柄の悪い大人の男性と幼そうな女の子がいた。

絶対ロクでもないことじゃん。


あまり厄介な事には絡まれたくないが、暇潰しにちょうど良かったし、大人の男性がクソ上司に似ていたからヤブをつついてみる事にした。


「何があったんですか?」


「ああん?ッチ、貴族様か。何の御用でやがりますか。」


敬語と暴言が混ざるとこう、煽られた感じみたいでなんだかイラつく。


「いや、大声で叫んでいたので何があったのかなぁと。」


「このガキがうちのケーキを盗んだのでとっちめてやろうとしてたんすよ。」


「ケーキですか。」


「うちの店ケーキ屋で、お客さんにケーキを渡す途中に盗まれちまってここまで追いかけて来ただけだから、あんたにゃ関係ない話だ。」


このおっさん実はいい人かも知れない。

でも暴力沙汰を見過ごせるほど、自分は腐ってるとは思いたくない。


「おじさん、私にも関係のある話ですよ。」


「どう関係のある話だってんですか。」


「実は彼女は私のメイドでして、彼女の失態は私の失態と同義ですから。」


「そうかい、でも「分かってます、お金を払えば良いんですね。」」


そういうとおっさんは黙った。


だけど、どうしよう。お金持ってないんだった。

ま、今の手持ちでどうにかすれば良いだけか。

ぶっちゃけた所、賭けだが。


「このハンカチはまだ未使用で価値があると思うんだが、どうでしょう?」


「ハンカチって、なめてんのか!……ってこれ何処のだ!?」


掴みは良かったが、父から貰ったのでどこのだか分かんない。


「え〜っと、それはオーダー品ってことしか…」


「こんなん貰っていいのか!?」


もちろん適当な嘘だったが上機嫌なので良しとしよう。


「これでもういいですか。」


「ああ。しかし貴族様、そんな歳なのにしっかりしてんですね。」


「親の育て方が良かっただけですよ。」


「そうかい、でも今度から無闇に人を救うのはやめにするこったですな。じゃ。」


やべ、ばれてーら。

…まあなんとかなるもんだな。帰るか。


「あの、」


あれ、そういえばもう一人いたんだよな。


「ありがとうございます。」


「気にしないで良いよ。今度からは盗みなんて働かない様にね。」


女の子にそう言って戻る事に「あの!」


「…なんだい。」


「私のこと、メイドにしてくれるって言いましたよね!」


そう言って女の子は黒い瞳を輝かせる。


でもあれは…


「あれは君を助ける口実というかなんというか、とりあえず気にしなくていいよ。」


そういうと女の子はあからさまにしゅんとした。


…罪悪感が凄い。悪い事してないのに。


「そんなに嫌ですか……?」


今にも泣きそうな顔をして言われた。

…そういうのずるいと思うんだよね。

………はあ。胃がキリキリと痛む。胃薬が有ればなあ。


「…うちで働きたいならついて来て。」


「…っ……はいっ!」


やっぱり男の弱い所につけ込むのはずるい。

誤字脱字等気になったら教えて頂けると幸いです

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