26 断頭台の猫
ご来訪ありがとうございます。
今回は猫氏の回です。
「よ、親父。ちょいと頼まれてくんねえ?」
日付が変わる直前の闇に包まれた街。細い路地近くを通りかかれば、さらに深い闇の中から、懐っこそうな抑えた声が横合いからかけられた。
グレンはそちらのほうには目をくれず、ほの明るい陽輝石の街灯を眺めながらさりげなく暗がりへ移動し、手頃な手すりによりかかった。
天にはうっすら銀の弓が描かれ、周りには砕いた硝子の粒がちらちらと散りばめられている。
(腹の足しにもならんな)
闇からにゅ、と伸びた指から紙片を奪い、手の平ほどもないそれにざっと目を通した。具体的な単語を避け、簡潔な指示のみにとどめたものだ。
しかしこれで、わかる者には伝わる。
「久方ぶりに会ったと思やぁ、クソ面倒そうな仕事ぶっかけてきやがって」
「悪い悪い。頼むぜ♪」
遠回しな「了」に、左右色違いの瞳をにんまりと細め、お気楽そうに手をひらひらさせている黒猫が脳裏に浮かぶ。確かめる前に、それは音もなく闇から消えた。
(手練れでもこいつの気配にゃ、そうそう気付けねえだろうな。ったく成長しやがって。いつもながら見事なもんだ)
グレンは紙片を口内へぽいと放り込んだ。――紙ではなく、パンの薄皮に焼き文字で書かれていたのだ。
再会の挨拶もなく早々に用事を押しつけてきた息子に、内心では苦笑したり呆れたりだが、グレンの顔や態度には出ていなかった。相手の腹を読むたぐいのカードゲームをやると、彼は案外強い。
(――お姫さんの監視、ねえ。「密かに見守れ、ただし手出し無用」ってこたぁよ……旦那も若さんもいよいよ我慢の限界ってやつか? ま、しゃーねえわな。欲しくもねえ不良物件押しつけられて、堂々と「さあ感謝するがよい!」なんてツラされたら誰だってムカつくだろうよ)
そもそもアレが不良物件と気付いていないかもしれないが、どちらにせよその程度の情と頭しかないのだろう。
そんな残念な人物、すなわち現在の国王は、さまざまな取り決めや慣例などに含まれた重要な意味を、教えられても憶えていないか、注意されても素知らぬフリなのか、とにかく優先順位の最上位に自分の感情を置きたがる。どちらの姫が欲しいか希望を言わせておきながら、違うほうをねじり込んでくるなど、悪ガキの嫌がらせか。
そこまで幼稚な嫌がらせをしてくるとは読めなかった伯のミスというには酷だし、撤回させられなかった臣下のせいにするのも酷だ。あの王は諫言してくる臣下が嫌いだ。お気に入りのみを侍らせ、その連中の望むがままに権限を与えようとする。
それを阻止して要職に在り続ける有能な臣下が少なくないおかげで、かろうじてまともな治世が保たれているのだ。この何代かは、そういう時代が続いていた。
(――ったく、あいつのせいですっかり事情通になっちまったぜ。本気で巻き込まれそうになりゃあ、この国を出るしかねえか。ま、旦那もそうならないよう注意を払ってくれてはいるんだろうけどよ)
できれば、そんな日が来なければいい。そう願っておこう。
ここはとても居心地がいいのだから。
◇
グレン親子のような妖猫族以外にも、猫型の生物は多数存在する。人と共存できるのは【フェレス】という魔獣で、こちらは喋らないし四本足で移動する、見た目通りの獣だ。富裕層の庭で警備要員として飼育されていたり、純粋に愛玩用として飼われていたりもする。
【角兎】や【小鬼】といった、字面でだいたい想像のつく魔物と異なり、古代文字で固有の名称を持つ魔物は相当に歴史の古い種で、中にはとてつもなく危険なものもいた。
妖猫族もまた古い種のはずだが、広くその名が知れ渡ったのは近代に入ってからだった。
グレンとリドルは光王国の生まれではない。
生まれた国では迫害の対象だった。
まともな仕事にはつけず、だいたいが罪を犯す。そして余計に忌み嫌われる。
妖猫族は身軽で柔軟、逃げ足が速く、まさかこんなという狭い所にもすんなり潜りこめる。そして基本的に享楽的で、狩りが好きだった。
いつ頃の時代かは不明だが、王族に目をつけられた。
――王家の処刑人。
その称号を受け入れて、ようやく誰からも追い立てられない土地を得た。
今でもあの国の妖猫族は、泣き叫ぶ罪人を横目に、断頭台で微睡む猫として描かれる。
冗談にしても笑いの取れない過去を誰かれ構わず喋ったりはしないが、辺境伯あたりは確実に調べているだろう。息子のライナスは微妙だが、あえて確認する必要もあるまい。
ある日新たな王が就いて、穢れた古き時代の象徴を滅ぼせと命令を発した。
妖猫族の隠れ里に大勢の兵士が送り込まれ、新王の正義を知らしめよと火を放った。
それなりに居心地の良かった里で、そこそこ仲のいい親友がいた。けれど彼らはこましゃくれた黒い子猫を置いて、夫婦ともに逝ってしまった。グレンはミーミー泣くガキの首根っこをつかんで逃亡し、流れ着いたのが光王国。さらに居心地のいい場所を探し、最終的にデマルシェリエへ落ち着いた。
成り行きでいつの間にやら養子になっていた子猫は、いつの間にやらガンガン逞しくなり、もうどこで何をしているのやらグレンでさえサッパリだ。とりあえず亡き親と一緒の仕事だけはやめとけ、と躾けてある。
うっかり怖い所の子飼いになってしまったと頭を抱えていたが、里を焼き払った連中とは違い、こき使われつつも大事にされているようなので問題ないだろう。ちなみに辺境伯ではない。深く訊かないのが危険回避のコツだ。
討伐者の世界は水が合っていた。まあまあ楽しくやっているうちに、グレンはとんとん拍子で成功した。
高位になるほど依頼を選べるので、なかなか気楽でいい。
たまに断りにくい依頼が来るのは玉に瑕だが、辺境伯親子は気に入っているので、どうしても無理なもの以外は引き受けるにやぶさかではない。
特に今回の件は、そのへんの傭兵や討伐者は雇えないだろうし、辺境騎士団でも実行できる者が限られる内容だ。グレンも自分向きの仕事だと感じていた。
(そうこう言ってるうちに……)
夢見がちが過ぎて、現実を見られない困った第一王女アレーナ――ではなく、その侍女の一人が怪しげな行動を取り始めた。
王女の侍女は例外なく貴族の女だ。王女から何かを命じられた場合、さらに下の者へ指示を出すのが一般的であり、主から離れて自ら出向くことはそうそうない。
ところがその侍女は、アレーナ王女が〝愛しいライナス様〟の治める町の賑わいを知りたがると、自分がこの目で確認して殿下にお伝えしましょうなどと、いかにも忠義に満ちた顔で胸を張った。
案の定、何やらコソコソ手紙を書いたり、怪しげな男どもに会って何かをボソボソ話したり。
(ていうかよ、あんたらマジで誰も指摘しねえのな。ここを治めてんのは若さんじゃなく、親父のほうだっての)
素敵な恋のおとぎ話を愛する姫君は、肯定しかしない女だけを侍らせている。
その中に蟲が一匹混ざっていた。さて、何が起こるか。
(あれぇ? 親父、なんだかんだでこっちの仕事向いてんじゃね?)
(ぬかせ、クソガキ。さっさとあっち行きやがれ!)
(へぇーい)
とある場所で本業の黒猫と鉢合わせ、目で会話したなんて出来事は無かった。
◇
――〝魔法使い〟と思しき人物がこの町に来た。真偽は不明。
その情報は即座にグレンのもとへも届けられた。
普段なら「へ~」で済ませるところだが、ちょうど蟲がカサコソし始めた時期だ。まったくの無関係かもしれないが、そうではないかもしれない。
もし見かけたら気にしておこう、と思っていた矢先。
(おいおい……あいつじゃねえか?)
蟲の接触していた男の特徴が記憶に引っかかり、討伐者ギルドで犯罪者リストのチェックを依頼した直後だった。
奔放にはねた黒髪。このあたりの人族では滅多に見かけない、少し黄色がかった肌の、異国風の少年。
肩に小さな鳥がいる。鮮やかな青い尾羽。伝書鳥には見えない。
あの体格だと、人族の坊やなら十二~三歳ぐらいだろうか。
想像よりも、遥かに若い。
(小柄な人種なのかもしんねえし、断定すんのは早いか)
珍しい拵えの剣。やや湾曲しており、両刃ではなく片刃かもしれない。
素人や低ランクの連中はこけおどしの武器に走りがちだが、それらとは比較にならないほどシンプルで、美しい剣だ。
色合いは目立つものでもない。むしろ、このへんに大量に生息している筋骨隆々の中では、おまえ武器なんて持ってたのかというぐらいまったく目立たないだろう。
だがその紋様は、かつて見たこともない、不思議と印象的な紋様だった。均一にして複雑な無数の線の重なりは、いったい何を模しているのだろう。縁を彩る鈍い金色も、あえて輝きを抑えているからこその渋い魅力がある。
(業物だ。かなりの。あれはお飾りじゃねえ、実戦のための剣を収める鞘だ)
気負いのない、ピンと芯の通った背中。
柄ではなく、鍔の部分に手を添えている。もう一方の手でいつでも抜けるように。
剣は縦に吊るすのではなく、身体に対して十字になるよう剣帯で装着されている。重さと長さのある武器はそうすると安定するからだ。だが建物内では引っかかったり、前後を歩く者の邪魔になるからだろう、わざと斜めの角度にずらして持っている。
たまに剣を持ち直す時の肩から肘、手首にかけての力の入り方、布越しに盛り上がる肉の形。背中から腰にかけての動き。ほんのかすかに床を踏みしめる靴。
長袖に黒手袋をはめ、首から上以外に露出している部分はないが、強い骨格としなやかな筋肉がすんなり脳裏に描ける立ち姿だった。
自衛、もしくはつまらない自尊心のために、ハッタリ用の武器を持つ輩はちょくちょく間違えるのだ。
自分の体格や肉体の限界、戦闘時の距離感覚、そういった諸々が把握できておらず、何より剣を甘く見ている。武器の中で一番扱いやすそうと思い込み、振り回して斬ればどうにでもなると勘違いをしている。
そういう連中は、玄人目では哀れなほどにわかってしまうのだ――「あれは軽い」「重みがない」「あの鞘の中身は空だ」「逆に重過ぎて無理がある」「あれだと重心が安定しなくてろくに動けやしないだろう」等々。
身の丈に合わない武器を入手し、防具なしで背負って、いざ抜こうとした瞬間に無防備な腹を掻っ捌かれるといった間抜けも、いないようで一定数いる。
(防具は胸当てのみ、か? 鎖帷子は着てんのかな。俺と同じ速度重視型っぽいが)
ふと、グレンは首を傾げた。
どう見ても剣士なのだ。
おとぎ話で語られる〝魔法使い〟とは、イメージが違わないか。
魔術を戦闘に活かす討伐者、術式を込めた武器を振るう騎士団員――どちらもメインは〝戦士〟であって、〝魔法の使い手〟のイメージではない。
報せにあったのと、この坊やは別人なのだろうか。
(いや、でも――なんか――こいつだ、って気がすんだよな……)
澄んだ水と、肥沃な土、濃密な草と、花と、樹々の匂い。
町の中に、突然森が現われたような。
その少年は、何故かずっと【角兎】の討伐依頼を見つめている。
低ランク用のありふれた依頼だが、何か注目する点でもあったろうか。
(どうする? これの調査依頼をされたわけじゃねえ。でも繋がりを作っとこうと思ったら、今がチャンスなんだよな……)
少し迷い、グレンは声をかけた。
ここで多少なりとも挨拶をしておけば、もし次の機会があった場合に楽だと判断したのだ。
「さっきから【角兎】の依頼ばっか見てるな。それが気になんのか?」
急に話しかけられたせいか、わずかに肩がぴくりと揺れた。
感情の読み取れない黒曜石に静かに見返され、グレンは確信を強めた。
(……やっぱり、報せにあったのはこいつで間違いねえ)
いきなり知らない猫に声をかけられ、若干の緊張が見て取れるが、とりたてて動揺も緊張もしていないように見える。泰然とした雰囲気は幼さとは無縁だ。
華美さはなく、けれど上等な仕立ての服。頭も良さそうだ。それだけなら裕福な家のお坊ちゃんだが、実戦向けの装備と場慣れ感が打ち消している。
さりとて討伐者にも見えない。
まるで背景がわからない。読めない。だが妙に、嫌いではない。グレンは小さな驚きとともにそれを認めた。
こいつの纏う、心地良い森の匂いのせいだろうか。
それからもうひとつ、いい意味で確信があった。
この坊やは、あの姫君の件とは無関係だ。
薄汚い悪党に加担するタイプではない。
◇
お姫様がやらかした。
例の蟲の羽音にそそのかされて、ぽやぽや~っとお忍び見物を決行した。
忙しいライナス様に滅多に会えないお姫様は――その割に相手の迷惑も顧みず頻繁に突撃していたが――日々寂しさを募らせ、忠実な蟲が大切な姫君のお気を紛らわしてさしあげるべく素敵な計画を思いついた。
(『まあ素敵ね♪』じゃねえよ、お姫さんよ! あんたぁマジ何歳だ!?)
その手段がまた酷い。蟲がどこぞのゴロツキから入手した睡眠香を使い、他の侍女や護衛騎士全員を眠らせて城を抜け出したのである。
毒ならまだしも、睡眠香の所持自体は罪にならないので、城内に持ち込みやすかったのだ。
ただしあの姫君はそこまで考えていない。ついでに、そんな怪しげな薬を言われるがままホイホイ使って、もし致死性の毒薬だったらどうするんだ、なんて発想もないだろう。
自分のせいで一人残らず永遠に目覚めない事態になっても、「わたくし知らなかったんだもの……!」とか涙ながらに訴えそうだ。知らないで済むか。
効き目の強い粗悪品は大抵、身体に悪い混ざりものが入っていたり、そんな知識ももちろんない。
グレンは護衛騎士に心から同情した。主犯と実行犯が王女と侍女なのだ、こんなことで厳しい処分はやめてあげてくれ。
そして二人はドーミア城の隠し通路を使い、城の外に出た。
有事の際の脱出路として設けられた通路である。
絶対に、断じて他者へ漏らしてはならない。そう重々言い聞かされたはずだ。
ライナスの婚約者である以前に、王の娘であるからこそ、王女アレーナにだけ、その通路の存在が教えられたはず。
独断で侍女に教えていいものでは、決してない。
(ほほーん……これか。とうとうやっちまったなぁ……)
きゃっきゃうふふと楽しそうに、賑わう街並みを見物する二人。
国防を担う辺境伯の城で、自分が何をやらかしたのかまるで理解できていないお姫様は、実に呑気なものだ。
裏路地の前を通りかかった瞬間、図ったように引きずり込まれた――二人とも。
鮮やかな手並みで引きずり込んだ男どもは、変装で正体を偽っているが、全員が賞金首だ。
姫君だけでなく、忠実な侍女(蟲)までが一瞬「えっ、なんで!?」という顔をした。あれは本気で驚いていた。
やっぱりな、とグレンは思った。あの女はあの女で、自分が接触していた男どものヤバさを、いまいち理解できていない。
護衛もおらず、腕に覚えも無さそうなのに、無謀にも一人でゴロツキに会っていた世間知らずのご令嬢。この手合いは大物を釣りあげた後、まだ使えそうな釣り餌をも貪欲に回収していくことがあると知らなかった。
何故そんな〝普通の貴族令嬢〟が、あんな本物の悪党どもと繋ぎを取れたのかは、のちの調査担当者に任せるとしよう。
しかしこうなると、〝手出し無用〟はどこまでが有効か、それが問題だ。
高度な防御結界の魔道具を懐に隠し持っている奴もいる。少々手こずりそうだが、何とかならなくもない。
(ギリギリまで様子見ろっつっても、あのクズどもを放置する気はねえだろうし、町を出る前に……って手筈は進んでるはずだ。とはいえ万一ってこともある。そんときゃあ……)
グレンは鋭い爪をサラリと擦り合わせた。
彼にこの手の依頼を持ってくるということは、つまりそういうことだ。
◇
(おいおいおいおぉーい!?)
若草色の目をまんまるに見開いて、グレンは信じられない光景を凝視していた。
グレン以外にも、同じ任務を与えられた手練れが何名か、どこかで同じように愕然としているに違いない……そんなことすら、もうすべて、どうでもよくなる光景だった。
あの黒髪の少年が、グレンの目の前で建物をひょいひょいと登り、体重を感じさせない動きで屋上から屋根へと飛び移っている。
足が速い。しなやかで身軽で、急角度の屋根も危なげなくクリアし、次の屋上へと着地。そして即座に次の行動へ移る。
(妖猫族みてえな動きだ)
あの少年は確実に、グレン達と同じものを追っていた。
即座に後を追ったが、見つからないように尾けるのはグレンでさえ骨が折れた。
人族に見えたが、混血かもしれない。これが純粋な人族の運動能力なものか。
……気のせいか?
あの青い小鳥と、目が合ったような。
いや、まさか。気のせいだ。
ようやく、少年がぴたりと立ち止まった。見下ろす路地の数名が、何やらトラブルで止まっている。
好機と取ったか、少年がおもむろに剣を抜き放った。
(う……おぉぉっ!?)
やや湾曲した片刃。
その柄の紋様、暗いえんじ色だった部分が、鮮やかに発光しているではないか。
それだけではない。ゆるく反った刀身に、ゆらめく黄金の紋様が浮かびあがっている。
柄や鞘に施されていた鈍い金色の装飾模様に、その輝きが反射して――
(っっやっっっべぇぇ!? なんだありゃ!? なんだありゃ!?)
まんまるの目が負けずにキラキラ輝いた。
そして少年がいきなり垂直に壁を駆け降りていったかと思えば――
(うおーっ!? なんだあいつ!?)
例えるなら風の舞い、一瞬で過ぎ去る閃光。
まったく反応が間に合っていない敵の身体を、まるで骨が存在しないかのように刃がスパスパ通り抜けていた。
(あっ!? あの野郎、防御結界ごとぶった斬られてやがる!? すっっっげーッ!!)
猫の目、さらにキラッキラ。
尾がぶわりと膨らみ、うずうず、むずむず。
大興奮である。
お騒がせ姫君の救出(?)が完了した後、グレンは辺境伯に開口一番、「すげぇなんか面白ぇモン見つけちまった!!」と報告するのだった。
他からの報告を受け、「あれは危険人物か?」と構えかけていた辺境伯が、脱力と困惑と苦笑を同時に覚えたのは言うまでもない。
これで「あ、そんな危ない人物でもなさそう?」と思ってしまった辺境伯。




