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空から来た魔女の物語 -site B-  作者: 咲雲
たびびとレベル1、町へゆく
23/70

22 回避し損ねた災難

ご来訪、評価、ブックマークありがとうございます。

毎年この時期は忙しく、クリスマスって何だっけ状態のまま過ぎ去ります。


 順番に思い出してみよう。

 まずは、討伐者ギルドの宿に泊まった翌日まで遡る。


 この世界の人々の朝は早い。太陽が沈むと同時に一日が終わり、再び昇ると同時に新たな一日が始まる。

 いつまでも布団と友好を深めていたかったが、小鳥氏の時計で午前五時ぐらいにはもう賑やかな声が通りから聞こえ、自分がどこにいるのかを思い出してしまった。そこからは神経が冴えて、二度寝を決め込むどころではなくなり、朝食を食いっぱぐれるのも嫌だったので、渋々ベッドから足を下ろした。


 宿泊料は素泊まり料金だったので、ギルドの食事処はもちろん別料金。外で食べるも携帯食を頬張るも自由。昨夜は屋台で済ませたから、今朝はここの食事を楽しみたい気分だった。

 見かける客は早々に活動を始めた討伐者やギルド員。彼らはもし別の宿をとっていたとしても、ここの食事処を利用して構わない。

 もふりと揺れる耳や尾につい目が吸い寄せられてしまうのは許して欲しい。凝視しないように気を付けたからきっとバレてはいない、いないはずだ。

 虎柄のお姉様の隣に座っている兎耳のお兄さんは、もしや非常しょ……いや、うん、まさか。決めつけはよくないだろう。この世界には肉食兎がいるぐらいなのだから、彼らはきっと対等なのだ。


 ところでどんなメニューがあるかと思えば、なんとメニューは一種類のみ。料理名などが書かれたメニュー表自体、平民向けの食事処には存在しなかった。

 なるほど、読み書きできない人が大多数って、こういう所でも影響するんだなー……改めてカルチャーショックである。

 この食事処では可愛い看板娘なお嬢さんが席までやって来て、「今朝はホッコリ芋のスープとパンです♪」と説明してくれるシステムになっていた。お嬢ちゃんキミがほっこりだよとか幼女のナンパはさておき、問題なければオーケーと伝え、どうしても苦手な食材であれば抜いてもらうなり、すぐに使える代わりの食材があれば変更してもらうなり、相談が可能。ほかにも追加で腸詰肉や、スープではなく焼いた芋に乾燥ハーブをかけたものなど注文できるとのことだった。

 ちなみにこの国では酒がよく飲まれるけれど、酒精の強い銘柄が出される時間帯は夕方以降と決められている。大抵の職業は明るい時間帯に集中しており、仕事前に泥酔するなど言語道断というわけだ。そんなわけで、この店は仕事終わりの連中が集まる頃に食事処・兼・酒場へ変貌し、それに合わせて食べ物のメニューもかなり増えるらしい。


 追加メニューにも心惹かれたけれど、とりあえずメインだけを頼んだ。昨夜の食べ歩きでよくわかったのだが、この国の連中、胃袋の容量が桁違いなのである。

 私も昔よりエネルギー消費量が増えた分、食べる量がかなり増えているはずなのに、それでもこちらの基準では少ないのだった。

 職種や体格、種族による個体差もあるので一概には言い切れないけれど、討伐者として一定の収入を得ている女性達の中に入れば、間違いなく小食の部類に分けられるだろう。


「ねえねえ、きれーなおにいさん」

「ん? 何かな、お嬢さん」


 可愛い子にちょっと頬を赤らめつつ「きれーなお兄さん」と呼ばれてしまった。どうしてくれよう。

 いやもちろん、どうもしないとも? ()()()()無害ですから。


「そのあおい小鳥さん、ちっちゃいね~。なに食べるの?」

「ああ、こいつはね……お腹いっぱいだから、今日はもう食べないんだよ」

「え~?」


 ちょっとヒヤリとしたが、丁度いいタイミングでドヤドヤと客が増えた。くるくる働く看板娘なお嬢さんは、もうさっきの質問を忘れたらしく、けれど頼まれた料理を運ぶことは忘れなかった。

 多分十歳にはならないぐらいなのに、もうプロである。聞こえてくる客の会話からすると、父親が厨房で働いているようだ。心なしか、厳ついおじさま方の眼差しが優しい……うんうん、和むよねえ……。


「えぇ~、お姫様みれないのお?」

「お付きの騎士様がガッチリ周りを固めてるっつー話だからなあ」

「場所によっちゃあ見えなくもないだろうが、どこをお通りになるかは直前まで極秘だからな」

「みたい~、みたい~! お姫様みたいよう! すっごくキラキラしててキレイなんだよね?」

「ハッハ! そうらしいなあ。確か若君とデートなさるのは、明後日ぐらいつってたか?」

「三日後じゃなかったか? つうか、噂じゃ若様って……」

「シッ……そいつぁ……」

「おっと……スマン」


 ホッコリ芋は味も食感もジャガイモそっくりで、もっとホロホロ崩れやすい芋だった。そしてでかい。

 一個だけで器をドドーンと占領している。ドーミアでは定番の、家庭料理によく使われる巨大芋だ。

 最初から鍋で煮込むとすぐに煮崩れてなくなるので、焼いた後でスープに沈めている。ほんのり塩気のあるスープと一緒に、木製のスプーンですくって食べる。

 豪快な見た目以上に美味しい。夕食の料理に使う肉を朝のうちに茹でており、肉の旨味がたっぷりとけ込んだ茹で汁をそのまま使っているとかで、そりゃあ美味しいわと思った。

 思ったんだが、いかんせん、やっぱり量が多いです……追加注文しなくてよかった。

 近くのテーブルに運ばれていくソーセージの巨大なことよ。あれ一本でホットドッグ二人前できるんじゃないか?


「しまった。パンが入らん」


 腹持ちのいい芋がゴロリと入ったスープだけで、すっかり満腹になってしまった。しかもこのパン、固くて食べにくいと噂の黒パンである。

 普通はスープに浸して食べるもの、のはずだが――私より後に入ってきた連中は、強靭な顎と歯でガツガツペロリと喰っていた。これだけの量でも、牛馬並みの胃袋を誇る奴らにとっては〝ひと仕事前の軽食〟なのだ。

 ……私にあれは無理。なので薬を包んでいた布を鞄から取り出し、くるんで底に仕舞い込んだ。これは〈スフィア〉に帰ってから食べるとしよう。初日で荷物が軽くなっていてよかった。


 カウンターに向かえば、再びお嬢さんが「はーい♪」トテテテテ……この娘さん、お父さんの職場が討伐者ギルドの厨房じゃなかったら絶対に危なかった。ほかの店なら多分誘拐されている。

 銅貨3枚を支払い、そのまま食事処を出た。店内から「誰だあいつ?」「さあ……」的な視線をチラホラ感じていたけれど、かといって必要以上に注目されることもなく、とうとう私に声をかけて来る者はなかった。


 多種多様の人種、種族が集まる今この時期、異国風の少年がひとり紛れ込んでいたって珍しくもない。

 それに、討伐者には暗黙のマナーがある――相手の過去や事情を詮索しないこと。

 どうしようもなくなった者が最後に流れ着くとも言われている辺境の地において、相手の素性を根掘り葉掘り訊いていいのは騎士団だけである。

 領地によっては、余所者は頭から犯罪者扱いをされ、住民全員から監視されまくる所もあるというのだから、この地を着地点に選んだARK(アーク)氏には拍手喝采だった。 


 その後は市場をめぐり、露店をひやかした。

 もともとの予定では商人ギルドに立ち寄り、持ち込んだ薬草や調合した薬を見てもらうはずだったけれど、ゼルシカ様のおかげでその必要もなくなった。

 快適宿を提供してくれたお礼を伝えたいのは山々だったが、あの私ホイホイの店に一歩でも入ったが最後、軽く数時間は囚われて出られなくなるのが目に見えていたので、ご挨拶は最後に回した。

 ほかに少々気になったのが神殿である。この世界の神様方へ、お世話になっているお礼参り、いや間違った、引っ越しの御挨拶に伺うべきなのだろうか?

 なんたって、未だ実感は薄いけれど、ここは神様が実在しているらしい世界なのだから。

 しかし念話で相談した小鳥氏の結論はNOだった。


≪その必要はないと思われます≫

≪えー? 何で?≫

≪我々がこの地に降り立ち、もう何年も経っております。今さらでしょう≫

≪いやまあうん、そうなんだけど。気分的に落ち着かないっつーか……≫


 とりあえず神様仏様は拝んでおけと染みついた国民性。

 放置したら何となく据わりが悪いこの感覚、人工知能様にどうご説明差し上げればいいのやら。


≪一度も祈らない浮浪者にも、それだけを理由に天罰が下った例は伝わっておりません。ゼルシカ殿の忠告に従い、今は神殿となるべく距離を開けておくことを推奨いたします。治癒院も緊急時でなければ近付かないほうがよろしいでしょう≫

≪――きな臭い話でも出てきた?≫

≪現時点では、まだ。ですがこれに関しては、この町で顔のきく人物の勘と情報網を信用すべきと考えました≫


 ふむふむ、確かに。出来過ぎた流れにあの女将の思惑っぽいものを感じなくもなかったけれど、悪意で私を何かに利用しようという感じもなかった。


≪ゼルシカ殿ですが、マスターへ不信感などは抱いておりません。変わった人物に対する興味、そして念のために動向を把握しやすいよう保険をかけておきたい、そんなところでしょうね。何事もなく過ごして町を出れば、別段何ということもないかと≫

≪ほうほう≫


 ARK(アーク)氏は微妙な表情の変化、視線の揺れ、瞬きの回数、声の抑揚、脈拍、呼吸その他でおおまかな心理分析ができる。――乗員の精神状態を常に把握しておく必要があったからだが、つぶらな瞳の小鳥バージョンでも問題なくできるようだ。

 神殿や治癒院の建物も一度ぐらい拝見してみたかったのだが、まあ、いつかの楽しみにとっておこう。とりあえず神様、しばらくお世話になります、他人(ひと)様にご迷惑はおかけしませんのでどうか気に入らないことがあれば天罰を下す前にひと声おかけください、改善に努めますので。

 心の中で山頂の神殿へ祈りもどきを捧げ、その後はひゃっほうと町を見物しまくった。町まるごと遺跡か世界遺産かといった風情なので、とにかくただ歩くだけでも楽しいのだ。


 もちろん食料品店のチェックも欠かさない。肉体強化されているとはいえ気になる雑菌各種だが、これも無敵のARK(アーク)氏が良・並・問題外と完璧に見極めてくれた。

 ゲームでお馴染みの鑑定スキルは存在しない。けれどそれに近い目利き能力者がいたり、嗅覚の鋭い種族がいたりで、ほとんどの店が衛生面に気を遣っているのには驚かされた。

 なるほど、誤魔化しの通じない客が多いせいで、店の質も上げざるを得ないわけか――これも他種族や討伐者の多く集う辺境の強みだった。他領では肉切り包丁を汚水で洗ったり、腐りかけた食品を平気で売りつけたりと、粗悪な店しかない地域もあるというのだからゾッとする。

 いくつかの店に目をつけて、ようやく夕暮れの手前頃、女将ゼルシカの〈薬貨堂・青い小鹿〉の扉を潜った。

 日によって違うのか、昨日は閑古鳥が鳴いていたけれど、今日は上等な衣類の客が何人も訪れていた。考えてみれば〈ロレガノ爺さんの串焼き店〉も、どこかの旅芸人が見世物をやり始めたタイミングで大行列が消えたりしていたので、この店もそんな感じだったのかもしれない。


 営業妨害にならないよう小声でお礼を伝えた後、しばらく店内の商品をひとつひとつジックリ眺めた。

 この棚の端から端まで全部買います! って一度は言ってみたい……。あれもこれも欲しい……。

 さんざん迷いに迷った挙句、発火用の屑魔石がついた魔道具をひとつ、銀貨1枚で購入。これが精一杯だった……だって明日はお肉と卵とミルクが控えているんだ……。


「そうそう、あんたの薬、早速半分売れたよ」

「え、もうですか?」

「今度また気が向いたら持ってきておくれな。胃の腑に効くやつが人気出そうだよ」


 呵々と笑う女将、今日もまた素敵だった。

 そしてつい長居し過ぎて、結局その夜も屋台巡りで腹を満たすことになった。





 ――そう。一日目は何事もなかった。

 事件は二日目に起こったのである。


 ボリュームたっぷりのモーニングを何とか腹におさめ、受付のイェニー嬢へお礼を告げてチェックアウト。さりげなくあの猫氏にも会えないか期待したけれど、生憎彼は仕事中で不在だった。

 お礼の伝言だけお願いし、ギルドの建物を出れば、もう随分と空が明るい。

 さて、本日は一切寄り道せずに、市場へ寄って食料品を買い込み、速攻で帰るぞ!

 そして心持ち速足で市を目指していた私の目の前に、その光景が飛び込んできた。

 角を曲がった直後、出会い頭の事故である。


 どうしましょう。――見るからに厄介ごとが服を着て歩いております。


「まあ、これは何かしら? こんなものも売っているのね! ほら、ご覧なさいな、とっても面白くてよ!」

「さようでございますね。ですがひ……お嬢様、もう少しお声を抑えませんと……」


 お金持ちのご令嬢とその侍女がここにいますよ! と自己申告しているこの会話。

 どこぞの高貴なお嬢様が、侍女を巻き込んでお忍び見物を楽しむの図であった。

 ていうか、え、ちょっと待って。

 え、もしかしてこれで忍んでるつもりなのこいつら?

 え、正気で?


「あら、そうね。いけないわ、面白いものがたくさんあって、ついはしゃいでしまうわね」

「よろしゅうございました。あちらにも珍しいお品がありますわよ」

「まあ、本当に! あんなトゲトゲなのに食べ物だなんて可笑しいわ。あれは何というものなの?」

「庶民の好むものですので、お嬢様のお口に入るようなものではございませんが、確か……」


 え、これ本当にどうしよう?

 あのー、お二人さん? 声をひそめりゃいいってもんじゃありませんよ? 目の前の店主の耳がダンボになってますよ? 通りすがりのダンボじゃない僕の耳にも入っちゃってますよ?

 つうか深く被ったフードで顔を隠すより何よりもまず、その服を隠せ!! ローブの下から豪華なドレスがばっちり見えてるぞ!! 多分おまえの顔よりドレスのほうが目立つぞ!?


≪緊急事態発生、緊急事態発生。ARK(アーク)よ、あの侍女、戦闘訓練受けてるようには到底見えないんだが気のせいかな!?≫

≪気のせいではありません。――護衛もおりませんね≫

≪マジかっ!!≫


 ARK(アーク)氏がいないと断言するからには、周辺の住民に紛れて密かに護衛、というパターンもない。

 いくらお忍びであろうと、最低限の護衛(そなえ)は必要だろうに、無用心のひとことで済むか。


 どうすんだこれ!?


 ――って、関係ないな。


 うん、私、無関係だったわ。しらないひとだもん。

 無視無視。

 さて、とっとと自分の用事を片付けよう。

 他人の顔をして脇を通り過ぎた。だって他人なのだから。


 目星をつけておいた店で無事肉を購入できた。危うく売り切れ寸前だった卵も確保できてホクホクである。巨大な卵は丼にしてくださいと言わんばかりのサイズだ。

 ミルクを売っている店では試飲をさせてくれた。濃厚で美味しかったのでこれはリピート確定である。今は気温が低いけれど、そのうちもっと温かくなるだろうし、保存方法について真面目に考えておこう。冷却用の魔道具は高級品であり、長期保存のきかない食品をたびたび購入して町の外へ持ち出していたら目立つかもしれない。


≪ふっふっふ、親子丼、カツ丼……あ、ちょうど黒パンあるからパン粉にできるんじゃ? スライスしてトマト乗せたりペースト塗るのもいいな♪≫

≪そうですね。ミルクももう少し量があれば、良質のバターやチーズが出来そうです≫

≪おまっ……それはいつか叶えるしかないじゃないか!? くそう、やはりこの町の人から見て不自然でない保存方法を早いとこ探さねば……っ! ああでも一度に運べる量には限りがぁあっ……≫


 悩ましい。なんて悩ましい問題なのか。

 とりあえず、悩むのに時間をかけるのは〈スフィア〉に戻ってからにしよう。まずは何を差し置いても、あったかフワトロ親子丼を食すのが先決だ。そのためだけにこの町へやって来たと言って過言ではないのだから。

 さあ、北門へ向かうべし!

 ――と思ったのに。


≪……おのれ。何の嫌がらせか……≫

≪つくづくタイミングが悪いですね≫

≪ホントにな……!!≫


 異国風の少年がふらりと紛れ込みやすいということは、ならず者が紛れ込みやすい環境も整っているわけである。

 平時より厳重な警備態勢なのだろうが、それでもすべてを防ぎ切れるものではない。

 馬並みの巨大な鳥が荷車を引き、さまざまな種族が大勢行き交う雑踏の向こうで、怪しげなローブを身に纏った二人連れの女性が、背後から男に口を塞がれ、引きずられて行くのを目撃してしまった。

 むろんあの、きゃっきゃウフフと浮きまくっていた二人組である。

 厄介ごとの臭いしかしないと思っていたら、まんまと犯罪に巻き込まれたようだ。


「うーわぁー、めんどくさ……。あれどう考えても自業自得だし、放っときたいなぁ……」


 ほかにも気付いた者はいたかもしれない。しかし面倒ごとを避け、見ぬふりを決め込む可能性が大だった。

 この私みたいに。


≪あー、くっそ、も~っ!≫

≪捨て置かれても問題ないのでは? 同情の余地はないように見受けられますが≫

≪うん。でもあの二人はともかく、誘拐犯グループは放置しときたくない。なんか手際が常習犯ぽかったし≫


 今後もこの町へ定期的にお邪魔する予定なのだ。我が身の安全はきっちり確保しておきたいし、何より、見捨てると後々とても寝覚めが悪そうだ。

 それにこの先、自業自得ではないどこかの娘さんが被害に遭うかもしれない。それがあの宿屋のお嬢さんだったりしたら、犯人が万死に値するのはもちろん、今日の自分の行動をとことん果てしなく後悔しそうだ。

 溜め息をつき、北門の方角へ向かいかけた足を、無理やり方向転換させた。

 そうだ、その前に。


「坊や達、これあげる。皆で食べなさい」

「えっ?」

「いいの!?」

「うん、ちょっと急用ができて、身軽にならないといけなくなってね……」


 通りすがりの育ち盛りっぽい少年少女に、せっかく買い集めた食料品をすべて提供した。

 だってどうせ、卵とか持ってても割れちゃうしな。


 ……畜生。




よっしゃ逃げ切った! と思ったらまた追いかけてくる災難。


瀬名の食べる量は貴人女性と比べればさすがに標準~やや多めになります。

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