第五話 楽しい楽しい歓迎会
「お二方、そろそろお夕食の時間ですので。」
「あ、はい。わかりました。」
「……お邪魔、でしたか?」
「「いえ、こいつとはそんなのではありませんので。」」
「ああ、そうでしたか。失礼しました。では、食堂へご案内いたしますので。」
「では、この度。この勇者様御一行に歓迎といたしまして。乾杯!」
「「「「かんぱい!」」」」
「では、改めて自己紹介しようと思う。
われの名はカーニッヒ=レックス=オルムだ。よろしく頼む。」
「そして娘のソフィア=レックス=オルムです。よろしくお願いいたします。」
おお、ここで二人の名前が登場。にしても、確か”カーニッヒ”も”レックス”も
王様っていう意味だった気がする。
俺のクラスの人数は40弱だから20分ぐらい続くだろうな。おれ、最後だし。
「島崎 麻衣です。職業は魔法使いです。」
なるほど、彼女は魔法使いか。ヒロイン1号の能力は多分回復系なんだろうな。
「た、田村 悠人、です。職業は……」
さぁ、ここでなんて言うのか主人公。
「ま、魔法使いです。」
なるほど、そう来たか。剣無双パターンではないと。
みんな、安心してくれ。俺は今彼の隣に座っていて彼の向こう側に島崎がいて
島崎が「やった。悠人と同じだ。ボソッ」っといったのを見逃さなかったぜ。
相変わらず、悠人の聴力にはびっくりだぜ。
おっと、そろそろ俺の番のようだ。
「矢田部 谷鴉です。職業は……」
ここで俺は嘘の職業を決めなければならない。今後活動していく中で一番怪しまれず、裏で行動するにはどれがいいのだろうか。
「……鍛冶師です。攻撃特化ではありませんが、全力で援護したいと思います。」
これがいい。鍛冶師ならある程度の信用が取りやすいし、そこまで表にでない。これなら安心して行動できる。
どうやら、この世界では15歳から大人という扱いらしい。だから酒が飲める。ん?おれ?飲んだけど何か?まぁ、そこまで美味しくなかったけど。
「ヤガラス様、ですよね。」
おっと、ヒロイン2号が自分から来た。
「はい。矢田部 谷鴉ですが、何か用でしょうか。」
「はい、実はですね。あの、ハ、ハルト様について教えてほしいんですけど。」
な!?まさか、自分からくるなんて。これは想定外だ。
「あぁ、まぁいいですけど自分から聞いてみてはいかがですか。例えば明日の朝、二人っきりで。場ぐらいは設けますよ。」
「本当ですか!ありがとうございます。」
「もし差し支えなければ理由をお聞きしてもよろしいでしょうか。」
「実は彼の眼を見たとき、彼の眼がすごくきれいに見えたのです。今までこんなにきれいな眼を見たのは初めてなので、お話できればなと思ったのです。」
そうりゃそうか、言い方は良くないかもしれないがこの時代の王族なんて、いつ狙われるかわからない。しかしここは現実世界だはない。俺がちゃんとハッピーエンドにしなければならない。
「では、悠人に庭に行くよう言っておきますね。」
「ありがとうございます!」
さぁ、次は悠人か。
「悠人、お前明日の朝、開いてるか。俺鍛冶師だから戦えないけど、魔法とか使ってみたいから一緒に練習しようぜ。庭とかで。」
「わかった、いいよ。僕もそうしようとしてたから、一緒に練習しよう。」
きっとこいつはもう魔力の操作ができるのだろう。それでも練習に付き合ってくれるなんて、俺はいい親友を持ったな。
こいつは今までたくさんのつらい思いをしてきたんだ。せめてここで幸せになってもらいたい。
絶対にこのミッションを成功させる。
《やぁ、みんな。アレクサンダーだ。久しぶりの登場だ。
今回彼が王様の名前について言っていたが、
カーニッヒ(ドイツ語) レックス(ラテン語)だ。
覚えておきな、いつ使うかわからんが。
え、出番終わり?早いなぁ。まぁ次回も見てくれよな。》