第四話 ミッション イズ ディフィカルト
『ではこの中からどれか2つ選んでください。』
……へ?
こいつ、直接脳内に!!!
っていうか今の何だったんだ。あれか音声システム的なやつか。わぉ。
んで、選べばいいのか。ん~っと、なになに?
火、水、土、風、光、闇、回復、空間。
なるほど、やっぱり全部は無理そうだな。とりあえず、今決めるのはやめよう。
今は姫さんと悠人を結ぶのが最優先事項だ。
ふむ、どうしたものか。
そうだ、図書室に行こう。そこで情報を集めようRPGの基本中の基本だからな。
でも、かってに行くのはダメだよな。メイドさん呼ぶか。多分この呼び鈴みたいのを推せばいいんだよな(チリンチリン)。
「お呼びでしょうか、ヤガラス様。」
「お、ティアラさんですか。すみません急に呼び出してしまい。」
「とんでもございません。ご用件は何でしょうか。」
「あ、はい。実はですね、図書室に行きたいのですがよろしいでしょうか。」
「構いませんが。もし差し支えなければ、理由をお聞きしてもよろしいでしょうか。」
「いえ、ただこの世界の情報が欲しいなと思っただけです。」
「わかりました。では私についてきてください。」
「あ、はい。」
「こちらでございます。」
「おぉぉ!」
これはすごい。本当に本が山のようにあるぞ。これで一気に情報収集だ。
「あら、矢田部。来てたんだ。」
「ん?あぁ、恵奈賀か」
そういえば、説明してなかったな。彼女は島崎 恵奈賀。俺がいた演劇部の一人だ。まじでそこらへんにいるような人だ。しかし、なぜか仲が良くたまにしゃべるが基本無口な性格だ。
「なんで、ここにいるの?」
「情報収集だよ。そっちこそ何でいるんだ?」
「同じ理由。」
「そうか。」
髪はショートボブで茶色の瞳がよく見える。
「なぁ、もしかして。お前が協力者?」
「じゃあ、もしかしてあなたが主人公補佐なの?」
「やっぱりか。……向こうで話すか。」
「とりあえず、矢田部の能力は?」
やべぇ、ここは教えた方がいいのか?まぁ、こいつ口固いから大丈夫か。
「俺の能力は、何でも屋だ。どんな事でもできる。」
「強くない!?」
「でも、限度があるんだ。どんなことでも”人並み”にできるんだ。」
「なるほどね、次は私の番だね。私の職業は”剣士”よ。」
(まぁ、本当は違うのだけれど。)
「マジか。かっけぇな。」
「まぁ、説明はいらないよね。この職業でどうにかして私たちが彼を主人公にしなきゃいけないのよね。」
「まぁ、その話は後にしよう。今は情報収集だ。」
「それもそうね。」
とりあえず、地獄の情報収集が終わった。マジでしんどかった。
この短時間でこの量の本を読み終えたのは、我ながらすごいと思う。
今回わかったのは、人の能力値の平均が100という事と魔法のレア度が
空間>回復>闇、光>火、水、風、土 ということだ。
そしてこの世界はどうやらミズガルドというらしい。まぁ元ネタはどうせ北欧神話のミッドガルドの事だろう。地球って意味だし。
「ねぇ、矢田部。」
「なんだ。」
「主人公になりたかった?」
「……それは、お前もだろう?」