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魔王の見る夢  作者: 木枯 雪
1章
18/41

閑話.鉛色、進めない直線

微妙な表現に濁しましたが、(人の生死など)危ないことを想像する内容になっています。

基本的に閑話は読まなくても大丈夫になるようにしていますので、前書きで「やめとこう」と思った方は飛ばしてください。

前書きが長くなりましたが、大丈夫な方はどうぞ。



赤い朱い紅い…。

どうしよう、止まらない。

死んじゃう、私の隣から消えてしまう。

いやだ、いかないで、死なないで。

お願い、私を、おいていかないで、お願い、ここにいて、おいて、いかないで。


――さん、と私の肩に誰かが触れた。

―――とは違う、切った木の肌を磨いた色、―――とは違う肌の色。

肉がついた、女の指、薄汚れた手から、油と錆のにおい。

これは―――とは違う手。

―――は細くて長くて骨ばった綺麗な手だ。

なら、関係ない。


どうしよう、戻せばいいだろうか。

頭と腹から、流れてる、あかいろ。

ねえ、ちゃんと息をして。

ちゃんと私を見て、敵を見て、どこを見てるの。

起きてよ、私を、見てよ。


逃げよう、と声がした。

まだいたのか、と肩に乗る温さに嫌悪する。

コレに構っている時間がもったいない。

だって、私がおいていかれてしまう。

きっと私が追いかけたら怒られるから、取り戻さないと。

―――は、まだここにいたいはずなんだから。



「――さん、―――さんは……」



うるさい、うるさいうるさいうるさい。

何、何を言おうとしているの。

―――はまだここにいる。

ここで、私に起こしてもらうのを、待ってる。

―――は寝坊助だから、私が起こさないとだめなんだ。


―――、起きて。

私はここにいる、ここで待ってる。

―――が起きないと、私は動けないよ。

―――、ねえ、どうして起きてくれないの。

これが流れても、―――はいつもちゃんと起きてくれたでしょ?



「……ねえ、――さん、行こうよ。―――さんを連れて。もうすぐここは、壊されてしまうよ」



壊される、なんて、どうでもいいじゃないか。

―――が起きないなら、どうでもいいじゃないか。

だって私は、僕は、



「…ミトワ…起きて……」



―――が起きないと、動けない。

動く価値がない。

私のすべては―――のために。


だんだん、硬くなる。

―――が、消えていく。

どうしたら温かくなる、どうやったらまた私を見てくれる。

声を聞かせて、私を見て。

ここにいる、ここで待ってるのに。



「…翡翠」



「はい」



ああ、だめ、やめて、―――に触らないで、盗らないで、私の―――、返して、帰して、かえして……!



「ミトワに触らないで!!!」



「ならあなたが連れてきてちょうだい。翡翠、先導をお願い」



「はい」



―――、―――、起きて、返事をして。

ここにいられない、ここにはいられない。

お願い、起きて、お願い、私はどうすればいいの、―――、ねえ、ね、え、



「ミトワ、」



ここに、いたくないよ。

行きたいよ、行きたくないよ、どうしたらいいの、



「ミトワ、」



私は、ねえ、―――、



「み、とわ、」



(私の声に)答えて、

(私のために)笑いかけて、

(私の身体に)触って、

(私の、私だけの)手を、引いて、


くれない、これは、



「 ――― 」



これは、ミトワ?



「だ……やだぁあああああぁああぁッ!!!」



おいていかれた

つれてってくれなかった

ミトワ、ミトワ、ミトワ、

私の、ミトワ、


どうして


連れて行ってくれるって約束したのに!

私を殺してくれるって、言ったのに!


ミトワ

ミトワ

ミトワ


わたしだけのみとわ

あなたがいなくなってしまったら、


わたしは、


ねえ、



どうしたら、いいの





今回の話で人の生死の表現が入りましたので、残酷な描写という注意書きをプラスさせてもらいました。

で、できるだけ…ソフトというか濁した表現のような感じに…書きたいのです、が……ど、どうでしょう…?

今後も人が死んだり、刃物でドスッ!ブシャーッ!(?)とかの表現が入る予定…です…。

前書きに注意を促す文章を入れるので、その際はよろしくお願いします…。

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