閑話.鉛色、進めない直線
微妙な表現に濁しましたが、(人の生死など)危ないことを想像する内容になっています。
基本的に閑話は読まなくても大丈夫になるようにしていますので、前書きで「やめとこう」と思った方は飛ばしてください。
前書きが長くなりましたが、大丈夫な方はどうぞ。
赤い朱い紅い…。
どうしよう、止まらない。
死んじゃう、私の隣から消えてしまう。
いやだ、いかないで、死なないで。
お願い、私を、おいていかないで、お願い、ここにいて、おいて、いかないで。
――さん、と私の肩に誰かが触れた。
―――とは違う、切った木の肌を磨いた色、―――とは違う肌の色。
肉がついた、女の指、薄汚れた手から、油と錆のにおい。
これは―――とは違う手。
―――は細くて長くて骨ばった綺麗な手だ。
なら、関係ない。
どうしよう、戻せばいいだろうか。
頭と腹から、流れてる、あかいろ。
ねえ、ちゃんと息をして。
ちゃんと私を見て、敵を見て、どこを見てるの。
起きてよ、私を、見てよ。
逃げよう、と声がした。
まだいたのか、と肩に乗る温さに嫌悪する。
コレに構っている時間がもったいない。
だって、私がおいていかれてしまう。
きっと私が追いかけたら怒られるから、取り戻さないと。
―――は、まだここにいたいはずなんだから。
「――さん、―――さんは……」
うるさい、うるさいうるさいうるさい。
何、何を言おうとしているの。
―――はまだここにいる。
ここで、私に起こしてもらうのを、待ってる。
―――は寝坊助だから、私が起こさないとだめなんだ。
―――、起きて。
私はここにいる、ここで待ってる。
―――が起きないと、私は動けないよ。
―――、ねえ、どうして起きてくれないの。
これが流れても、―――はいつもちゃんと起きてくれたでしょ?
「……ねえ、――さん、行こうよ。―――さんを連れて。もうすぐここは、壊されてしまうよ」
壊される、なんて、どうでもいいじゃないか。
―――が起きないなら、どうでもいいじゃないか。
だって私は、僕は、
「…ミトワ…起きて……」
―――が起きないと、動けない。
動く価値がない。
私のすべては―――のために。
だんだん、硬くなる。
―――が、消えていく。
どうしたら温かくなる、どうやったらまた私を見てくれる。
声を聞かせて、私を見て。
ここにいる、ここで待ってるのに。
「…翡翠」
「はい」
ああ、だめ、やめて、―――に触らないで、盗らないで、私の―――、返して、帰して、かえして……!
「ミトワに触らないで!!!」
「ならあなたが連れてきてちょうだい。翡翠、先導をお願い」
「はい」
―――、―――、起きて、返事をして。
ここにいられない、ここにはいられない。
お願い、起きて、お願い、私はどうすればいいの、―――、ねえ、ね、え、
「ミトワ、」
ここに、いたくないよ。
行きたいよ、行きたくないよ、どうしたらいいの、
「ミトワ、」
私は、ねえ、―――、
「み、とわ、」
(私の声に)答えて、
(私のために)笑いかけて、
(私の身体に)触って、
(私の、私だけの)手を、引いて、
くれない、これは、
「 ――― 」
これは、ミトワ?
「だ……やだぁあああああぁああぁッ!!!」
おいていかれた
つれてってくれなかった
ミトワ、ミトワ、ミトワ、
私の、ミトワ、
どうして
連れて行ってくれるって約束したのに!
私を殺してくれるって、言ったのに!
ミトワ
ミトワ
ミトワ
わたしだけのみとわ
あなたがいなくなってしまったら、
わたしは、
ねえ、
どうしたら、いいの
今回の話で人の生死の表現が入りましたので、残酷な描写という注意書きをプラスさせてもらいました。
で、できるだけ…ソフトというか濁した表現のような感じに…書きたいのです、が……ど、どうでしょう…?
今後も人が死んだり、刃物でドスッ!ブシャーッ!(?)とかの表現が入る予定…です…。
前書きに注意を促す文章を入れるので、その際はよろしくお願いします…。