〜それでも世界を生き延びてみせます〜
20xx年
東京•渋谷
「今日の仕事はこれで終わり‥もうこんな時間か…」
そう言いながら時計を見ると日をまたいでいた。
(このブラック企業め‥…)
周りを見るとまだパソコンを打ち、エナジードリンクを片手に作業を行う人が結構いた。
「こちら終わりました。お先です」
「お疲れー」
「お疲れ様です」
そう言って会社を後にする。
帰宅途中、
車が行き交う交差点
信号待ちをしていると少し疲れのせいか、目眩がした。
数秒目を瞑り、目を開くと周り一帯が白い部屋のようなところにいた?
夢だろうか?
そう思い頬をつねる。
痛い…
夢ではないのか?ではなぜ俺はこんな見知らぬ場所にいるんだ。
俺は会社終わり帰ってたはずだが…
そう悩んでいる最中
コツっコツっ
という足音がどこからか聞こえてきた。
咄嗟に息をのみ、身を潜め見つからぬようにした。
俺を誘拐でもしているやつか?でもなんのために…?
低収入サービス残業当たり前の金無しから奪うかねなんてねーぞ…
そう思ってると足音がする方から思いかげない声が聞こえた
「私は誘拐などしておりませんよ。」
…!?。俺は声に出していないはずだぞ
と慌てつつ声の方をおそるおそる見る。
するとそこには一人の少女がいた。
「私は貴方の世界で言うところの神様にあたる存在です。
あなたは先程、帰宅途中交差点にて過労により倒れ、死にました。」
クソッ‥あのブラック企業め、死ぬまで働かせやがって
そう思い自分の死をすんなりと受け止めた。
「それで自分はこれからどうなるんだ?」
「あなたには2つの選択肢があります。
一つは貴方の魂がこの世から消え''無''になるということ。
そしてもう一つは違う世界に生まれ変わりそこで暮らすという選択」
「貴方の世界の言葉を使うなら『異世界転生』ってやつですね」
これはわかりやすい説明だな。
ふむ。もちろん選択は後者だ。誰が好き好んで消えるか‥
そんなんだったら次の世界で自由に生活したい。
「転生ですね?では欲しいものや望みなどありましたらある程度なら叶えますよ。」
ふむ。これは重要そうだな。
まずはそうだな。
「向こうの世界での言語を全て理解できるのと記憶を引き継げれるか?」
「はい。それぐらいでしたらできますよ。他には何かありますか?
あと一つ程度なら叶えてあげれますよ」
「じゃお言葉に甘えて。スキルで鑑定…」
「鑑定ですか?」
鑑定だと最強みたいにはならなそうだな…なら変えるか。
「変更で…」
「鑑定変更ですね?では次の世界で充実したライフをお過ごしください」
え?なんだよ鑑定変更って
「待った待った待ったーーー…」
と言う声が届かぬまま自分の周りが光始め、その光に呑み込まれていった。
数年後
「お父様お母様。ようやく私も成人しました。」
「おお。おめでとう我が息子クレイよ」
「おめでとう」
生まれ変わって15年。
転生当初何もできなかった赤ん坊からようやく
独り立ちできる成人の15歳になれた。
自分の親は父は王を守る近衛団の団長。
母親は宮廷魔術師といったらすごい親だった。
それもあり、1歳で一人で立てるようになってからは、魔法、剣術の練習を毎日朝から日が暮れるまで行っていた。
でも正直前世よりは楽しかった。
そりゃ、魔法や剣、魔物といったファンタジーあふれる世界だから。
「お父様!ご相談があります。」
「ふむ。なんだ?」
「私も一人の大人になったので冒険者になりたいのです。」
「ほう、冒険者か。まあお前なら一人でもどうにか魔物とかを倒せれるだろうから良いだろう」
「そうですね。私達が育てたのですから。」
「それではいいんですか!」
正直、俺は驚いた。父様や母様なら後を継がせたがると思っていたがすんなりと受け入れてくれたからだ。
「ああ。いってこい」
やったぁぁぁ遂にこのときが来たんだ。
そう喜び部屋中を駆け回るように騒いだ。
「それでいつ頃冒険者登録するつもりだ?」
「はやくて明後日頃です」
「ほう、では明日は冒険者になる祝をしなくてはな!」
そして楽しい時間が過ぎ、遂にその日が来た。
「では、行ってきます」
「たまには手紙をくださいね」
「勇者になって帰ってこい」
「ハハハ。お父様頑張りますね!では」
そう言い手を振りながらその場をあとにした。
勇者にならないと帰れないのか…
と少しだけ肩を重くしつつも胸を驚かせギルドへ向かった。
「いらっしゃい」
「おいおい坊主ここは酒を飲むとこだぜ?」
「ははは。坊主には酒ははやいぜ」
と昼間から酒を嗜んでる冒険者を横目に受付へ向かった。
「冒険者登録をしにきした。」
「冒険者登録ぅ?」
「ハハハハ」
「坊っちゃん。成人してからだぞ〜冒険者は?」
なんだこの酔っぱらい…
「自分はこう見えて成人してますよ?」
と周りに言ったが
「その身長でか?」
「ギャハハハハハハ」
クソッ人が身長を気にしてるのにそのことを…
まあいいや、受付を済ますか
「では冒険者登録するために試験があります。簡単な模擬試験ですのですぐにおわるはずですよ!」
「模擬試験ですか。なら相手はそこの酔ってる冒険者の方でもいいですか?」
「ははは、坊っちゃん。あまり舐めてると怪我するぜ」
どちらが怪我するか思い知らせてやる…
「いいですけど、模擬試験の相手になってくれますか?アッシュさん」
「いいぜ。たまには外で体動かさないとな」
「簡単な模擬試験ですからね?」
そう受付の方が相槌をうち、ギルドの裏にある試験場へ向かった。
すると試験場には観客がちらほらいた。
「ぼうずーがんばれよ。」
「その酔っぱらいとっちめていいぜ」
と俺を応援する声が多かった…。
相当反感を買ってるんだなこの人…
どちらかが膝をつくか、降参するかまで。
では始め!
「坊っちゃん。一発ぐらい当たってやるよ来いよ」
と手で手招きをして挑発していた。
「なら遠慮なく行かせてもらうよ」
『鑑定変更』
…鑑定変更は鑑定ができるのに加え、その結果を変更することができる。
ただし、変更できるのは自分よりレベルが低いものに限る。
つまりこういうこともできるんだよ。
ドスッ。
すると相手が思いっきり吹っ飛んでリングから飛び出て、泡を吹いて気絶していた。
俺はさっき、鑑定変更で相手を鑑定し、自分よりレベルが低かったから防御力を0まで下げて俺は普通に殴っただけで相手は気絶した。
周りは何が起こったかいまいち掴めず目に見えるものを受け止め切れなかった。
だが勝利のゴングがなりようやく俺が勝ったことを受け止め歓声が響いた。
「やるじゃねぇか!」
「よくやったぞ!」
「これであいつにもお灸が据えたはずだ!」
そういう喜びの声が試験場に響きわたった。
「では、冒険者登録の費用銀貨2枚です。」
「はい。確かに頂きました。ではステータスを調べますのでここに手を乗せてください」
そう言われ言われるがままに受付の方が出した水晶に手をかざした。
すると水晶から文字が浮かび上がり自分のステータスがでた。
「ん?レベルUnknown?なんだこれ。」
「あの‥。ステータスが壊れてます」
「レベルUnknown?なんでしょうか。もう一度お願いします。」
そしてもう一度行ったが同じ結果だった。
なので諦めて鏡を見て、受付の人の目を盗み自分に鑑定変更を使った。
すると自分のステータスを見て少し戸惑った。
レベル130
俺まだ成人したばかりだぞ?なのに130って。二年前見た時は60ぐらいだったのに…
でもこれはまずいな。さっきのベテランぽかった冒険者のアッシュって人でも50前半だったのに…
これは変える必要があるな。
『鑑定変更。レベル40』
よし。これぐらいなら大丈夫だろう。
そして受付の方が急いで3つめの水晶を持ってきたので、手をかざし、ステータスをみた。
「あっ!今回はしっかりでました!」
と白々しい嘘をついた。
「レベル40ですか…。成人したてなのに凄いですね。」
「レベルが高いのとアッシュさんを倒したのを考慮してランクはCランクからですね。
ではこれにて登録完了ですお疲れ様でした!」
「おいおい、いきなりCランクってまじかよ!」
「とんだ、ルーキーが来やがったぜ。」
「あの小僧はなんて名なんだ。」
「俺達のパーティに是非きてくれ」
とみんな驚愕していた。
「ランクCってすごいんですか?」
「はい。ギルドのランクは10段階あって一番上がSそしてA‥B…C…と続いて行くのですが
成人したてだとHランクが今までの最高でして、普通はIランクの方ばかりですね」
あれ?これはすごい目立ち過ぎたのでは?
そう思い急いでギルドを抜け出し、騒ぎに目立ち過ぎないようにした。
だがそれはもう手遅れだった。
「なぁ受付の嬢ちゃん。あの坊主名はなんていうんだ?」
「確か。ステータスにはクレイ=アプフェルジーネと書いてあったはずですよ」
「クレイか。おいあのクレイという小僧を見つけ出し我らのパーティに加えるぞ」
おおぉぉぉぉお
「はあ。はあ。大分ギルドから離れたはずだな。」
よし。異世界に来たんだし。城下町でも満喫しますか。
そう思い、まずは宿屋を探し、そして城下町を歩いた。
「やっぱ異世界は最高だな。向こうの世界では絶対に食えないものがたくさんあって美味しい」
そうしてる間に時間が過ぎ、周りも日が落ち周りも暗くなってきた。
「さて、宿屋へ行くか。」
「こっちにクレイの坊主がいたぞ!」
「え?」
目を丸くしている俺に一直線で走り向かってきた。
咄嗟に逃げ出し追いかけてくる冒険者に
「なんで俺の名前を知ってるんですか。」
ギルドでは名前を出してないはずなのに…
「受付の譲ちゃんに聞いたんだよ」
この世界プライバシーなんて無いのかよ‥
そう思い思いっきり走り逃げた。
「なんだあの坊主足速すぎるだろ…」
そう言って疲れ果て追いかけてきた冒険者は立ち止まった。
「やっと逃げ切れた。ホント疲れた早く宿行って寝るか…」
そうして波乱万丈の一日が終わった。
そして朝早くギルドへ行き受付で
「クレイさんに対するパーティの参加依頼が沢山来てますよ」
と言われ、渡された計100をも超える手紙。
それを見て唖然としたがその前にやるべきことあったのを思い出した
「なんで、名前教えちゃってるんですか!」
「法ではステータスは名前以外は勝手に教えれませんが、名前はOKなんですよ?」
「なん‥だと…」
そういって目に涙を浮かべその場にしゃがみこんだ。
そして数分して気を取り直し、パーティの加入依頼を見渡した。
だがどれもこれも面白そうではなく、あまりパッとしない感じだった。
その中に一枚面白そうなものが入ってた。
そしてそれを受付の人に見せ
「これどこに言ったら依頼主に会えますか?」
といい、場所を聞いた。