6. このキャリーケースは 神 です
久し振りの更新です。
お待ちいただいていた方、遅くなりました。
これから、進めていきますので
よろしくお願いします。
「よっこらせっと!」
侍女さんに、キャリーケースを持って来て貰う。某有名キャリーケースメーカー製のそれは、≪sibelle/シベル≫ のイメージカラーである白と紺の配色がされていて、中央には会社のシンボルである女神のデザインが金色で施されている。結構大きくて、海外旅行に1週間位は行けそうな大きさだ。エステ&メイクBOXと聞いているけど、一体何がそんなに入っているのか?さすがに一人では持ち上げられず、三人がかりでテーブルの上に置いた。
「さて、何が入っているのでしょーか?」
侍女さん達も興味津々で見守る中、パクンとキャリーケースを開いた。
「おおぉ!す、凄いです!!」
思わず大きな声が出てしまった。中には、しっかりした別造りのメイクBOX。その他に、色んな種類のブラシやフェイスマッサージ道具、更に沢山のエッセンシャルオイルや、簡単な調合ができる計量セットに救急箱。最高級の自社製品がびっしり入っていた。
まさに宝箱じゃ~!!といった感じだ。
私の様子に侍女さん達も、キラキラした目で中を覗き込んいる。初めて見る物でも、綺麗な色や可愛らしいデザイン、美しく並んだ沢山の小さな小瓶なんて、女子心をそそるのは、異世界も共通のようだ。
「ルイ様、これは一体何に使う物なのですか?」
髪を結うときに、真珠の飾りを手渡してくれた侍女さんが、金色に輝くあるモノを指差していた。確かに、この世界には無さそうなモノだよね。
「ああ、これは、フェイスラインを整える道具ですね。通称、コロコロとか呼ばれていますね」
そうです。Yの形にゴルフボール位の球体が二個付いたフェイスマッサージ器具のこと。少し前から流行っていて持っている女子は多いと思う。私は手に取ってこう使うとばかりに、頬から顎にかけてコロコロして見せた。
「「「「まぁぁああ!」」」」
「こうして、顔の筋肉に沿ってコロコロすると、老廃物を流してむくみやコリが解消できるのです。まあ、個人差はありますけど、結構効果が期待できますよ?」
「「「「ほぉおおお」」」」
しばらく、あれやこれやと質問を受けていたけど、そうそう、メイクBoxを開けて確認しないと。ドレスアップして、さすがにノーメイクというのは今の私にはイタタマレナイ。
メイクBoxは、そのままでも持ち運びができるようなハンドル付きのハードケースだ。メイクアップアーティストとかが使っている、立体的に収納できる大容量のタイプだ。これは期待ができる。
「うわっ!!」
こちらも開けてびっくりした。一流メイクアップアーティスト並みの品揃えだもの!!
カラーパレットには物凄い色のアイシャドウやチーク。口紅だって100色以上はありそう。それにファンデーションも!その他、メイクに必要な器具や小物まで入っている。そして、極めつけは、≪整形メイク≫も可能な二重テープや傷跡やカバーする特殊なシート、舞台用のドーランまで入っている。
「神!!!」
思わず手を合わせて拝んでしまった。このキャリーケース一体総額幾ら掛かったんだろう?多分100万以上は掛かっていると思う。でも、このチョイスは褒めてあげたい!選んでくれた方に感謝だ。
「ルイ様、そろそろ、シューゼット様達もお待ちですので・・・」
そうだった。忘れてたわ。私は急いでメイクをした。ここの人達は余りメイクの習慣が無いみたいだから、肌を整えて、自然な色でシャドウを入れた。口紅もコーラルピンクで上品に。後は、アイラインはちょっとだけ垂れ目気味にして、マスカラはいつも通り。チークはささっと。こんな感じかな?
「・・・・」
侍女さん達が無言で私を見ているけど・・・可笑しいかな?やっぱり、変なのかな?っと思ったら、
「ルイ様!とっても素敵です~!凄くお綺麗ですわ!!」
皆が口々に褒めてくれます。いや、それほどでも?(汗)皆さんはメイクしなくてもオウツクシイデスヨ。バタバタとメイクBoxを片付けて、キャリーケースに収納した。後で、もっとじっくり確認しましょう。
「ご準備は宜しいですね? それでは、お部屋の方に戻りましょう」
侍女さんに連れられて、応接室?に戻る。ええ。勿論、キャリーケースも一緒ですよ。
「お待たせして、すみませんでした」
椅子に掛けてテーブルを囲んでいたシューゼットさんと、ユージンさんがこちらを振り向いた。
「「・・・・・」」
「シューゼットさん?」
二人とも、私を見て固まっている。何?なんか変?
「ああ。すみません。先程までと随分変わられたので・・・。髪型も少し変えられたのですね?ドレスに良く似あっています・・・・・あの・・・」
「はい?」
「あの、失礼を承知でお伺いします。お許し頂けますか?」
シューゼットが聞きたいことがあるらしい。
「はい。なんでしょうか?」
「あの、お顔の感じがちょっと変わったような気がするのですが・・・」
「ああ。えっとですね。メイク、お化粧をしたのです。さっき迄は仕事用のお化粧だったのですが、今はドレスに合わせて少し変えました。この世界ではお化粧は余りしないのですか?」
「そういうことなのですね。化粧は習慣としてはありますが、ルイ様のとは違うようです。もっとも、この神殿では余り見たことが無いかもしれません」
「そうなんですね。可笑しければ止めますけど?」
「止めることはありません!!良くお似合いですから!!」
それまで、シューゼットさんの隣で真っ赤になっていたユージンさんが、いきなり大きな声で否定してきた。どうした?ユージンさん。熱でも出ましたか?
「あ、ありがとうございます。大丈夫ならいいんですけど」
褒められたよね?こんなイケメンに褒められたこと無いから、こっちの方が赤くなるわ。顔が熱いですよ。
そんなやり取りをしていると、侍女さんが食事の準備ができたと呼びに来てくれた。急にお腹が空いた感じがした。そうだよね。コンテストの前から今まで、どの位の時間が経ったか判らないけど、お茶しか飲んでいないもの。
ユージンさんがすくっと立ち上がると、私に向かって手を差し出した。これは、手を預けるということ?もしやエスコートとかいうやつでしょうか?
「どうぞ、ルイ様」
そうらしいです。
恐る恐る、ユージンさんの手に自分の手を重ねると、優しく立ち上がらせてくれた。そして、そのまま手を肘のところにそっと置かれ、反対側の手で優しく包まれた。流れるような仕草に眼を見張っていると、頭上でクスっと笑われたような気がした。思わず目を上げると、タンザナイトのような濃いブルーの瞳が優しく細められた。
(うわー。カッコイイ・・・・)思わず見惚れてしまった。
「さあ、ルイ様、参りましょう」
シューゼットさんに先導されて、私とユージンさんは食堂に向かって歩いた。
誤字脱字は気づき次第修正します。
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お仕事系の異世界ストーリですが、
やっぱりイケメンは外せません。
ブックマークしてくださった皆様もありがとうございます。
別話の「妖精姫である私の婚約者は・・・」も
もう少しで完成しそうです。
こちらを進めるよう頑張りますね。