表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

金曜日

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


星座*****乙女座


守護聖獣***ペガサス


敵性霊獣***アルカナキャット


・・・・・の方の今日の運勢は・・・・・


運気が急激に落ちて来ています。

こういう時はあまり占いだけに頼らず、自分自身を

しっかりと持つ事が大事です。

全てを占い任せにするのは感心しません。


(監修・野々村ベアトリーチェ)


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






先生、私分かってました。


今日になるって。


だって20年ですよ。


20年以上ですよ。


ずっと待ってたんだから。


こんなに長い間待ってたんだから。


運命の人に逢える日を。


やっと


幸せになれる日を。


この1年間、毎日ドキドキしてました。

「今日かな?今日かな?」って。


でも心の奥底には、輪郭はおぼろげだけど、

鮮やかな色彩の予感がありました。


「きっと、最後の日だ・・・」って。


“ペガサス”が導いてくれる私の運命は、最もドラマチック

なストーリーを描き出すだろうって。


先生、私、今日出逢います。


40歳最後の日である今日。


運命の人に。


あらかじめ約束された幸福に。


私という人間のたったひとつの存在理由に。


今日は仕事には行きません。

当然でしょう?

私の人生で最も大切な日に、パン工場で検品作業なんか

やってる場合じゃありませんからね!


まず最初に美容院に行って、毛先を整えてトリートメント

して来ます。

それから高島屋へ行って、お洒落な服を買って、化粧品

売り場でプロの手でメイクしてもらうつもりです。


先生が12年前に出された8冊目の御本

『守護聖獣が導くモテメイク&ファッション

〜運気UPのスタイリングで貴女も恋愛マスター〜』

を参考にさせて頂きますね。


実は私、この20年、あまり身なりには構って来なかった

ものだから、ファッションには自信がないんです。


それでも流石に運命の人との初対面の瞬間を

“ユニクロ”や“しまむら”で迎えるのが理想的とは言えない

という事くらいは分かりますからね。


うふふ♡


髪、洋服、メイク、全てが完璧に整ったら街に出ます。


勿論、あてなんかありません。


でも大丈夫。


なんの不安もありません。


“ペガサス”が導いてくれる事が決まっているんだから。


私だけを待ってくれている人の所へ。


どんな感動的な出逢いになるのか、もう今から胸が

熱くなって、張り裂けそうです!


先生、ありがとうございます。


本当に、ありがとうございます。


あの日、先生が今日のこの運命の出逢いを教えて下さらなかったら、今私がこうして生きている事は無かったでしょう。

だって、20年以上もの時間を真っ暗闇の中、たった一人で歩き続けられる人なんて、いる筈が無いんだから。

あの時先生が灯して下さった小さな光だけを頼りに、

私は生きて来たんです。

遥か彼方にかすかに見える、小さな光だけを頼りに。


間違いなく、先生は私の命の恩人です。

どれほど言葉を尽くしても、この感謝の気持ちは

伝えきれるものではありません。

だからせめてこの想い、直接伝えさせて頂きたいんです。


私、今日出逢う彼と一緒に、先生の所へ参ります。

二人揃って、先生に御礼を申し上げるのが、

人としての礼儀だと思うんです。


先生のお宅にお伺いしてよろしいでしょうか?


あ、大丈夫ですよ、場所は知ってますから。


先生は今でも月に1回か2回、『占い館ビグ・ザム』に

不定期で出勤されてますよね?


私毎日ネットで調べて、先生が出勤されてて、私の仕事が

休みの日には電車で東京まで行って『占い館ビグ・ザム』

から出て来られる先生を、こっそり尾行してたんですよ。


いつか、彼と二人で直接御礼の言葉を伝えるって決めてましたから、どうしてもご自宅の場所を知っておく必要があったんです。

だって『占い館ビグ・ザム』でお会いする訳にはいかないでしょう?

それじゃまるで、その他大勢のただのお客さんみたいですものね。

私と先生との間の特別な絆には、やはりそれにふさわしい

特別な場所でないと。

あの等々力の白亜の豪邸こそ、“ふさわしい特別な場所”

です。

本当に素敵なお宅ですもの。

あんまり立派なので、初めて見た時には驚きました。

まあ、何度見ても驚きますけどね・・・


実は私、先生が引っ越してしまう可能性を考えて、

結構こまめに尾行してたんですよ。

全部で20回くらいかな?


うふふ♡


・・・本当はね、いつか先生が私に気付いて、声をかけて

下さるんじゃないかと期待したりもしてたんですけどね。

前にも書いたと思うんですけど、私なんかが自分から先生

に話しかけるなんて、とても出来ませんから。


だけど、気付いてくれませんでしたね。

2、3メートルの距離まで近づいた事は何度もあったんですけどね。


あ、いえ、大丈夫ですよ。

私、ちっとも怒ってなんかいませんから。

そもそも私が勝手に尾行してたんだから、気付いてくれなかった先生は悪くないと思います。

だから私、本当に怒ってませんよ。


うふふ♡


さあ、そろそろ出かけないと!


全てが変わる一日の始まりです。


オナニーばかりの日々は昨日までです。

今日からは、毎日彼とやりまくります。


近日中に、彼と一緒にお邪魔しますね。


じゃあ、行ってきます!







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ