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噂の彼  作者: くりみ
2/5

きっかけ


「補講に遅れてくるなんてたるんでるな〜。」

学校に着いた私は、先生に嫌味の一言を言われた。

そんな嫌味も気にならない理由は、さっき会った矢吹翔のことを考えていたからだ。


矢吹翔の悪い噂はたくさんあり、

「目が合うと死ぬ」

「親がヤクザだ」

「覚せい剤を使ってるやばいヤツ」

「女でも平気で殴る」

などだ。


「目が合うと死ぬ」なんてそんなの嘘だとは分かっていたが、さっき思いっきり目が合っていたし、嘘の噂だと確信した。


(しかもイケメンだったしなぁ。)


私は悪い噂を聞いて、自然と彼の顔を見ないようにしていた。というより、彼自身がいつも下を向いていて、皆に顔を見られないようにしているようだった。


なので、顔をちゃんと見たのは初めてで、意外にもとても整っている顔だったので驚いた。


(そもそもなんであんな噂が流れ始めたんだっけ。)


私は補講の時間、彼の噂が流れたきっかけを考え始めた。


あれは入学式の日だった。

私は、幼馴染の神崎彩芽と一緒に入学式に参加した。


彩芽は2組、私は1組だったので彩芽とは分かれて廊下を歩いていると、後ろから声がかかった。


「カバンのチャックあいてますよ。」


後ろを見ると、顔を見せないようにしてるかのように下を向いて立っている男の子がいた。


そして自分のリュックを見ると、確かにチャックがあいていた。私は急いで閉めて、ありがとうございますと言おうとすると、それを遮るように男の子は一礼し、その場を離れた。


私は気になって離れていった男の子のことを見ていると、


「あのー…。」


また後ろから声がかかった。

振り向くと、可愛らしい女の子が立っていた。


「すみません、いきなり声掛けて。

あの、さっきの男の子と知り合いなんですか?」


と女の子は言った。


「いや、違います!カバン開いてて、それを教えてくれて。」


私はさっき起こった事を話した。

すると女の子は笑顔になり、こう言った。


「そうだったんですね!良かった~。実はあの男の子と中学同じだったんですけど、あんまり関わらないほうがいいですよ。」


続けて女の子は男の子の悪い噂を私に教えてくれた。


その男の子の名前は、矢吹翔だった。


「あ、自己紹介遅れました。私は1組の木下美優です。よろしくね!」


その女の子は笑顔でそう言い、私達は友達になった。


次の日学校へ行くと、美優が私に言っていた矢吹翔の噂がなぜか学年全体で広まっていた。

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