いつかきっと会えるから
それは僕と君が電話をしている時のことで、雲はどんよりとしていた。確か台風が近付いているんだった。
終わりにしようか、と僕は呟いた。
「どうして」と君が言う。僕は言葉が出なくて少しの間黙ってしまった。
嫌いになったわけじゃない、今でも、今までも、きっとこれからも僕は君の事が好きだろう。でも距離が遠すぎたんだ。
「どうして」と君は言う。自分でも訳が分からなくなってきて、僕はケータイを握りしめ目から涙をこぼした。お別れに涙は要らないと、そう思っていたのに。
「また会えるんだよね」君は不安そうに言う。気付かれてしまったんだろうか。
当たり前だろう、と僕は返す。声が震える、不安が心の中から湧きあがってきて、タバコを持つ手が震えた。
「また会おうね」と君は涙声で明るく言う。
ああ、また会おう、と僕は泣きながら電話を切った。
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