世界の事を知りたいんですけど。2
新婚で 嫁は猫耳 俺ニート。
しまった。つい駄句を詠んでしまった。
今日はそろそろ働き口を探してみることにした。折角この世界に来たんだ。
高校は無いけど働いて悔いの無いように生きていきたい。
ついでに帰る術が見つかるかもしれない。帰りたくないけど。
「しかし…」働くと言ったってどうすればいいんだ。ハローワーク?そんなものは無い。
力仕事?もやしには非常に辛い。そんな時は助けて猫耳さん!
「え?仕事ですか?例えば、家の周りの草原にいるスライムを捕まえて商人さんに売るとか…」
あぁ、そんな仕事があったのか。やっぱり持つべきものは嫁(猫耳美少女十五歳)だね。困った時はエロイ人、いや、エライ人に頼るに限るね。
というかやはりスライムとかそういう生物もいるのね。一匹捕まえて猫耳が寝ているところにけしかけてみようかな、という邪念が頭をよぎる。
いかんいかん。案外危険な生物かもしれない。例えば毒とか麻痺とか。猫耳はそういったものは持っていないから安心とは言っていたが油断は禁物。
だってシグレさんはもやしだもの。すっごくよわいよ!
そう考えていると猫耳が昼食を持ってきてくれた。今日のメニューはリンゴのような果物とスープだった。
もちろん両方美味しかったのだったが、このスープは一体何なのか。
見た目はただの水の如く、透き通っているのだが、口に入れると野菜のような仄かな甘味がたなびき、とても美味しい。
そんな事を考えながら家を出ると裏口の方にしぼんだ風船のようなものが落ちていた。
まさかね。気になって猫耳にこれは何か聞いてみると
「それはスライムの皮ですよ。所で今日のスープ、お口に合いました?」
やっぱりスライムかよ。スライムってもっとドロドロで食べられないものだと勝手に思っていたがあんなに美味しいなんて。
猫耳がこっちを見ていたので、
「猫耳の料理はどれも美味しいよ」と言うとハンマーで叩かれてから水筒にスライムスープを入れてくれた。
だから照れ隠しが痛いんだって。
家から少し歩いていると突然、
「おいそこのオマエ!スライムの皮持ってねぇか!?あったら売ってくれよ!」
と声をかけられた。
振り返ってみると声の主は小さい猫耳だった。名付けて猫耳幼女。あら可愛い。
いや、可愛気はないが。初対面の奴にこの態度か。
でも怒らない怒らない。多分、こういうぶっきらぼうな性格なんだろう。
元の世界でやってたゲームにもこんなキャラいたもの。やたら高圧的なやつ。
その後酷い目(性的な意味で)に遭っていたが。
冷静になって「スライム一匹の相場ってどれくらいなんだ?」と返すと
「オマエ、初対面の美少女にその言葉遣いはないだろ。礼儀ってものを知っててくれよ」
だとよ。このアマ……
「まぁいい」
こっちが良くねぇよ。
「スライムはうちでは一匹につきこの銀貨一枚だ」
大体スライム五匹で猫耳と自分の一食分が賄えるくらいだろう。猫耳がそう言っていた。
「ただし持って来る時は中身を抜いて来てくれよな」
え?あんなに美味しいのに?
「美味しいのは認めるが、持って帰るときに潰れちまうし、放っておいたら黒く変色してしまうんだよ」
じゃあ皮は何に使うんだ?猫耳は捨てていたが。まさかあれも食べられるのか。
「馬鹿言うな。あんなもの弾力しかなくてとてもじゃないが食べられたものじゃない。
カインに使うんだよ。よく伸び縮みするからな。」
「カイン?」なんだそれ。聞く限り輪ゴムみたいなものなのかな。
「オマエ・・・さては遠くの国から来たな?カインというのは、いわゆる冒険者用の袋だ。伸び縮みするからよく入るぞ」
あぁ、あれだ。RPGとかによくある、やたら道具が大量に入るいわゆる「ふくろ」だ。これにも名前って付けたりできるのかな。
「さぁな。どう呼ぶかはお前の自由だが、あんまり痛い名前は付けてやるなよ。病気になるぞ。」
「袋が?」
「そんな訳あるか。名付けた奴がだよ。実際に痛い名前を名付けた結果、病んでしまって飛び下りて死んだ奴もいるからやめておきな。」
そんな病気があるのか、怖いな。元の世界で言う厨二病じゃん。
あれはよほどの事が無い限り死なないけど。いや、後で死にたくはなるな。
「で、猫耳商人さんよ、」
「リーラだ!名前で呼べ!」
はいごめんなさい。
「リーラさんよ、その病気の名前は?」
「空も飛べるはず病」
やっぱり厨二病でした。
時雨の手記
都市について
活版印刷術はない様子
本が銀貨五百枚くらいの様子
通貨→銀貨と銅貨を使用、金貨や紙幣は流通していないようだ
猫耳少女→やっぱり可愛い