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2話 世界の事を知りたいんですけど。1


飽きた。


 こんにちは。引きこもりもやしです。ただいま猫耳美少女との新婚生活を送っております。もう元の世界には帰りません。というか帰りたくありません。


 と冗談ぽく唱えながら、頬をつねってみる。しかし目は覚める事なく、ヒリヒリするだけだ。


 たしかにここは自分がラノベやゲームなどで行きたい、と思っていた幻想の世界。多分。


 でも実際来てみると携帯は繋がらないし、娯楽は皆無。これでは楽しくない。ゲームのNPCの気持ちが分かる気がする。


 そう考えているともやもやしてきたので外の景色でも見に行くことにした。


 外は涼しい風が吹き、草原が広がっていた。例えるなら…そう、ウィ○ドウズの草原。


 しばらく外に出てなかったから景色なんてそれくらいしか見てなかったからね、仕方ないね。


 暫く景色を眺めながら歩いていると前から嫁(15)が歩いてきた。


「あれ?シグレさん体調は大丈夫なんですか?」


「大丈夫だと思います。」


「それは良かったです。今お昼ご飯の用意しますね。」


 そう言って猫耳は家に入っていった。見れば見るほど不思議である。あの背丈、あの可愛さ、猫耳。それがいきなり自分の嫁?どこのラノベだよ。ありきたりすぎるだろ。もしこんな内容のラノベがあったら売れないだろうよ。愚痴しか思い付かないよ。


 しばらくして猫耳が昼食ができたと呼びにきた。昼食は異世界の物なので身構えていたら普通のトウモロコシのポタージュだった。


 良かった。マンドラゴラとか出てこなくて。根菜っぽくてそれはそれで美味しいのかもしれないけど。


 そして昼食が済んで俺は猫耳に色んな事を聞いた。


「何で俺の名や日本語が分かるんだ?」


 そう聞くと猫耳は懐から例の巨大なハンマーを取り出した。そうしてから猫耳は、

「これで私を叩いてみてください」と言った。


「えっ、ケガするぞ?」


「しませんよ?」


 いや、私それで殴られて気絶したんですが。むしろ気絶だけで済んだ方が奇跡だと思うんですが。


「まぁとりあえず叩いてみてくださいよ。大丈夫ですから。」


「仕方ないな…」


 できる限り軽く猫耳をハンマーで叩いてみる。


「痛っ…!」


 そう声を上げたのは猫耳ではなく自分だった。


 叩いた瞬間頭の中に色んな情報が入ってきた。見たこともない文字、聞いたこともない言葉。頭が処理しきれず痛い。


 結局その痛みが引くまで5分ほど掛かった。そこからは、嘘だったかのように痛みは引いた。


「分かりまひた?このハンマーは叩いた人の知っている事が吸い取れるんでふよ。」

 そう猫耳は頭を撫でながら教えてくれた。やっぱり叩かれた方も痛いんじゃないか。そんなもので俺を殴ったのか。


「私は手慣れているから大丈夫ですよ。」

 何?その「安心しろ。私はプロだ。」

みたいな発言。


 ハンマーで人を叩くのに上手いか下手かで痛さってそんなに変わるの?確かに角で叩いたりしたら痛いだろうけどさ。


「さ、さて…それはともかくシグレさん、体調が大丈夫なら街に行ってみませんか?この国に来るのが初めてなら、きっと楽しいですよ。」


 確かに。この家にいて新婚生活を楽しむだけもいいけど、この世界を知るのも悪くないかもしれない。

 さすがに嫁が出来たのに働かないのもおかしいしね。


 お母さん、まだ職には付いていませんが働く意味は見付かりました。


 ここからまだやり直せるはずなんだ。


 そう考え、街に向かった。

−−−−−−−−−−−−−−−−


 猫耳の家から街まではそこまで遠くなかった。


 街までは徒歩だったが猫耳と会話をしていたら着いていた。


 なお、体力は2回ほど切れかけた。やっぱり外に出ないといかんね。ここに来てから一段と疲れやすくなってる。


 街は漫画によくある中世の城塞都市っぽく、高めの壁に囲まれていた。街の中は市場や学校もあり、とても賑わっていた。


 建物の入口には必ず人が立っており、話し掛けると


「ここは○○だ。」とだけ返してきた。


 猫耳いわく、この人たちはそういう職業との事だ。この国は学校があり、識字率自体は高いが、


 よその国から来た商人は、その言葉などが解らないためこうして通訳などもしているようだ。RPGのこういったNPCもこんな仕事しているのかな。


 次に俺たちは本屋に向かった。本は活版印刷が存在していないのか、かなり高いようだった。猫耳に聞くと


「さっきの人たちの十日分の給料くらいですかね?」と言われた。


 ここで俺がラノベの主人公とかなら活版印刷術を教えたりして本の値段を暴落させるところなのだが、あいにく俺にそんな技術はないので猫耳に頼んで細い角材だけ買ってもらった。


 また今度時間があったら、判子でも彫って活版印刷の真似事でもしてみよう。猫耳だったらびっくりするかも。


 本屋の隣には衣服屋があった。店主は俺の服装を見るなり、


「そこの兄ちゃんはセンスのない組み合わせだな。ハハハ、」と言ってきた。


 まさか異世界に来てまで服装をバカにされるとは思わなかった。そっちなんか頭がカッパ状態なのに。


 さすがに頭にきたので


「そっちは面白い髪型ですね」と小バカにしてみると温厚そうな店主が


「お前今なんて言いやがったァッ!!この俺の髪型を電球と言いやがったナァ!?まるで電球だなといとも容易く言いやがったナァ!?」


と豹変した。


 店主さん、あんたはアレか。最近流行りの髪型をけなされるとブチギレる系主人公か。


 しかも電球なんて言ってないし。しかも電球あるのかい。


「とりあえず逃げますよ!シグレさん!」


と猫耳に手を引かれ、店を出て、家の方に逃げ帰ってから猫耳に怒られた。


 それはもうご褒美になるくらいに。


 いや、断じて俺はそういう趣味ではない。でも猫耳美少女(嫁)の御説教が食らえるなんて楽しいですよ?


 清少納言も書いてたよね。「どうせお坊さんの説教を聞くならイケメンのお坊さんの方が頭に入るし有り難みがある」と。


 そんな感じで調子に乗って口元をにやけさせていると猫耳がこっちを向いて


「シグレさん、聞いてます?」と聞かれ、


「見とれてて全く聞いてませんでした」と返答。


 やっぱり人間、素直が一番だよね。うんうん。こんな可愛い娘に見とれなかったら俺じゃない。


「えっ…いきなり何ですか…恥ずかしいじゃないですか〜」


 そう言ってハンマーで殴られ俺気絶。


 彼女の照れ隠しはヘビーすぎる。人の話は聞こう。そう決めましたよ。はい。


時雨の手記

この世界について(現時点)

国名:不明

政治体制:不明

人口、国土面積:不明

公用語:名称不明

公用文字:名称不明

文字について

ローマ字の母音と子音にあたる2文字が組み合わさって1文字になった文字のようだ。元の世界のハングルに似た形なのかもしれない。

猫耳について

名前が分からない。可愛い。嫁。可愛い。

時雨の手記2

街名:クルムソニア

クル=都市、ム=下の、ソニア=街の名前

→城下都市ソニアかも

政治体制:城があるので王権制?

人口、面積:不明

公用語:カイラスィス

公用文字:カイラスィスフィン

カイラス→国名?、〜ィス→〜語、フィン→文字、記号

猫耳について

名前が分からない。可愛い。嫁。可愛い。照れ隠しが痛い。可愛い。


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