適応力が尋常じゃないんですけど。 4
「時雨、魔法で何か食べ物出して……」
最近思うんだが、早雪は俺が魔法を使えることに適応しすぎていないか?俺が魔法で物を作れると知ってからずっとこんな調子である。
「自分で何か作れ。俺は便利屋じゃない」
早雪にツッコミを入れていると
「行商人さん、私は何をすれば……?」と少女が話し掛けてきた。
「えーと、名前何ていうか聞いてなかったな。
「キールです」
「おう、じゃあキール、俺は行商人じゃない。あれは助けるための嘘だ。だからこれといって何もすることは無い。以上かな」
「え……は、はぁ、で、では!私が治癒魔法を使えるのにどうして家に置いてくれているのですか?」
「え?治癒魔法が使えてまずいことなんてあるの?」
「治癒魔法は本来、聖なる者しか使えない魔法と言われ、聖職者じゃないと使えない。もし使えるとしたらそれは悪魔か魔神に魂を売り渡した証と言われています。これは常識ですよ?」
「あぁ、知らん。多分俺も使えるんじゃないか?魔神と樹竜の証持ってるし」
そう言うとキールは表情を変えて、
「え!?あの樹竜に認められたのですか!?一体どんな事をしたらあの樹竜に認められるのですか!?」とかなり驚いていた。
実際は森を凍らせてしまって、普通に謝りに行った結果、何か勝手に認められただけなのだが。何も特別なことはしていない。もしかしたら俺の『主人公補正』というスキルのせいかもしれないが。
「まぁ、色々あってな」
そう言うとキールは
「へぇ!シグレさんって凄いんですね!魔神様の力はどんなものなのですか?」とどんどん食い付いてきた。
「魔神の力は……魔神の加護とか言うような名前で効果は確か金属を自由自在に操れる力だったな……キール?どうした?」
「……シグレさん。本当にその力は魔神の加護という名前なのですか?」
「確かな。そんなに有名なスキルなのか」
「何を言っているんですか!魔神の加護というのは魔神様を下した証です!シグレさんは魔神様を倒したのですか!?」
「いや……多分魔法を覚えた時に勝手にくっついてきた」
「は、はぁ……私はシグレさんがどれだけおかしい存在かが分かりました……」
「え?俺ってそんなにおかしい?」
「「「かなりおかしい」」」
何でそこだけ息ぴったりで喋るんだよ。
「はぁ……何か俺自身も色々自分の力のやばさに疲れた。ユーリ、少し寝てくる。何かあったら起こしてくれ」
「長時間のお昼寝は体に悪いですよ」
「あぁ、寝るといっても情報魔法で調べ物をするからそんなに寝ないから大丈夫だ」
そう言って俺は自分の部屋に戻り、情報魔法を開き、樹竜と魔神にした質問をしてみる。
「なぁ、情報魔法って中身は情報の神だったよな?なら、俺はこの世界に来てこんなチートステータスとチートスキルを手に入れて、何をしたらいいんだ?」
すると情報魔法のウインドウが開き、
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−サンドボックスゲームのような感じで楽しむべきだと思います。時雨はやりたいことをやるためにこの世界に来たのだと思います。例えば竜神の称号を得たのだから何か国を創るのも良いかもしれませんね−
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と樹竜や魔神の言った内容とあまり変わらないメッセージを返してきた。
「はは、国か。俺は人民とかを率いるような内政チートスキルは無いから無理かな」
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−それを何とかできるんです。そう、『白紙』ならね。−
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「……何だそのどこかのリンゴみたいなセリフは」
俺はその後、猫耳が夕食が出来たと呼びに来るまで、情報魔法と喋っていた。
そしてその日の夜、俺はあることを決意し、紙にペンでこう書いた。
〜異世界での計画〜
1:魔法とスキルで俺TUEEEする
2:奴隷を買って破格の待遇をする
3:店を建てて商業チートする
「これが俺なりの答え、俺はありきたりな異世界モノの生活をしてやる!」
そう言って俺は寝るのであった。