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適応力が尋常じゃないんですけど。 3

結局1話しか投稿できそうにないので初投稿です。ごめんなさい。


「情報魔法!声のする場所を表示してくれ!」


「シグレさん!情報魔法は掛け声なしでもできますよ!」


「そんな事突っ込んでる場合か!もしかしたら事件かもしれないんだぞ!」


 こうして突っ走る事数分、


「ここか……見るからに怪しげだな……」

 そこは周りに何も無く、ぽつんと小屋が建っていた。


「誰かたすけてー!」


「やっぱり事件だな……とりあえず解決するか」


 解決する。言うは易し行うは難し、実際、難しだったのは自分の力を知る事だったと思う。


 小屋の壁に耳を当てると、


「……声を出すな。喋らなければ身の安全は保証する。私はあくまで君を連れていくのみだ、殺すことはない」


「嘘だそんな言葉!ティオールの兵士の言うことなんて信用できないです!」


 そんな兵士と少女の問答が聞こえてきた。


 それにしても連れて行くなんて言われて身の安全は保証するなんて言われても、信用できないよな。


「シグレさん、どうするつもりですか?」


「任せろ。俺に考えがある」


 そう言って俺は小屋の扉を開け、兵士に近付き、


「あれ?兵士さん、そのお嬢さんは……」と話し掛けた。


「ん?なんだ貴様は?」


「あぁ、私は行商人をやっている者ですが、さぞ人気のある看板娘になると思い、スカウトしに来たのです。さて、そちらのお嬢さんを頂けませんかね?」


「何を言うか!この者は治癒魔法の使い手、しかも可愛い!これは我らがティオール軍が戴き、軍の衛生兵となる運命なのだ!」


 何が治癒魔法が使えて可愛いだけで運命だ。このロリコンが。


「おやおや可愛いというのは認めますが。勝手に衛生兵などと決められてはお嬢さんが可哀想ですね。それよりも平和に看板娘として過ごす方がよいのでは?」


「黙れ!邪魔するなら貴様を叩きのめすぞ!」


 この兵士、最初から分かっていたが人の話を聞く気がないな。


「まぁ、待ってくださいよ。私も対価を用意しております。それで手を打ちませんか?」


「何だ?見せるだけ見せてみろ」


「はいはい。すぐにお出しします」


 そう言って俺は魔法で、あるものを出し、ついでに魔力を確認してみる。


===============


魔力:2,036,223,408/2,147,483,648


===============



 魔力はおよそ1億ほど減っていた。どうやら無から物を出すとなるとかなり規模の大きい魔力を扱わないといけないらしい。


「どうした!早く見せろ!」


「はいはい。こちらをどうぞ。」


 そう言って俺は具現化したレモン状の物を兵士に渡す。


「これは魔道具で、本体を持った状態でこの栓を抜き魔力を流し込むと信号弾が打ち上がるのです」


「ほほう。胡散臭いな。試しに打ってよいか?」


「もちろん」


「ずいぶんと気前がいいな。偽物だったら承知しないからな!ふんっ!」


 そう言って兵士は栓を抜く。俺はこっそり少女にこっちに来るように手招きをする。


 そして兵士が魔力を流し込むのに集中している時に


「私は眩しいのが苦手ですので離れさせていただきます」と言い兵士から少し離れ、

「ユーリ!早雪!耳を塞いで小屋から離れろ!」


 そう叫び、少女の手を引き小屋を飛び出す。








瞬間、小屋もろとも兵士が大爆発した。






「……汚い花火だ」


「しみじみと言うな!いきなり信号弾と偽ってあんなもの渡して使わせる馬鹿がいるか!」


「いいだろ!少女を助け、兵士をやっつけるにはこれしか思い浮かばなかったんだよ!」


「所でシグレさん、あれは何だったんですか?」


「あれは手榴弾、と言って爆弾の一種だ。威力はあの大きさで小屋1つくらいなら吹き飛ばせる威力だ」


 そう、俺は魔法で手榴弾を出したのだ。といっても俺が念じたのは『手榴弾みたいな形の軽く殺傷能力のあるレモン』だったのだが。威力があれくらいで良かった。


 最初は電撃などで気絶させるつもりだったのだが、手元が狂って少女に当てたら困るのでこれにしたのだ。


「あの……」


 声に気が付き、振り返ると少女が


「あの……行商人さん、助けてくださりありがとうございます。で……私を奴隷にして看板娘にするんですか……?」


「ん?あぁ、奴隷にするとか、そんなつもりは無いぞ、自由にしてくれていいぞ。俺はあくまで助けただけだから……あ、」


 あの小屋、破壊してしまったの忘れていた。


「シグレさん、いくらなんでも家を壊したらダメですって!」


「はぁ……時雨はこういう所が抜けているね……」


「す、すまん!お詫びに家を魔法で修復……」


 そう言いかけてユーリに肩を叩かれ、


「シグレさん、ここに家を再建するのは追っ手などもいるかもしれませんし、得策じゃないと思います。えーと……お姉さん、良ければ私の家に来ませんか?」


「……はい。喜んで」


 こうしてあっさりと事件は解決し、我が家には住人が一人増えるのだった。


「シグレさんは少し反省してくださいね」

「……はい」


 俺はこの時、自分の力がいかに恐ろしいか分かっていない。


 時としてそれが命取りになるときもある。それを俺はもうすぐ知る。

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