表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/54

1章 1話 異世界に着いたのですけど。1


 誰かが必死に俺の身体を揺さぶっている。


 一体誰なのか確認したいのはやまやまなのだが、意識がはっきりしないせいか目がなかなか開かない。


 ここは病院のベッドの上か、もしくは自宅のベッドの上か……?どちらにせよ生きているようだ。


 生きているって素晴らしい事だね!


 無くして分かる命の大切さ。いや、無くしてないが。


 あ、段々意識がはっきりしてきた。もうお目覚めの時間か。看板に頭ぶつけて生活リズム戻ったなら治しとかないとな……


 そして意識が完全に回復して目を開けるとそこは病院でもなく、自宅でもなく、見知らぬ草原だった。

そしてその横には……


「−−−−−?」


 ファンタジーに出てくるような可愛らしい猫耳が生えた銀髪の少女がいた。


 え?もしかして俺お亡くなりになっちゃった?


 地球上に猫耳生えた人種なんていなかったよね?俺さっきまで日本にいたよね?ここどこ?


 何なのか全くわからない。


 とりあえずこの目の前の猫耳少女とコミュニケーションを取ろう。そして疑問を解決していこう。


「とはいっても…」


 彼女が喋っているのが日本語ではないのは明白だった。これ何語?


 とりあえず身振り手振りを使ってコミュニケーションを取ろうとしたが、少女はずっと首を傾げていた。


 通じてないみたいですね。


 それでも諦めず何度かやっていると、少女がハッと表情を変えた。


「良かった…やっと通じた。」と思わず自分の心の声。


 そして少女は俺に背を向け、


 背丈よりも大きいハンマーを取り出して、それを俺に降り下ろしてきた。


「うわっ!?」


 間一髪避ける俺。


 えっ、意志疎通できてないじゃん。


 というかあんなもので殴られたら今度こそお亡くなりになってしまう。というかそれはどこから出してきたの?


 仕方ない。ここは一つ、最終手段を使おう。それは何よりも効果的で自分の危機を何度も救ってくれた、真の最終手段、その名は……


「全力逃亡だーっ!」


 一目散に逃げ出そうとするが、猫耳少女も何かを言いながら追いかけてきている。


 あんな重そうなハンマー持ってよく追いかけれるものだよね!やっぱり人間じゃないよ。猫耳生えてるから当たり前だろうけど。


 と呑気に逃亡しながら考察していると足元に何かぶつかって身体が宙に浮く。


「えっ?」


 足元には石。俺は全力疾走Was。足はそれに捕らわれた。そこから導き出される答えは?


=派手に転倒


正解です。


 俺は派手に転び、素早く起き上がるが、時既に遅し。


 既に猫耳少女は背後に立っていた。


 どうする?逃げるか?逃げても捕まりそうだ。さっきの追いかけっこで何となく察した。


 それなら取るべき行動はただ一つ、とりあえず最後まで抵抗するしかないよね!


 このまま大人しくお陀仏など御免だ。こんな時何と言うべきなのか…


 どう考えても敗北フラグしか出てきません。


 本当にどうもありがとうございました。


 拳を作り、臨戦態勢に入る。少女も何となく分かったのかハンマーを構える。


 女性に手は上げたくないので軽く隙を見て足払いくらいにしよう。


 あれ?猫耳少女にもその理屈で良いのか?もしかしたら少女に見えるだけで男の娘かもしれないぞ?


 むしろそちらでも断じてOKです。男に手を出す趣味は無いけどね。


 とりあえずは手を出しすぎぬよう心に決めて猫耳少女と俺の決闘が始まった。


 「この戦いに勝って元の世界に帰ろう…」

死亡フラグでした。


 さぁ始まりました。ハンマー猫耳少女vs.引きこもり天然栽培もやしの世紀の一戦。もう結果など既に分かりきっているだろうがとりあえず闘おう。


 だって無抵抗のまま撲殺でゲームオーバーは嫌だもの。誰だってそうだよね!


 当たって砕けるしかないよね。砕ける前に引きこもり煎餅1枚上がりになりそうだが。


 あぁ、ただここはどこかを聞きたかっただけなのにどうしてこうなった…


 まぁ仮に自分が女だったとして、歩いていたら突然大きめの生物に「○△□!?」と聞いたこともないような言語で話し掛けられたら、通報するか条件反射で1発喰らわしてしまうだろうが。


 そうしている内に猫耳少女がハンマーを持ってこちらに向かってくる。とりあえず回避して……あ、案外避けれた。


 まさかリアルでゲームの技術が役立つとは。時雨よ、引きこもりにしてはやるじゃないか。まだリアルとは決まってないけどね。


 しかし避けてばかりいてもいずれは体力が尽き、もやし煎餅完成となってしまうだろう。


「となると…」


 反撃するしかないか。幸いな事にここの近くには猫耳少女の取り巻きらしき者は居なさそうだ。


 1回高校に行ったときは、ちょっと女子に肩が触れただけで取り巻きの女子に集団で責められたっけ。


 あの時に女子はRPGとかにある『仲間を呼ぶ』を使える厄介な敵と認識したなぁ。


 しかもなかなか倒せない上に仮に倒せたとしても、経験値が入らない。お金も勿論手に入らない。


 そして大量の仲間を呼ぶ。あぁ、なんという敵キャラ。実際にRPGに出てきたら出現範囲に近付きたくない。あ、女子には好かれたいですよ?


 しかし!ここではそんな心配ご無用!だって周りに誰もいないもの。仮にあの猫耳が走って、助けを呼びに行ったとしても、逃げる時間は十二分にあるだろう。


 それならやられる前にやるしかないよね。


 猫耳がまたハンマーを持って走ってくる。ならば俺はその猫耳に超接近する。


 近付くことさえすれば、猫耳はハンマーを降り下ろしにくいから一歩下がるはず。あとはその隙に攻撃を喰らわせば大人しくなる……はず。


 そうと決まれば作戦決行だ。猫耳がハンマーを振りかぶる。


 それを避けて……避けて……あ、足踏まれた。ということは回避不可能。つまりもやし煎餅完成では?


 ゴン


 猫耳のハンマーが頭にクリーンヒットする。


 そうだよな…ここがよく分からない所と言ったって、俺の体力が皆無だし運がないというのは不変の事実だよな……もっと引きこもりで生きていたかった……


 そんなことを考えながら意識がどんどん遠退いて俺は気を失った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ