4話 いきなり主人公補正が強いんですけど。 1
章の良い分けかたが未だに掴めないので初投稿です。
翌朝の事である。朝起きたら動けなかった。
「あぁ…やっぱりそうなると思っていたんだ……」
筋肉痛である。それもとびっきりの。
猫耳が言っていた。
「魔力というのは術者の生命力です。仮に無くなったとしても死に至ることはありませんが、消耗しすぎると運動機能に支障が出るので気を付けてください。」と。
もちろん、俺の筋肉痛は魔力の消耗とは関係なく、日頃の運動不足がたたっただけである。
これも良い機会、と湿布を魔法で呼び出すとあっさり出てきた。
やはり魔法は細かくイメージするのが重要らしい。最初に呼び出した湿布はただの生ぬるいゲルが付いただけの代物だった。
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しばらくして、猫耳が来客がいると俺を呼びに来た。
来客など全く心当たりがないのだが、気になって居間に向かうと、
「ようシグレ。遊びに来たぞ。この樹のバケモノも一緒だ。」
と喋る魔神クロムと見知らぬ幼女がいた。二人とも呼んだ覚えは無いのだが。クロムは昨日、樹竜に呼び出されて俺の影から抜け出てそのままなのか?
そして幼女の方は
「やぁ、昨日は丁寧にどうも。ヴェルスィンだ。」と言った。
ヴェルスィン?それって樹竜だよな。昨日会ったドラゴンだ。
そして、この幼女を改めて見ると、緑色のドレス、花の冠、鱗っぽい手の模様。確かに樹竜が変身した姿でもおかしくないだろう。しかも可愛いな、ロリコンになっちゃうだろ。
そう考えていると
「え?これが樹竜様なのですか?」
と猫耳が来て驚いていた。すると、樹竜は嬉しそうに、
「あぁ、いかにも私は樹竜ヴェルスィンである。小娘よ、私の力ならこんなこと容易いぞ。……といってもシグレには敵わないがな。」
魔神クロムの方は俺に近付き、
「どうだシグレ、この樹竜と来たら、シグレに会うって言ったらこの気合いの入れようだ。いい加減年齢というものを考えるべきだと思うがな。」
そうクロムは言い、ヴェルスィンに近付き、頭を撫でていた。まるで親子みたい。
一方、撫でられているヴェルスィンはというと、
「おいクロム、私は他人に頭を触られるのが大嫌いなのだ。離せ。」とクロムを明らかに拒絶していた。
「何だか樹竜様と魔神様を来させるシグレさんの魔力がいかに強いかが改めてわかりました。」
「そうか?別に俺自身は全く強くないぞ?」
「そうだぞ、小娘。ちと勘違いをしているのではないか?確かにシグレの魔力は無比である。確かにそれは事実である。しかし、我がここに来た理由にあらず。自らより強きを見て媚びず、弱きを見て侮らず、その心を認めたからこそ、ここに来たのだ。そこの暑苦しい魔神もそれを見抜き、彼に付いたのだ。」
「あぁ、その通りだ。暑苦しいというのは少し引っ掛かるが。俺がシグレを初めて見た時、この男なら魔神である俺に媚びたりしないだろうと見抜いたのだ。一見、強きに媚びるが賢しと思うがそれは違う。その強きに負けを認めるが賢しなのだ。」
「さすが樹竜様と魔神様。良い言葉ですね。」
「……なぁヴェル、これも媚びに入るんじゃないのか?」
「違うぞクロム、これは純粋な尊敬だ。」
……最後は微妙に締まらなかった気もするが。
「所でシグレよ、我、樹竜ヴェルスィンは貴殿を是非とも樹竜神として認めたい。どうじゃ?」
いやいや、樹竜神って何だよ。いきなりチート能力を身に付けた途端にありきたりなラノベみたいになってきたぞ。
「樹竜神とは?」
「おぉ、説明が必要じゃな。樹竜神というのは、この我を下し、眷属とした者が名乗れる称号じゃ。例えば、かつて白銀竜を下した者は白銀竜神と名乗っておった。どうじゃ?樹竜神シグレ。」
もう呼んでいるじゃないか……仕方ない。断ってもろくなことにならなさそうだし、ありがたく受け取っておくか。
「はいはい、樹竜神と名乗れば良いのですね?」
「あぁ、この指輪をはめ、そう名乗ればそうそう、変な輩に絡まれることもあるまい。」
「おいシグレ、ついでに鋼鉄の紋章もやるよ。魔神クロムを下した証だ。首から下げておけ。」
「すごい……神のアイテムが2つも……」
見ると猫耳は今にも気絶しそうな勢いで震えていた。俺だって気絶しそうさ。さっきから手の震えが止まらない。
そして俺は、ずっと気になっていた質問をした。
「……で、魔神さんと樹竜さん、私はこの世界で何かをしないといけないのか?」
そのシグレの言葉を聞き、魔神と樹竜は表情を変えるのであった。
次話投稿予定→7/29 22:00くらいには